チェスンシルゲート問題 暴かれた腐敗と癒着 パククネは今すぐ退陣を 政府・資本家に怒り噴き出す

週刊『前進』02頁(2798号02面01)(2016/11/17)


チェスンシルゲート問題
 暴かれた腐敗と癒着
 パククネは今すぐ退陣を
 政府・資本家に怒り噴き出す

(写真 労働者大会の前段で行われた公共運輸労組の大会。真ん中に鉄道労組ソウル地方本部長)

(写真 光化門前で開かれたロウソク集会【11月12日 ソウル】)

(写真 民衆総決起大会の後、訪韓団が動労総連合ののぼり旗を先頭にソウル市内をデモ)


 チェスンシル・ゲート問題はパククネ政権退陣を要求する全人民的大闘争に発展した。チェスンシルへの弾劾にとどまらず、韓国支配階級への根源的な怒りと、革命の欲求が民衆の中に高まっている。11月5日には20万人、12日には200万人がソウルに集まってパククネの退陣を要求した。
 パククネはこれまで強権的に労働改悪を進め、さらに10月24日に国会の施政方針演説で、大統領の任期を延長するために憲法を改悪する意向を示していた。しかし、その夜にパククネとチェスンシルの機密漏えい問題が暴露された。この事態に対して怒りは一気に燃え上がった。

機密漏えいと「財団」私物化

 チェスンシル・ゲート問題は二つの要素からなる。大統領機密の漏えいと「財団」の私物化だ。
 パククネは10月25日、チェスンシルに演説の草稿や閣議資料を事前に渡して、国政に関与させていたことを認める声明を出した。
 チェスンシルのパソコンの記録から、パククネが演説をする数日前に草稿を修正・添削をした形跡が見つかった。さらに関与は北朝鮮との軍事問題、米韓原子力協力協定、日帝・安倍との独島(竹島)問題と慰安婦合意などの外交、その他にも複数に及んでいる。
 チェスンシルは、パククネの父親・パクチョンヒ元大統領(1979年に側近により射殺された)が存命中に親しかった故パクテミンの娘だ。パククネとは40年来の仲で、閣僚ですら証明書の提示が必要な大統領府にも正門から顔パスで入り、「パククネ政権の陰の実力者」という別称もある。
 機密漏えいでは、チョンホソン前大統領府付属秘書官が11月6日に逮捕。その後、彼を含めパククネが政界入りしてからそばで支え続けてきた3人の側近の残り2人の秘書官も事情聴取された。この3人をパククネにつけたのはチェスンシルの元夫のチョンユンフェだった。
 パククネは昨年10月以降「ミル財団」「Kスポーツ財団」を相次いで設立した。その財団の理事長にはチェスンシルの側近が就任。財団への資金は全国経済人連合会が大企業から集め約70億円にも上り、サムスン電子、航空会社を傘下にもつアシアナグループ、製鉄最大手のポスコ、現代自動車、韓国ロッテグループなどが出資した。財団への資金集めをしたアンジョンボム大統領府前政策調整首席秘書官は逮捕された。
 パククネの労働改悪攻撃の背景には、このようなチェスンシルを通した韓国の資本家階級とパククネ政権の金権腐敗の関係があるのだ。

30歳以下では支持率が0%

 チェスンシルは10月31日にソウル中央地検に出頭。規制線を突破した民衆につかみかかられ弾劾されながら建物に入って行った。その後、本人は逮捕された。
 パククネは大統領秘書室長以下、大統領府高官8人を更迭。さらに現職の大統領として初めて検察の捜査を受け入れると発表した。
 それでもパククネは野党と合同で内閣を再構成することで大統領として延命しようとした。しかし野党には相手にされず、与党セヌリ党内からも「退陣・離党」の声が上がり、労働者人民は「今すぐ退陣しろ」と怒りを爆発させた。
 世論調査ではパククネの支持率は史上最低の5%に落ち込んだ。30歳以下では0%だ。パククネ政権は崩壊寸前だ。
 事件はさまざまに飛び火し、チェスンシルの娘を不正入学させた梨花女子大では、学生の追及を受け総長が辞任。パククネの出身大学の西江大学では「大学の恥だ」と学生が抗議デモに立った。

最も恐怖しているのは安倍

 パククネはこれまで米日帝国主義と一体となって北朝鮮への戦争をあおり、先制攻撃を想定した米韓合同軍事演習を繰り返し、日帝・安倍政権とは防衛秘密を交換する手続きを定めた軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結を進めていた。しかし、そのすべてをぶっ飛ばす闘いが韓国で燃え広がっている。
 日本の菅義偉官房長官は「何の影響もない」と繰り返しているが、日本と韓国の労働者階級が一体化し、パククネと安倍を打倒する闘いが大爆発することに最も恐怖しているのは安倍だ。
 鉄道労組の無期限ストを先頭にした9月27日からの民主労総の第2次ゼネストこそ、チェスンシル・ゲートも引き金に、韓国人民の巨万の怒りの決起をつくり出した。パククネ打倒の決起は全世界の労働者階級を奮い立たせ、世界革命を切り開く闘いだ。
 11月国際共同行動の成功を前進させ、闘う労働組合拠点を全国につくり出そう。日本でもゼネストを実現しよう。

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