社会変革と全労働者の解放こそ闘う労働組合の果たすべき役割 キムスンホ氏の民主労総への提言に学ぶ
週刊『前進』02頁(2776号02面01)(2016/09/01)
社会変革と全労働者の解放こそ闘う労働組合の果たすべき役割
キムスンホ氏の民主労総への提言に学ぶ
(写真 政策代議員大会で熱い議論を交わし団結を固めた民主労総【8月22日夜 チェチョン】)
韓国・民主労総は、8月22〜23日、全国から労働組合の中心的活動家約900人を集めて政策代議員大会を開き、民主労総が今後進むべき道についての白熱的な討論を展開した。来年末にはパククネの任期が切れ、大統領選挙を迎える。そこへ向けてどう闘うか、路線と方針をめぐる熱い議論が夜を徹して大衆的に闘わされ、さらに継続討論となった。
この代議員大会を前にして、チョンテイルを継承するサイバー労働大学代表のキムスンホ氏が、現在の情勢において闘う労働組合と労組活動家が担うべき階級的任務と役割について、重要な提言を行った。民主労総のホームページに掲載された「革命的危機の下、民主労総政策代議員大会に望む」と題するその一文は、日本の闘う労働者にも大きな示唆を与えるものである。
11月国際共同行動の成功をかちとるために、以下、その核心点をかいつまんで紹介したい。
革命情勢はすでにあらゆる面で成熟し始めてる
キムスンホ氏は第一に、「人間は自分自身の歴史を作る」という、マルクスの著作『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の中に出てくる言葉を引用し、人間は与えられた諸条件の中で活動しながら、同時に人間自身の主体的・能動的な実践によって世の中を変えていくのだと提起している。とりわけ「革命的危機の時期」には、人間は自分の外側にある自然と社会を変革するだけでなく人間自身をも変えて、「今まで存在したことのない何かを作り出すのに没頭する」(マルクス)と強調している。そして革命的情勢とはレーニンによれば、「①これまでの形態ではその支配が不可能になる上層のさまざまな危機が発生し、被抑圧階級の不満が爆発すること、②被抑圧階級の欠乏と困窮が顕著に悪化すること、③このような原因によって、大衆行動が活発に展開されること」だとし、韓国はすでにそうした情勢に入りつつあると指摘した。
すなわち、今や社会の部分的な改良ではなく根底的な変革が問題になっており、「今、民主労総や労働運動に必要なこと、求められていることは、資本と政権に対応する政策であれ、労働者の内部を揺り動かす政策であれ、単純な政策水準の変化ではない。歴史の現段階はそれ以上の変化、理念と戦略を含んだ全面的で総体的な自らの変化、変革を要求している」と、真っ向から訴えたのである。
大恐慌からの出口は資本主義終わらせること
キムスンホ氏は第二に、現在の世界大恐慌を1930年代の大恐慌に続く、資本主義の終わりを示す大恐慌だとはっきりと提起した。そこで彼は、この大恐慌は最末期の資本主義・帝国主義である新自由主義とその破産が生み出したものであることを明確にし、そしてこの世界大恐慌・大不況は「資本主義体制の根幹を手術しなくては克服することができないということがますます明確になっている」と言い切っている。しかもその矛盾と危機は「韓国社会で最も顕著な姿として表われている」と語っている。
韓国の出産率は世界最低で、自殺率は世界最高だ。結核感染率と死亡率も、老人貧困率と老人自殺率も世界最高である。「なぜこういう状況になったのだろうか? それは韓国資本主義が現段階の資本主義(独占資本主義・帝国主義・国家独占資本主義・新自由主義)であると同時に、特殊に労働の無権利と資本の無限の権利を結合した賤民(せんみん)資本主義であるためだ」「韓国資本主義は、発達が高度化するほどその矛盾がより一層極度に深刻化する法則が作用しているのである」
社会を変える力は労働者階級の闘いの中にある
キムスンホ氏は第三に、「それではいったい誰が世の中を変え、この矛盾を解決するのだろうか」と問いかけている。そして昨年秋の歴史教科書国定化反対闘争に参加したある高校3年生が、ソウル市内でのデモを終えた後、街頭でのインタビューに次のように答えたことを紹介している。「私が今、力を入れているキーワードは世の中を変えるやさしい力です。今この動画を見ている人は強力な力を持ったブルジョア階級かもしれません。私はプロレタリア階級です。しかし社会構造と矛盾を変えることができるのはただプロレタリア・レボリューションだけです」
キムスンホ氏はこれについて、支配階級はレボリューション(革命)という単語に非常に敏感に反応したが、「この学生の話の中でより一層注目しなければならない点はプロレタリア階級という言葉だ」と言い、次のように語っている。
「その学生は自分がどの階級の構成員なのかを明らかに自覚していたし、またブルジョア階級はこの世の中を支配するのに強力な力を持っているが、逆にこの資本主義の世の中を人間らしい生活を実現する『人間の世の中』に変えることができる力はまったく持っていないということ、ただ労働者階級だけがそのような力を持っているということを正確に悟っていた」「私たちの民主労働運動は、予備労働者のこの高校生から頭を下げてよく学ばなければならない」と。
組合主義を脱し全労働者の代表となって闘おう
最後にキムスンホ氏は次のように締めくくっている。「民主労総は組合員の代表を脱皮し、労働者階級の代表として再び躍り出なければならない。進歩改革ではなく、社会変革の旗を掲げなければならない」「80万組合員を代表する組合主義的アイデンティティーではなく、2千万労働者階級を代表する階級的アイデンティティーとして、進歩と改革をこえて解放と変革に挑戦する進取的な労働運動体として、自らを革新する決意をすることによって、民主労総の今回の政策代議員大会は新鮮で時宜にかなった試みをこえ、感動的で歴史に残る大会になるだろう」
キムスンホ氏のこの提起は、韓国の労働者だけでなく、日帝・安倍政権との倒すか倒されるかの決戦に突入した日本の労働者にとっても、決定的に重要だ。それは、労働組合とは本来、何のためにあるのかをその原点に立ち返って鋭く問うている。労働組合は、資本と闘うための労働者の最も基礎的な団結組織だが、その役割は労働条件の改善など自分たちの日々の要求実現のために闘うだけでなく、一切の搾取と抑圧からの労働者階級の究極的解放をめざして闘うことにあるのだと。とりわけ戦争か革命かの歴史選択が問われる現在の時期には、そのことが真っ向から問われると。
革命への巨大な挑戦を開始した民主労総と連帯し、11月国際共同行動の大成功をかちとろう。