知る・考える 用語解説 「限定正社員」-総非正規職化狙う雇用形態
週刊『前進』02頁(2766号02面05)(2016/07/21)
知る・考える 用語解説
「限定正社員」-総非正規職化狙う雇用形態
安倍政権が強行しようとしている「働き方」改革で、労働者を総非正規職化するための基本的手段として導入される雇用形態。「ジョブ型正社員」と言われることもある。
「限定正社員」は、従事する職種や働く地域が限定される。そのため、職種が限定されている場合は、その職種が外注化されるなどして企業の中になくなれば、直ちに解雇される。地域が限定されている場合は、その地域の事業所がなくなれば、やはり直ちに解雇される。「正社員」とは名ばかりで、解雇自由の非正規職そのものだ。その賃金も従来の正社員より大きく引き下げられる。JR関連会社のCTS(千葉鉄道サービス)が導入をたくらむ「限定社員」は、時給820~920円という水準だ。
労働契約法の規定で、同一企業に5年以上継続雇用された有期雇用労働者には、無期雇用に転換する権利が2018年度以降、発生する。資本は、無期転換を阻むため、18年を前に大量の有期雇用労働者を雇い止めにする攻撃に乗り出している。仮に無期転換が行われたとしても、労働者を解雇自由の「限定正社員」としてしか雇おうとしていない。
安倍は、「従来の正社員は職務も労働時間も『無限定』だから長時間労働がはびこった。限定正社員制度を導入すれば長時間労働は是正される」というペテンで「働き方改革」を強行しようとしている。だが、その狙いは正社員をなくし、労働者を総非正規職化することにある。