築地市場の豊洲移転撤回を 汚染・利権・労組破壊を許すな 核武装・オリンピック推進の小池倒せ
築地市場の豊洲移転撤回を
汚染・利権・労組破壊を許すな
核武装・オリンピック推進の小池倒せ
小池百合子東京都知事は8月31日、11月7日に予定していた築地市場(中央区)の豊洲(江東区)への移転延期を発表した。築地市場の移転は大資本の利益のために、仲卸(なかおろし)の人びとや市場で働く労働者をとことん犠牲にするものであり、汚染、利権まみれ、労働組合破壊の暴挙である。ほとんどの市場関係者の反対にもかかわらず、石原以来、猪瀬、舛添ら歴代都知事はそれを徹底的に無視し分断して移転計画を進めてきた。小池知事は「延期」を打ち出したが、ポーズに過ぎない。豊洲の土壌汚染対策として都が行うとしていた主要施設の地下の盛り土がまったく行われていなかった事実が明らかになった。絶対に許されない事態だ。築地の労働者の怒りをともにし、東京都の労働組合こそ移転撤回で闘おう。
「盛り土」のウソ発覚
築地市場は1935年の開場以来、81年にわたり「東京の台所」として東京の食を支えてきた公設市場である。卸売業者や仲卸によってせりが行われ、仲卸や市場労働者は新鮮で安全な食を守る労働に誇りを持って働いている。市場は人びとの労働の場であると同時に生活、交流の場として独特の文化を発展させてきた。01年に石原元知事が豊洲移転を決定して以来、築地の仲卸、労働組合は移転反対で闘ってきた。
第一に、日本で最大規模・最高濃度の土壌汚染の場所に生鮮食品を扱う卸売市場を移転すること自体が大問題である。
今回、新たに、移転先の豊洲の実際に生鮮食品を扱う主要施設の地下で、東京都が土壌汚染対策の盛り土をしていなかった事実が判明した。東京都のホームページでは全敷地に盛り土をしたとされているが、それは大うそだった。移転を強行しようとするごく一部の人間が、意図的に、すべての市場関係者、都民をだましていた! この一点をもって豊洲移転は撤回すべきである。
小池知事は31日の会見で「来年1月中旬に公表される地下水モニタリング調査の結果を待つ」と述べたが、都民を欺く茶番である。来年1月以降早い段階での強行が真の狙いである。
そもそも豊洲地区は東京ガスの工場跡地であり88年まで都市ガスの製造・供給が行われていた。その過程で生成されたベンゼン、シアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムによって土壌と地下水が汚染されている。都の専門家会議の調査で、発がん性物質であるベンゼンが環境基準の4万3千倍(08年)など環境基準を大きく超える有害物質が検出されている。都は土壌洗浄、盛り土、アスファルトでの舗装で問題ないとしているが、江東デルタにある豊洲の地盤は軟弱であり、11年3・11東日本大震災時に数百㍍にわたって地下水と砂が噴き出し、再汚染された。都は液状化対策として地盤改良工事を行ったとしているが、そこで想定した設計地震動は中地震程度のものでしかない。
また、本来東京ガスが全額負担すべき約850億円の汚染対策工事費用のうち、東京ガスが負担するのは78億円に過ぎない。残りは東京都中央卸売市場特別会計から支出される。卸売市場特別会計は会計がひっ迫すると施設使用料が値上げされるため、築地の事業者、労働者が最終的に土壌汚染の責任を施設使用料の値上げという形で負わされる。大資本のためにとことん労働者が犠牲にされるのである。
利権まみれ豊洲移転
第二に、豊洲移転は築地市場の跡地を通って建設される「環状2号」とあわせ、ゼネコンおよび自民党政治家の巨大な利権の巣である。
当初見込みの3倍近い2700億円超となった新市場建設費を含め、移転費用は合計で5884億円にも膨れ上がった。
環状2号は晴海の五輪選手村と新国立競技場を結ぶ道路だが、「2020年東京オリンピックまでに完成を間に合わせるため」として移転反対の声が抑え込まれてきた。
工事を受注している企業は鹿島、大成、清水など原発メーカーと同じ大ゼネコンであり、「自民党都議団のドン」である内田茂や元首相・森喜朗などと関連のある企業が利権に群がり、これらの政治家に莫大(ばくだい)な賄賂、献金がもたらされる。
新施設は欠陥だらけ
第三に、そこで働く仲卸や労働者の労働と生活、労組と団結、安全を破壊する暴挙である。
石原は01年に築地市場を視察し、「古くて汚い」と築地で働く多くの労働者を侮辱する悪罵(あくば)を投げつけた。そして移転反対を唱える現場の労働者の声を一切聞かずに豊洲新市場が造られた。その結果、新施設は労働者を犠牲にする、とんでもないものとなっている。
新市場で仲卸に割り当てられる売り場の間口は幅1・3㍍と狭く、マグロを切ることができない。それだけでなく、とくに物流に深刻な問題がある。新市場用地は水産仲卸、水産卸、青果の各街区が大きな道路で三つに分断される。各街区は1階部分に穴を掘った「連絡通路」によって接続されるに過ぎない。築地では約2千台もの荷物運搬用の小型車「ターレー」やフォークリフト、自転車が行き交うが、このボトルネックで物流は滞り、大渋滞や事故をもたらすことは必至だ。
また、施設が立体配置であるため、平屋建ての築地のように水平方向ではなく垂直方向に移動しなければならない。エレベーターなどの施設整備費、運搬の人件費など大幅なコスト増が業者にのしかかり、廃業や賃下げなどの圧力になる。
床の積載荷重限度は1平方㍍当たり700㌔しかないが、ターレー1台の重量は運転者と積載貨物を含め約2㌧にも及ぶ。そのため、2階より上の床が抜ける。築地では床掃除に海水を使うことでウジやボウフラがわかないようにしてきたが「床が傷む」という理由で海水は使用禁止。しかも排水溝が浅く、すぐにつまり、排水であふれる。交通の便が悪く、築地のように徒歩・自転車で来場することは想定されていない。また、仲卸の引っ越しにかかる費用は1千万から2千万円もの高額であり、移転を機に廃業に追い込まれる仲卸も多い。むしろ移転強行はそれを狙うものだ。
東京都は仲卸や市場の労働者に既成事実を突きつけ、あきらめや分断を強い、黙らせようとしてきた。しかし、抑え込まれてきた不満、怒りが爆発しようとしている。
11・6労働者集会へ!
小池知事は「核武装の選択肢は十分ありうる」と主張する極右、改憲・核武装論者である。9月8日には「北朝鮮拉致問題の解決を願う都民の集い」に出席し、「朝鮮学校に都民の税金を使えない」と差別・排外主義をあおり立てた。そして安倍政権と一体で、都の丸ごと民営化、正社員ゼロ・総非正規職化を推進し、都の労働運動を解体しようとしている。
築地市場の豊洲移転は、新自由主義とその破産を示している。小泉「構造改革」路線のもとで新自由主義的な規制緩和や民営化、労組破壊が推し進められ、それと一体で卸売市場法が改悪された。06年の「第8次中央卸売市場整備計画」で、築地市場を移転し、民間資金等活用事業(PFI)を採用した生鮮食料品流通センターを豊洲に建設することが決定された。
だが日本における新自由主義の元凶である国鉄分割・民営化は決着していない。これに絶対反対する闘いが動労千葉を先頭に30年間継続し、最高裁を追い詰めて「不当労働行為」を認定させ、JRに1047名解雇撤回を迫っている。現場で外注化絶対反対のストが闘われ、安倍の労働法制改悪を打ち破る大きな展望を切り開いている。
この闘いの発展と勝利をかけて、ゼネストを闘う韓国・民主労総とともに11月国際共同行動が呼びかけられている。新自由主義を打倒し、豊洲移転を撤回させよう。11・6労働者集会に大結集しよう。