労働法制大改悪と闘おう 労働者人民の命奪う「働き方と税・社会保障の一体改革」粉砕を

週刊『前進』04頁(2795号02面04)(2016/11/07)


労働法制大改悪と闘おう
 労働者人民の命奪う「働き方と税・社会保障の一体改革」粉砕を

(写真 「知事は豊洲問題を職員の責任にすり替えるな! 働き方改革をやめろ!」。11・2都労連秋闘集会で怒りの声が上がった【都庁前】)

 戦争が始まる前に倒す! パククネ政権打倒へ闘う韓国労働者と固く団結し、安倍政権打倒に立つ時が来た。アベノミクスの最後的破産の中で安倍やマスコミが言い出した「働き方と税・社会保障の一体改革」は人びとの命を奪う階級戦争の全面化だ。民主労総の闘いは戦争も民営化も労働改悪も闘えば阻止できることを示している。国鉄決戦、都労連決戦を先頭に職場からゼネストと革命の扉を開こう。

〝自分の職場も電通と同じだ〟

 〝自分の職場も電通と同じだ。会社に殺されてたまるか!〟。電通に続いて関西電力や佐川急便、郵政職場をはじめ、堰(せき)を切ったように過労死・過労自殺、パワハラ自殺が明るみに出て労働者の怒りが燃え上がっている。街頭でも、職場の許しがたい状況と同時にそれと闘わない労働組合への怒りが口々に語られ、民主労総ゼネストのDVD上映に多くの共感が寄せられている。
 電通資本が新入女性社員を過労・パワハラ自殺に追いやった極悪の労働者支配と搾取の姿が暴き出されている。安倍の労働大改悪はこれを全社会化するものだ。
 電通は「適正な勤務管理、長時間労働抑制の取り組みをしてきた」と強弁してきた。しかし1991年の過労自殺に続く2013年の社員の過労死後も労働環境は悪化し、14年に関西支社が、15年8月(今回の自殺の直前)には東京本社が違法な長時間労働で労働基準監督署から是正勧告を受けていた。これに電通は「ノー残業デー、有休取得促進に取り組む」と回答する裏で、36協定の残業月70時間以下を装う虚偽申告で過労死ラインを超える長時間労働を強制し、労働者の分断と人格破壊のパワハラを横行させてきた。今回の過労自殺発覚後、電通は「夜10時から朝5時まで全館消灯」としたが、形ばかりで抜け道はいくらでも用意されている。
 10月30日付日経新聞は電通の過労自殺を逆手に取り、「柔軟な働き方を広げながら残業に上限を」と題する許しがたい社説を掲載。「本人の工夫次第で働く時間を短縮できる制度を充実させる……。労働時間ではなく成果の対価として報酬をもらう『脱時間給』制度の新設や、自分で仕事の時間配分を決められる裁量労働制の拡大は欠かせない。……労働基準法改正案は早急に成立させるべきだ」と主張した。
  「脱時間給」とは残業代ゼロのことだ。これが安倍が唱える「長時間労働の是正」の正体だ。遺族は「残業代ゼロではなく残業ゼロを」と訴えている。

医療・介護破壊が激しく進む

 医療・介護・保育の破壊も雪崩を打って進行し、病院、介護施設、障害者施設、保育所で命が奪われる事件・事故が繰り返されている。にもかかわらず安倍は働き方改革と一体で、医療・介護保険料アップと扶養控除廃止などの大増税、社会保障破壊をごり押ししようとしている。
 社会保障費削減が叫ばれて「施設から在宅へ」病院の統廃合・民営化、病床縮小、診療・介護報酬改悪が進行している。人員削減と過重労働、低賃金・非正規職化で職場が分断されて誇りが奪われ、「医療・介護難民」が数多く生まれている。死に直結する事態だ。
 10月21日、経済財政諮問会議は医療費の地域差を取り上げ、高知県の年1人当たり入院医療費は全国最高の32・1万円、最低の静岡県の18・5万円と13・6万円もの差が生じるのは病床数、医師数の多さに問題があるとして、公立病院の統合と中小病院の病床縮小などで地域差を半減する医療費適正化計画を求めた。ベッドや医師を減らして医療費を暴力的に削る大攻撃だ。医師や看護師、病院で働く全労働者と患者に矛盾が集中する。
 すでに診療報酬の改悪で入院は14日以内、リハビリ病棟も1カ月以内とされ、無理な退院を迫る「追い出し医療」に拍車がかけられている。他方、富裕層は高額の差額ベッドで「急がず治療を」とされ、平等であるべき医療と皆保険制度の解体が進んでいる。
 介護も同じだ。介護報酬引き下げで「要支援1と2」の軽度者向けの廃業が続いている。全国一律の介護事業が軽度者向けは15年度から市区町村が報酬や基準を決める方式に変わりつつある。年間10・1兆円となった介護給付を抑えるためという。毎日新聞の調査では157自治体の介護報酬は平均2割減で、事業所は訪問介護で50%弱、デイサービスで30%弱に激減。労働者と利用者が大量に放り出されている。
 厚生労働省が「先進事例」とする自治体は「自立につながらない介護は保険料の無駄遣い」として住民ボランティアや民間の家事代行を促し、報酬や基準を下げている。厚労省はその手口を法制化とインセンティブ(報奨金)で全国化し、「要介護1と2」も新方式への移行や負担増を検討し、18年度には報酬を下げ人員基準緩和で経費を減らそうとしている。労働は一層強化される。
 医療・介護破壊、労働破壊の許しがたい攻撃に労働者は闘う労働組合をつくり出し、次々と闘いに立ち上がっている。

保育の解体にストで反撃を

 東京都と内閣府は「保育などの規制改革の早期実現」のための東京特区推進共同事務局を設立した。小池百合子知事は特区で保育基準を壊し、小規模保育所で現行の0~2歳児から3歳児以上も解禁。企業に公園の敷地を貸し与え、株式会社参入全面化を東京からこじ開けようとしている。
 イギリス在住の保育士ブレイディみかこ氏は著書『THIS IS JAPAN―英国保育士が見た日本』(太田出版16年8月)で、イギリスの配置基準が3~4歳児は保育士1人に8人であるのに対し、日本は3歳児が保育士1人で20人、4歳児は30人である現状に怒り、「ブラック企業や非正規雇用の問題が取りざたされる……日本の労働市場の現状は、高架下や廃棄物置き場やがれきの裏の保育園や病児保育と直結している」「労働と保育の問題は手に手を取って前進するし著しく後退もする。……日本でラディカルな労働運動が立ち上がる場所もまた保育園である」と書いた。
 杉並区をはじめ全都で公立保育所つぶし=完全民営化や公園内保育所新設との激突が開始された。都政改革本部では都営交通や上下水道のコンセッション(運営権の民間売却)への言及も始まった。安倍・小池の丸ごと民営化攻撃に対し、東交や保育職場を先頭に労働者の誇りをかけてストライキで闘う時だ。
 電通の過労自殺は資本と36協定を結び虚偽申告まで許してきた御用労組も共犯者だ。生理現象すら度外視して長時間労働を強制する、JR東による運転士への不当処分は電通となんら変わらない。動労千葉のトイレ処分撤回の闘いは全労働者の最先端の闘いだ。民主労総ゼネストと団結し、戦争と労働大改悪、社会保障破壊の安倍打倒へ闘おう。
(大迫達志)
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