今こそ国鉄解雇撤回へ 新10万筆署名を武器に11月へ巨万の組織化を

週刊『前進』04頁(2773号02面01)(2016/08/22)


今こそ国鉄解雇撤回へ
 新10万筆署名を武器に11月へ巨万の組織化を

(写真 国鉄闘争全国運動の6・5全国集会で1047名解雇撤回闘争の当該らが弁護団とともに登壇した)


 今年の11・6全国労働者総決起集会は、東京とソウルを結び、日韓労働者が共同して全世界に呼びかける歴史的集会になる。11月集会はまた、国鉄闘争を基軸に全職場で階級的労働運動をよみがえらせるための闘いだ。今、国鉄1047名解雇撤回闘争は、解雇撤回をJRに直接求める決戦局面に入った。解雇撤回の新10万筆署名を達成しよう。あらゆる職場に署名を持ち込み、これを組織化の武器にして、11月労働者集会への巨万の大結集を今年こそ実現しよう。

ついにJR東日本を解雇撤回闘争の矢面に引き出した

 国鉄分割・民営化による動労千葉組合員9人の解雇撤回を求める裁判で、昨年6月30日、最高裁は東京高裁判決を維持する決定を下した。これにより、国鉄分割・民営化による解雇は不当労働行為と認定した東京高裁判決が確定した。東京高裁判決は、明確に次のように断定している。
 「国鉄は当初、動労千葉所属の組合員をも基本的には採用候補者名簿に記載する方針で名簿の作成を進めていたにもかかわらず、改革労協側の姿勢に触発されるなどして、国鉄分割・民営化に反対する姿勢を示していた労働組合に所属する職員を、このような労働組合に所属していること自体を理由として、差別して不利益に扱う目的、動機(不当労働行為意思)の下に、本件名簿不記載基準を策定し、JR東日本の採用候補者名簿に記載しなかったものと推認するのが相当である」
 この裁判で動労千葉が証拠として提出した「国鉄改革前後の労務政策の内幕」と題する文書では、当時、経団連会長でJR設立委員会委員長だった斎藤英四郎が名簿不記載基準の策定を指示し、それを具体化して採用候補者名簿から動労千葉組合員の名前を削ったのは、葛西敬之(現JR東海名誉会長)と井手正敬(元JR西日本社長)だった事実が明らかになっている。同文書で井手自身が語っているのだ。
 国鉄改革法23条5項は、「職員の採用について設立委員がした行為はJRのした行為とする」と定めている。不採用基準の策定がJR設立委員会委員長の指示によるものなら、その責任はJRに及ぶ。
 この最高裁決定を受け、動労千葉は昨年9月9日、JR東日本に対し申し入れを行い、「『JR採用差別事件』に関する6月30日付最高裁決定に基づき、動労千葉組合員をJR東日本に採用すること」を求めた。
 これに対しJR東日本は、9カ月もたった今年6月、「申し入れ記載の裁判については、当社は当事者ではないことから、回答する立場にないと認識している」とした、わずか数行の文書回答を出してきた。あくまで「JRと国鉄は別法人」と言い張り、最高裁で国鉄の不当労働行為が認定されても、JRには関係ないとするものだ。
 だが、1047名の解雇問題について、JRが文書で回答してきたこと自体が、画期的なことだ。かつてJRは、動労千葉や国労が1047名解雇撤回・JR復帰を求めて労働委員会に申し立てた際、「JRは当事者ではない」として労働委員会への出席さえ拒否したことがある。だが、最高裁決定を受けての動労千葉の申し入れに対しては、とことん無視を決め込むことができなかったのだ。
 このJRの回答に対し、動労千葉は7月8日、再度、JRに対し申し入れを突きつけた。この申し入れは、「①JR採用候補者名簿の不記載基準が不当労働行為意思の下に策定されていたことを認めた最高裁決定、②その基準策定を命じたのがJR設立委員長であったこと、③以上の事実からすれば、JRへの国鉄職員の採用・不採用及び不当労働行為の法的責任がJRにあることは明らかである」とした上で、「国鉄分割・民営化(JR会社発足)にあたって『JR不採用』とされた動労千葉組合員を、1987年4月1日にさかのぼって採用すること」を求めている。
 この新たな申し入れに対しても、JR東日本は「何らかの回答はせざるを得ない」と対応している。JRはついに解雇撤回闘争の矢面に引きずり出された。国鉄1047名闘争は、解雇撤回に向け最後の関門を突き破る大決戦に入ったのだ。

国鉄改革法の根幹を食い破り最後の関門崩す大決戦に

 国鉄分割・民営化は、日本労働運動の中心を担っていた国鉄労働運動の壊滅を目的に、国家が総力を挙げて強行した不当労働行為だった。分割・民営化により20万人の国鉄労働者が職場を追われ、JRが発足した87年4月1日には7628人の労働者がJR不採用とされて国鉄清算事業団に送り込まれ、90年4月1日にはその国鉄清算事業団からも1047名が解雇された。
 国鉄分割・民営化を強行するために制定された国鉄改革法は、「国鉄とJRは別法人」という虚構をしつらえた上で、JR社員の採用手続きを「国鉄による採用候補者名簿の作成」と「JR設立委員会による採用候補者名簿からの採用者の決定」の2段階に切断した。国鉄が採用候補者名簿作成の段階で動労千葉組合員を排除するなどの不当労働行為を行っても、その責任をJRには負わせない仕組みを作ったのだ。
 JR採用差別について国労などがJRを相手にした裁判で、2003年12月、最高裁はこの国鉄改革法をたてに「JRに責任はない」という超反動判決を下した。そのため国鉄解雇撤回闘争は、裁判闘争の面では、旧国鉄を引き継ぐとされた鉄建公団(後に鉄道運輸機構に統合)を相手にした訴訟という回り道を取らざるを得なかった。
 その裁判も、国労闘争団などは2010年4・9和解で解雇撤回のないまま取り下げた。動労千葉だけが闘争を継続し、国鉄闘争全国運動を立ち上げて、東京高裁や最高裁への10万筆署名を呼びかけた。こうした粘り強い闘いが、「国鉄分割・民営化による解雇は不当労働行為」という最高裁決定を、実力でもぎり取ったのだ。
 その根底にあるのは、分割・民営化に絶対反対して動労千葉が85~86年に貫いた2波のストライキだ。暗雲を切り裂いて闘いとられたこのストライキが、以降、30年にわたり分割・民営化と対決する強固な団結をつくり出したのだ。
 その闘いは今、国鉄改革法を根本から食い破りつつある。JRはもはや責任逃れを決め込むことはできないのだ。

戦争・改憲阻止と「働き方改革」粉砕が最大のテーマだ

 国鉄分割・民営化を強行した中曽根は、当時、「(国鉄分割・民営化を突破口とする)行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と豪語した。以来、改憲の野望を阻んできたのは、動労千葉を先頭に国鉄闘争が不屈に継続されてきたからだ。
 今、安倍は憲法審査会を始動させ、改憲に突き進もうとしている。20閣僚のうち15人が極右「日本会議」の国会議員懇談会所属という第3次改造内閣を形成し、朝鮮侵略戦争にのめり込んでいる。そのただ中で天皇アキヒトが反革命的に登場した。安倍はまた、「働き方改革」と称して正社員ゼロ化―総非正規職化、解雇自由化の攻撃に乗り出している。
 これらの攻撃は、労働組合の団結を解体しなければ貫徹できない。安倍の最大の弱点は、国鉄闘争を解体できずに、この攻撃に踏み込んできたことにある。戦争を阻む労働者国際連帯をつくり出したのも国鉄闘争だ。
 国鉄分割・民営化にストで立ち向かった動労千葉のような闘いを今、よみがえらせれば、それは絶大な威力を持つ。また、国鉄分割・民営化による解雇を撤回させれば、それは分割・民営化以来の新自由主義攻撃を覆す決定的なテコになる。新10万筆署名を猛然と推進し、11月巨万の結集を実現しよう。

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