「自主避難者」への住宅支援打ち切り反対 甲状腺エコー検査縮小許さない 被曝と帰還の強制反対 署名運動に全国で取り組もう

週刊『前進』04頁(2797号04面01)(2016/11/14)


「自主避難者」への住宅支援打ち切り反対 甲状腺エコー検査縮小許さない
 被曝と帰還の強制反対
 署名運動に全国で取り組もう

(写真 10月20日の「怒りの福島大行動」。参加した約50人が県庁通りをデモした【福島市】)


 福島第一原発事故から5年半、安倍政権と福島県による被曝・帰還の強制に反対する新たな署名運動の呼びかけが福島現地から発せられた。全国で署名を集めよう。(編集局)

■「避難者」抹殺を許さない! 福島から声をあげよう!
 2011年3・11東日本大震災と福島第一原発事故から5年半が経過しました。いまも10万人を越える人々が古里を追われ、古里をあきらめざるをえない現実を強制されています。
 こうした県民の思いを踏みにじり、あるいは逆手にとって、国と県は、「除染したから放射能汚染は心配ない」と帰還政策を強めています。2017年春には浪江町や飯舘村をはじめ、帰還困難区域を除くすべての地域での避難指示解除が狙われています。福島県民だけが子どもたちまで含めて年間20㍉シーベルトの被曝を受け入れろという理不尽をどうして許せるでしょうか。
 福島県は、2017年3月で「自主避難者」への住宅補助も打ち切ると表明しました。避難指示区域の解除と同様、原発事故の避難者に「帰還して被曝するか、帰還せずに経済的困窮に陥るか」を迫る、実に卑劣なやり方です。「避難者」という存在そのものを消し去ろうとしています。福島県民はみな原発事故の被害者です。これ以上分断させられてはなりません。帰還の強制にも自主避難者への住宅補助打ち切りにも絶対反対の声を、とりわけ福島からあげていくことが大事です。
■原発事故も健康被害もなかったことにさせるわけにはいかない
 福島県内ではすでに175人の甲状腺がんないし疑いの子どもたちが見つかっています(16年6月現在)。県民健康調査検討委員会は星北斗座長はじめ、一貫して被曝の影響をはじめから認めようとせず、甲状腺検査の打ち切りにむけて動いてきました。この間、県の小児科医会による検査縮小の要望など、その動きが加速しています。しかし、9月の検討委員会では、検査縮小に反対する意見が多くの委員からだされ、先日、甲状腺検査評価部会長が「『放射線の影響とは考えにくい』とは言い切れない」と辞任しました。被曝の現実を認めたうえでの対応が求められていることは明らかです。「原発事故による健康被害は一切ない」という安倍首相のオリンピック招致演説の大うそがまかり通っていいはずがありません。大人の甲状腺がんも増えています。甲状腺検査の全年齢への拡充および、検診・医療の充実を急がねばなりません。
 福島県がなすべきは、県民の安全と健康を守るため、国と東京電力の責任を追及し、県民はじめ、すべての被災者の避難と保養、医療の全面的な補償をさせていくことです。
■原発絶対反対! 被曝労働拒否で帰還の強制を阻もう!
 帰還の強制は、インフラ整備や学校、自治体で働く労働者が業務を拒めば阻止できる闘いです。原発を作るのも止めるのも労働者です。労働組合が問われています。安倍政権は核兵器廃絶決議に反対し、核武装も視野に入れた原発再稼働と戦争にまっしぐらです。戦争も原発もいらない社会の実現へ、韓国のように労働組合はじめ労働者・農民・学生・民衆の団結で立ち向かうときです。
 私たちの怒りと力を結集する運動として「被曝と帰還の強制反対署名運動」を発展させていきましょう。あらゆる職場、学園、地域での取り組みをお願いします。
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【呼びかけ人】市川潤子(ふくしま合同労組委員長)/佐藤幸子(福島診療所建設委員会呼びかけ人)/椎名千恵子(NAZENフクシマ、ふくしま保養交流会世話人)/鈴木光一郎(全国農民会議共同代表)/橋本光一(動労福島委員長)/布施幸彦(ふくしま共同診療所院長)/吉沢正巳(浪江 希望の牧場)

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〈要求項目〉
①被曝の影響を認め、甲状腺検査の全年齢への拡充および、検診・医療の充実をはかることを求めます。
②法令で定める一般住民の年間1ミリシーベルトの被曝限度以下になるまで、賠償や支援を続け、帰還を強制しないことを求めます。
③「自主避難者」への住宅補助などの保障の継続と拡大を求めます。
④すべての原発事故被災者に、行政の責任において避難および保養を保障することを求めます。

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