「もんじゅ推進」を報告 文科省検討委を弾劾する

週刊『前進』04頁(2767号03面02)(2016/07/25)


「もんじゅ推進」を報告
 文科省検討委を弾劾する

 文科省の有識者検討会は5月27日、「『もんじゅ』の運営主体の在り方について」と題する報告書を馳浩・文科相に提出し、高速増殖炉もんじゅ(福井県)を推進せよとした。もんじゅは核兵器の材料を製造する核燃料サイクルの軸であり、もんじゅ推進は核武装が目的だ。安倍政権の卑劣なあがきを許さず、もんじゅを廃炉に追い込もう。

事故が続出し運転できず

 もんじゅは1983年に建設が始まり、95年8月に運転を開始した。ところが直後の12月にナトリウム流出・炎上の超重大事故が発生。2010年5月に運転を再開したが、この際も直後の8月に燃料交換用機器落下の重大事故を起こし、運転中止となった。さらに点検漏れなどが続出し、今日に至るも運転できない状況が続いている。
 この危機を救うために昨年11月、原子力規制委員会が文科相に対し、半年以内にもんじゅの運転者を現在の日本原子力研究開発機構から別の組織に交代させるよう勧告した。それを受けて12月に文科省が設置したのが有識者検討会だ。
 有識者検討会が今回提出した報告書は、もんじゅの恐るべき危険性と破綻を開き直り、あくまで推進せよと凶暴に主張している。そのために事実を歪曲し、うそ八百まで並べ立てるという、怒りに堪えないものだ。

大惨事寸前の95年の事故

 報告書はまず第一に、95年のナトリウム流出・炎上の大事故を「トラブル」などと称し、些細(ささい)なことででもあったかのように描こうとしている。
 では、95年に発生した事故はどのようなものだったのか。
 もんじゅは普通の原発(軽水炉)とは異なり、冷却材に液体状になった金属ナトリウムを使用している。だが、金属ナトリウムは化学的な活性が高く極めて危険な物質だ。これは酸素に触れると燃え出し、水と接触すれば爆発するのだ。
 1995年12月8日、不安が的中し事故が発生した。この日の午後7時47分、原子炉の出力上昇中に2次冷却系ナトリウムの配管に穴が空き、約700㌔グラムの高温の液体ナトリウムが流出した。警報が鳴り響き、2カ所の火災報知器も異常を知らせた。運転員らは原子炉の停止を決定し、徐々に出力を落とし始めた。しかし、8時50分までに異常を知らせる火災報知器は48カ所にもなり、運転員らは原子炉を緊急停止させた。続いて配管の途中でバルブを閉じ、穴の空いた付近に入っていた約80㌧のナトリウムを抜き取った。
 翌日午前2時頃、運転員たちが防護服を着用し、ガスマスクと酸素ボンベ姿で配管室に調査に入った。中ではナトリウムが燃えた後にできる白いナトリウム化合物が、雪が降ったように溜まり、壁にも付着し、奥のナトリウムが流出した場所では、それが山のような状態になっていた。配管のナトリウムがすべて流出していれば、原子炉まで破壊されるような大惨事が不可避だった。
 さらに2次冷却系のナトリウム流出で最も重大な事態は、ナトリウムがコンクリートに触れ爆発する場合である。この事故はその寸前まで迫っていたと報告されている。

事故責任を労働者に転嫁

 報告書は第二に、「将来の高速増殖炉技術の確立に向けた研究開発を行う」と、もんじゅ推進を宣言している。もんじゅは、青森県六ケ所村に建設中の再処理工場と並ぶ核燃サイクルの軸であり、核兵器の材料となる高純度のプルトニウムを製造するためのものだ。絶対に許せない。
 報告書は第三に、安全確保のために、「(もんじゅで働く)担当者の......当事者意識と責任感」が大切と言い、「日々の保守管理作業を愚直に行う」ことまで強調している。さらにそれをもんじゅの労働者に強制するために、「人事評価制度の導入」「信賞必罰に基づく処遇」などの「人事制度を構築することが必要」と言い切っている。
 報告書は、事故は労働者の「意識と責任感」の欠如や「保守管理作業」がいい加減だから起こると言い、労働者の責任だと主張しているのだ。
 しかも稼働に突き進むために、労働者の怒りと闘いを抑え込み、労働者をどこまでも分断し酷使して、事故発生の際には労働者に責任を転嫁しようとたくらんでいるのだ。絶対に許せない。JRなどで資本がやっていることと同じだ。これは福島第一原発など全国の原発や核関連施設の労働者への攻撃でもある。
 今年5月にフランスで行われたゼネストでは原発労働者も決起し、19原発のうち16の原発でストライキを敢行した。原発労働者や核関連施設の労働者がストライキに立ち上がることに、日帝はおびえきっているのだ。
 もんじゅと全原発の再稼働を許すな。そして日帝の核武装―核戦争を絶対に阻止しよう。そのために、被曝労働拒否を貫く動労水戸や動労福島、動労東京、そして住民も労働者も被曝してはいけないと闘い、伊方原発再稼働を阻む愛媛県職労や京都府職労舞鶴支部のように闘おう。
(北沢隆広)

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