外注化絶対反対が勝利の道 動労千葉に学び11月大結集を

週刊『前進』04頁(2777号02面02)(2016/09/05)


外注化絶対反対が勝利の道
 動労千葉に学び11月大結集を


 安倍政権は「働き方改革」を叫んで正社員ゼロ化・総非正規職化の攻撃に着手し始めた。新自由主義攻撃の中で資本は「外注革命」を唱え、業務の全面にわたる外注化で雇用と賃金の破壊を進めてきた。安倍は、それをさらに凶暴に貫徹しようとたくらんでいる。これに真っ向から立ちはだかっているのが、動労千葉・動労総連合の外注化粉砕の闘いだ。

相鉄で転籍強要の大攻撃

 8月19日付神奈川新聞は次のように報じている。「相鉄バスの運転手だった50代の社員12人が、転籍を拒否したことでトイレ清掃などを命じられる『追い出し部屋』的処遇を受けたとして、相鉄ホールディングスらに業務内容の確認と1人当たり110万円の損害賠償を求める訴えを起こした」「12人はホールディングスに在籍したまま、関連会社の相鉄バスに出向して運転業務に従事していたが、会社が転籍を要求。拒否したところ、4月に復職を命じられトイレやバス停の清掃などをさせられている」
 相模鉄道は09年9月に鉄道部門を子会社化し、10年10月にはバス部門を全面的に子会社に移して、自らは「ホールディングス」を名乗る純粋持ち株会社になった。労働者を子会社に転籍させ、賃金などの労働条件を劇的に切り下げることが、その狙いだった。
 バス部門を全面的に子会社化するという資本の提案に対し、相鉄労組は労働条件の向上を求める交渉を重ねた末、「相鉄に入社してバスの運行に携わってきた労働者は、相鉄ホールディングスに在籍したまま子会社の相鉄バスに出向し、賃金減額分はホールディングスが補填(ほてん)する」という趣旨の労働協約を結んだ。
 ところが会社は14年、その協約を踏みにじり、相鉄バスへの出向者207人に、転籍か早期退職かを迫る攻撃をかけてきた。「転籍に応じなければバスの仕事はさせない」という脅しに屈せず、75人の組合員が転籍を拒んだ。その組合員に会社は次々と出向解除を命じ、バスの仕事を奪った。神奈川県労働委員会が今年4月に「相鉄バスへの出向を継続せよ」という「実効確保の措置勧告」を出したが、それも無視して会社は出向解除の対象者を拡大した。今年8月時点で、24人のバス運転士がバス停留所や駅の草刈り、清掃などの作業を強いられているという。

出向を認めた協約が弱点

 私鉄総連に加入する相鉄労組は、14年の春闘をストライキで闘った労働組合だ。だが、バス部門の子会社化に際しては、「今いる労働者の労働条件は維持する」という資本の言い分をのんで、子会社化と子会社への出向を認める労働協約を結んでしまった。このことに最大の教訓がある。こうした攻撃に直面した時にこそ、労働組合の路線が問われるのだ。
 相鉄バスでは、子会社化前に入社した労働者と、子会社化後に採用された労働者の間に、平均で年収350万円もの賃金格差が生まれた。資本は労働者を徹底的に分断して、転籍強要と労組解体の攻撃をかけてきた。
 こうした相鉄の攻撃は、JR東日本の外注化攻撃とまったく同じだ。
 JRは00年、車両の検査・修繕部門の全面外注化を提案した。同時に、業務の外注化に協力する労組の組合員だけを、定年後、JR関連会社に再雇用するという「シニア雇用協定」の締結を各労組に迫った。
 JR総連・東労組や国労は即座に協定を結んだ。だが、動労千葉は協定の締結を拒否した。
 外注化や子会社化を強行する資本の狙いは、労働組合の解体をとおして賃金などの労働条件を徹底的に切り下げることにある。外注会社に新たに雇われる労働者には、生きていけない低賃金が強制される。外注会社に出向に出された本体の労働者にも、いずれは転籍の攻撃が襲い掛かる。こうした形で正規職は非正規職に置き換えられ、雇用と賃金の破壊は急速に進められてきた。だから動労千葉は外注化絶対反対の原則を貫いたのだ。
 これは大変な選択だった。シニア雇用協定を結ばない動労千葉の組合員は、再雇用を拒まれ解雇された。だが、動労千葉の抵抗は、外注化を10年以上、阻み続けた。

全労働者の利益守り闘う

 JRは12年10月、検修部門の外注化を強行した。出向協定を結んでいない動労千葉、動労水戸、動労連帯高崎の組合員53人が、CTS(千葉鉄道サービス)などの外注会社に強制出向させられた。組合員は怒りと悔しさに身もだえた。
 だが、外注化絶対反対を堅持する動労千葉・動労総連合の組合員が外注会社に放り込まれたことは、資本の新たな矛盾に転化した。動労千葉の闘いに共感した外注会社の非正規労働者が、動労千葉に結集し始めたのだ。正規と非正規の労働者が団結することには、困難がある。だが、自らを犠牲にしても外注化に絶対に反対する動労千葉に、非正規労働者は圧倒的な信頼を寄せたのだ。
 強制出向を弾劾して動労総連合が起こした裁判も、外注化の矛盾を徹底的に暴いてきた。その裁判は10月28日午前9時45分から、東京地裁の大法廷での証人尋問という決戦段階に入る。
 労働組合は現に組合員となっている労働者の利益だけでなく、労働者階級全体、全人民の利益を守って闘うべき存在だ。そのように闘ってこそ、勝利は切り開かれる。
 韓国・民主労総ソウル地域本部と動労千葉など日本の3労組は、11月の国際共同行動を呼びかけた。そのアピールも、全人民のために労働組合が社会変革の先頭に立つことを訴えている。職場から階級的労働運動をよみがえらせ、11月の巨万の結集を実現しよう。
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