東京で被曝労働拒否を 放射能汚染土の再利用許すな

週刊『前進』04頁(2757号03面01)(2016/06/20)


東京で被曝労働拒否を
 放射能汚染土の再利用許すな


 福島で帰還強制の攻撃が日増しに強まり、それに伴って首都東京で被曝労働が強いられようとしている。JR常磐線の延伸・全線開通、高汚染土の東京オリンピック施設への「再利用」、都内の放射能汚染区域でのオリンピック施設の建設、という三つが焦点だ。福島の怒りをともにし、被曝と被曝労働を絶対に許さない運動を起こそう。同時に、帰還強制に伴う避難者の住宅支援打ち切りに反対しよう。

常磐線全線開通阻止へ

 南相馬市は7月12日を避難指示解除の日と決定した。ほぼ同時にJR東日本は、常磐線小高駅―原ノ町駅間について、同じ7月12日から運転を再開すると発表した。非常に露骨な帰還強制のための運転再開だ。
 これに対し動労東京は、6月4日の結成宣言で、「『3・11』の現実に真っ向から立ち向かった動労水戸の被曝労働拒否の闘いが全国に広がっている。いま、この闘いがもっとも求められているのは東京だ。動労水戸、動労福島とともに、常磐線全線開通阻止・被曝労働拒否の闘いを巻き起こす」と決意を示した。動労東京を先頭に、この闘いを全都の労働者人民すべての闘いに押し広げよう。

数十万の労働者が被曝

 さらに政府・環境省(有識者検討会)は6月7日、福島などの放射能汚染土について8千ベクレル/㌔グラムまで全国の公共事業で再利用していいと決めた。事故の前の2005年に、原発施設から出る放射性廃棄物について、放射性セシウム100ベクレル/㌔グラム以下は「再生利用」可能とされた。8千ベクレルはその80倍だ。そもそも、放射線は1発でも人体を傷つける。だから、放射性廃棄物の再利用など絶対にあってはならないことだ。
 4万ベクレル/平方㍍を超えると放射線管理区域であり、土汚染に換算すると615ベクレル/㌔グラムとされている。実にその10倍以上の放射能汚染土を使っていいとしたのだ。再利用に伴う内部被曝の評価は「安全性評価検討ワーキンググループ」で行うとしているが、その構成員・議論・資料のすべてが非公開で秘密のままだ。
 この汚染土が最も使われると推測されるのは、東京オリンピック関連の諸施設の建設である。福島などでの汚染土処理施設の労働者、清掃労働者、処理施設から工事現場に運ぶ運輸労働者、直接に工事する建設労働者、現場に携わる公共事業関係の自治体労働者など、何十万人もの労働者、さらに全都の住民が被曝させられる。首都を中心にしたこれほど大規模な被曝労働は絶対に許されない。
 膨大な汚染土は、福島での除染によって発生した。除染による廃棄物を梱包(こんぽう)したフレコンバッグは、すでに1100万袋超あり、さらに3倍に増えると見込まれる(6月6日付東京新聞)。帰還を強制するためにアリバイ的な除染をやった結果、始末しようのない廃棄物を生み出し、今度はそれを首都などの公共事業に再利用して膨大な労働者人民をまた被曝させる。
 福島での帰還強制・被曝強制と、汚染土再利用による首都における何十万人の被曝労働と1300万都民の被曝がまさに表裏一体でやられようとしている。こんなことをやる安倍政権と資本家階級は絶対に打倒する義務がある。

湾岸汚染地に五輪施設

 オリンピックの新施設の建設も始まろうとしている。1月には東京湾岸・江東区の3施設の設計・施行業者が決まった。ボート・カヌー(スプリント)用の「海の森水上競技場」、水泳用の「オリンピックアクアティクスセンター」、バレーボール用の「有明アリーナ」の三つだ。さらに江戸川区・葛西臨海公園横のカヌー・スラローム用の新施設は17年度着工とされている。
 「海の森水上競技場」は中央防波堤に新設される予定だが、ここは放射性廃棄物が埋められた場所そのものだ。また、千葉県の印旛沼から花見川を経て東京湾に汚染が拡散しており(4月14日付東京新聞)、特に河口周辺で高い汚染が続いている。東京湾岸でオリンピックをやるのは、〝故意の殺人的行為〟にほかならない。しかも、8千ベクレルという高汚染土を使って建設工事が行われる。一つだけでも深刻な被曝をもたらすのに、三重に加算された被曝となる危険性があるのだ。
 東京オリンピックに向かう過程は朝鮮侵略戦争の準備・突入過程と重なる。その攻防はすでに始まっている。東京での被曝労働拒否を、参院選での鈴木たつおさんの当選をかちとり、東京の労働運動を塗り替えるものとして闘おう。首都東京からゼネスト・革命へ、なんとしても被曝労働拒否の決起を巻き起こそう。
(島崎光晴)

------------------------------------------------------------
被曝労働反対の運動を東京から
7・22東京集会
 7月22日(金)
 午後6時 映画『A2‐B‐C』上映
 午後7時 被曝労働と闘うJRや自治体労働者からの報告
 江戸川区総合文化センター研修室
 主催 NAZEN東京

このエントリーをはてなブックマークに追加