西郡国賠裁判闘争 〝裁判長、逃げるな!〟 突然の結審に怒り爆発
西郡国賠裁判闘争
〝裁判長、逃げるな!〟
突然の結審に怒り爆発
「裁判長逃げるな!」「代理人の質問に何も答えないで結審するな!」
最低限の審理も投げ捨てて法廷から逃げ去る森木田邦裕裁判長に怒号が飛んだ。「これが裁判ですか!」と京都・東三条のBさんも叫んだ。追い詰められたその姿は戦争政治と更地化を進める安倍そのものだ。勝利しているのはわれわれだ!
6月17日、大阪地裁1006号法廷で西郡国賠裁判闘争が闘われた。証言に立った全国水平同盟西郡支部の久原正子支部長と原告8家族の一人、佃照夫さんは、国・裁判所の不正義を暴いた。
原告代理人は、「申請した残り3人の証人と住宅明け渡し判決で仮執行宣言を付けた古財裁判長の証人採用を要求する」と迫った。裁判長は「必要性がない」としか答えられない。代理人は「なぜか。古財裁判長を呼んで聞かないと、なぜ仮執行を付けたのか分からないではないか」と追及する。裁判長は「私の経験から必要性を感じない」とボソボソと言う。ふざけるな!
原告と約40人の傍聴団の怒りが爆発した。
原告代理人がさらに「裁判官の証人採用の必要性がないという理由を明らかにせよ」と意見を述べている最中、追い詰められた森木田裁判長は、突然「結審します。判決は9月16日午後4時から」と言い、審理を打ち切った。そして裁判の終了も告げられずに法廷から逃げて行った。
この日、久原証人は住宅闘争の歴史を始め裁判闘争にかける住民の思いと決意を明らかにした。
「西郡の住宅は、戦後、劣悪な住環境の中から住民が『生きさせろ』と立ち上がり、東京に何度も上京し、運動して建てさせた。だから、住宅や家賃を住民が管理し、助け合う住民の団結と共同体の軸だった」「ところが応能応益家賃制度は、すべてを国と行政が決めた。家賃も世帯収入で決めるため、 若者を中心に10年間で1千人が追い出された」「新自由主義によって、共同体は解体・更地化され、住民が住宅からたたき出されている。団結を取りもどし、『生きさせろ』とすべてを奪い返そうと住宅闘争を闘ってきた」
また、島瀨とよ子さんについて、「強制執行当時、88歳のため転居先がなかなか見つからず、心労から救急車で病院に運ばれるなど生死の狭間をさまよった」と仮執行を弾劾。「島瀬さんは『この仇(かたき)を必ず取ってやる。前へ前へ』とみんなを鼓舞している」と誇り高く語った。
続いて佃証人は、8家族の怒りを体現した大きな声で、「62年間住み慣れた西郡、34年間住み続けてきた改良住宅。明け渡し通告から19日間で出て行けとは何ごとだ」「自分の半生がこもった厨房(ちゅうぼう)道具や思い出の品をいっぱい残してきた。ほんとうに悔しい」と弾劾。そして「強制執行はまちがいだ。住宅を返せ。国、八尾市、裁判所は謝罪せよ」「古財裁判長の取り調べは絶対に必要だ」と裁判所に語気強く迫った。最後に「国や行政の金もうけのために労働者や住民を犠牲にしてもいいというあり方を断じて許せず、国賠裁判に訴えた。どこまでも闘う」と戦闘宣言を突きつけた。
国の代理人は二人の証言に圧倒され、何ひとつ質問できなかった。この勝利の地平から鈴木選挙勝利へ、全国水平同盟は全力で決起する。
(全国水平同盟西郡支部・錦織進)
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▼西郡国賠裁判闘争
大阪府八尾市による西郡住宅8家族への追い出し強制執行を弾劾し国家賠償を請求する闘い。八尾市が住宅明け渡しを訴えた裁判の一審判決(14年)で古財英明裁判長が仮執行宣言を付けたことを受け、8月に強制執行。9月の二審判決は仮執行宣言を取り消した。