焦点 「五輪返上」の声を参院選に 裏金・利権・福島圧殺の「祭典」

週刊『前進』02頁(2760号02面04)(2016/06/30)


焦点
 「五輪返上」の声を参院選に
 裏金・利権・福島圧殺の「祭典」


●2億3千万のわいろも発覚
 舛添が最後まで執着したオリンピックとは、1%の大資本と支配階級が利権をあさり、国威発揚を図る「祭典」だ。
 2020年東京五輪招致には莫大(ばくだい)な裏金が使われた。招致委から、当時IOC(国際オリンピック委員会)委員だった国際陸連会長にペーパーカンパニーを経由して2億3千万円が支払われたことが発覚した。「正当なコンサル料」(日本オリンピック委員会・竹田恒和会長)などとごまかしているが、明白なわいろだ。これに深く関与したのが大手広告代理店の電通である。電通は五輪のマーケティングや広告利権を掌握した企業だ。利権目当てに裏金をばらまいたのだ。
 だが、明らかとなっているのはまだほんの一部に過ぎない。招致にかかった経費は2年間で約89億円。これを都と招致委で負担し、都は約35億円である。また、「電通・元専務の会社のコンサル部門の売り上げが15億円にはね上がった。招致委から元専務のもとに巨額の金が流れた」との報道もある。まさにカネまみれ、汚職まみれだ。この汚職と利権に、舛添や自民党の森喜朗、安倍らが総がらみになっているのだ。
●ゼネコンに税金を垂れ流し
 オリンピックの商業化のもとで、ゼネコンを始めとする大資本が利権にシロアリのようにたかっている。運営費が全体でどれほどかかるのかは誰も分からない。組織委員会の森会長は昨年7月、「当初の3倍ぐらい。2兆円を超すかもしれない」と発言した。立候補ファイルで示した大会開催費は7340億円で、そのうち国と都の税金は3113億円。単純計算で3倍とすれば税金は9339億円に膨らむ。税金を垂れ流しゼネコンにぼろもうけさせたつけは、将来にわたって労働者人民が背負わされるのだ。
 16年夏季五輪開催地のブラジル・リオデジャネイロ州が6月17日、財政非常事態を宣言した。サッカー・ワールドカップに続く五輪関連施設などで財政が破綻状況となり、州職員や警察官、教員の賃金支払いが滞ったり、高齢者への年金支払いが止まったりしている。労働者人民の怒りは沸騰し、五輪開催そのものが危機に陥っている。04年ギリシャ・アテネ五輪も関連支出の総額が当初計画から倍増の約1兆円となり、財政危機に陥る直接の原因となった。
 東京五輪をめぐっても新国立競技場の建設費は当初予定の倍以上の3千億円超に膨れ上がり、昨年7月に白紙撤回された。撤回に伴い約150億円が損失となったが誰も責任を取らず、新たな建設計画も建設費が1490億円に上る。その半分の791億円を国が負担し、約395億円を都が負担する。ボート・カヌー会場の「海の森水上競技場」は当初69億円だった整備費が1千億円超にまで膨れ上がった。圧縮後も491億円だ。オリンピック後は巨大施設の膨大な維持管理費が自治体にのしかかる。「オリンピックなど直ちにやめて保育・教育・福祉・介護を保障しろ! 消費税をなくせ!」ということだ。
●福島圧殺と放射線被曝強制
 また、とくに東京五輪は福島圧殺と被曝強制として強行される。13年9月7日、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれたIOC総会で安倍が発した大うそは絶対に許せない。
 「(福島第一原発の)状況はコントロールされている」「汚染水の影響は、福島第一原発の港湾内の0・3平方㌔メートルの範囲内で完全にブロックされている」「健康問題については、今までも、現在も、そして将来も、まったく問題はない! ということをお約束します」
 黒を白と言いくるめる大欺瞞(ぎまん)だ。現在173人の子どもが甲状腺がんと診断されている現実の中で、どれだけ健康被害が出ても「原発事故との関係は絶対に認めない」と「約束」したのだ。東京五輪に向かって徹底的に福島の現実にふたをして福島を切り捨て、原発を再稼働し、3・11を「なかったこと」にしようとしている。
 さらに、東京湾岸地域は放射能の汚染度が高く、中央防波堤は放射性物質の処分場だ。ここが競技会場となる。建設工事にかかわる労働者に被曝労働を強い、選手も被曝させられる。
 「99%の労働者人民を犠牲にして1%の大資本と支配階級が利権にたかるオリンピックなどいらない!」というのが労働者人民の率直な要求だ。ところが日本共産党は、政府・自民党などと肩を並べオリンピック成功議案に翼賛し、反対と言うこともできない。「オリンピックは返上だ!」を掲げて闘う鈴木たつお候補を参議院に送ろう。

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