小池知事の労組破壊と闘おう 豊洲移転は白紙撤回以外ない

週刊『前進』02頁(2782号01面02)(2016/09/22)


小池知事の労組破壊と闘おう
 豊洲移転は白紙撤回以外ない



(写真 豊洲新市場の全景。①青果棟、②水産仲卸棟、③水産卸棟)


 東京都の小池百合子知事の全政策は都の労働運動をめぐる重大攻防の焦点だ。極右で核武装を唱える小池知事は労働法制改悪・改憲を進める安倍政権と一体であり、都の丸ごと民営化、都労連の解体を狙っている。
 とりわけ重大な攻撃が、①築地市場(中央区)の豊洲(江東区)への移転、②都営交通の24時間化、都営地下鉄のメトロとの一元化、大合理化、安全と労組の破壊、③国家戦略特区制度による保育の安全基準緩和、④オリンピック関連工事での被曝労働強制、⑤羽田空港の増便、都心上空への飛行ルート変更、⑥上山信一(元大阪府・市特別顧問)を先兵とした「都政改革本部」による国鉄・橋下型の労組つぶしなどである。これら一切を2020年東京オリンピックをてこに仕掛けようとしている。これと徹底対決し、都労連労働運動の戦闘的再興をかちとろう。

「全職員粛正」だと叫ぶ小池

 築地市場の豊洲移転は、石原以来の歴代知事、自民党都議団を始め利権に群がる政治家やゼネコンが総ぐるみとなり、都の労働運動破壊を狙って進められた大陰謀である。
 豊洲の主要5施設の地下になされるはずだった汚染対策の「盛り土」がされず、空洞となっていた。実際に生鮮食品を扱う建物の地下の空洞には地下水と見られる汚水が大量にたまり、異臭を発している。
 この事態の発覚を受け、小池知事は9月10日の記者会見で「全都庁の職員を粛正したい」と発言した。「盛り土」問題の責任を都の労働者になすりつけ、都の労働者への締め付けと団結破壊に使おうとしている。絶対に許せない。
 はっきりさせよう。市場で働く労働者を始め都の労働者に責任はない。一切の責任は、労組や仲卸(なかおろし)の人びとの反対を無視し、利権目当てに移転を強行してきた石原を始め歴代の都知事と大ゼネコンにある。石原などの責任を一言も言わないところに小池知事の正体もある。
 この石原元知事が9月13日のテレビ番組で「(盛り土が行われていなかったことについて)聞いていません。僕はだまされていた」「都の役人は腐敗している」と都の労働者に責任をかぶせ、自らは被害者であるかのように発言した。言語道断の卑劣漢である。
 だが、都が盛り土をしない方針に変更したことに深く関わっていたのが石原慎太郎その人である。

「盛り土」問題 真犯人は石原

 盛り土に関しては、次のような経緯がある。
 専門家会議は08年5月にベンゼンなどの土壌汚染対策として用地全体で土壌を入れ替え、盛り土を行う方針を決定した。それに反し、当時の石原知事は地下にコンクリートの箱を埋める案に言及し、理由としてより安価でより工期が短いことを挙げた。
 2カ月後の7月、専門家会議は敷地全体で盛り土を行うよう都に提言し、その直後に都が「技術会議」を設置した。技術会議は盛り土の方法の議論をする場とされていたが非公開であり、同会議座長となった原島文雄(東京電気大教授)は、石原によって設立された首都大学東京の学長となるなど、石原の御用会議という面の強い会議であった。
 09年から10年にかけて、都は建物地下に盛り土をせず、空洞にするという工法を最終的に決めた。だが、それを専門家会議や技術会議の委員にも意図的に隠していた。ウェブサイトや議会でも「土壌はすべて入れ替え、盛り土をした」と、うその答弁をしてきたのである。
 石原が盛り土をしない案に言及した時期は、実は、事実上の倒産に陥った新銀行東京を救済するために1千億円の減資と400億円の追加出資の提案を、怒号が飛び交う都議会で通した(08年3月)直後であった。石原の最大の関心は自らの保身であり、そのために豊洲の汚染対策経費を削減することにあった。「盛り土」問題の最大の犯人は石原である。
 さらに重大な事実が発覚した。豊洲市場の工事をめぐる都とゼネコンのすさまじい癒着の構造である。

都とゼネコンが工事で談合

 水産仲卸売り場棟、水産卸売り場棟、青果棟など主要3施設の建設工事の再入札の平均落札率はなんと99・9%、ほぼゼネコン側の言い値で落札された。落札したのは鹿島や清水、大成など大手ゼネコンの共同企業体(JV)であるが、それぞれの入札に1社しか参加していなかった。
 13年11月の1回目の入札時の予定価格は、3棟で合計約628億円だったが応札がなく、不調に終わった。その後、都当局が入札予定のゼネコン側にヒアリングを行い、積算を事実上聴いていた(9月16日付朝日新聞)。翌14年2月に行われた再入札では予定価格の合計は約407億円増額され、約1035億円に膨らんだ。いずれも予定価格のほぼ100%で落札された。談合が行われたことは明白である。
 これとまったく同じ癒着の構造が東京オリンピック関連の工事をめぐってもある。
 汚染・利権・労組破壊の豊洲移転を白紙撤回せよ! 今こそ労働組合が怒りの先頭に立ち、小池都政との徹底対決に立ち上がる時である。11・6労働者集会に大結集し、都労連の戦闘的再生へ闘おう。

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