焦点 消費税廃止こそ労働者の要求 「アベノミクス」大破産で再延期

週刊『前進』02頁(2754号02面02)(2016/06/09)


焦点
 消費税廃止こそ労働者の要求
 「アベノミクス」大破産で再延期


 首相の安倍晋三は6月1日、来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを19年10月まで2年半再延期することを正式表明した。14年11月の前回の増税延期会見で行った「公約」を覆してまで再延期せざるを得なかったのは、それほど日帝の危機が激しいということだ。
 5月26〜27日の伊勢志摩サミットで安倍は「リーマンショック並みのリスクが目の前に切迫している」とことさら強調した。それは、アベノミクスの破産を塗り隠しつつ消費増税の再延期を正当化するためだった。だが、安倍のインチキでご都合主義的な主張にG7首脳から異論が噴出し、日帝は孤立した。
 今回の会見でも安倍は「新興国や途上国の経済が落ち込んでおり、世界経済が大きなリスクに直面」と述べ、あくまで海外要因に再延期の理由をなすりつけ、「アベノミクスは順調に結果を出している」と強弁した。
●家計支出は8カ月連続で減
 だが、アベノミクスの破産はすでに結果が出ている。
 何よりも国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費が減少している。消費税率を8%にした14年4月以降、家計が1カ月に使う金が前年を上回ったのは3カ月しかない。4月の家計調査によると、2人以上の世帯の1世帯あたりの消費支出は29万8520円と、前年同月比0・4%減。うるう年のため2月に増えたのを除けば8カ月連続で減少した。労働者人民は食費を切り詰めるなどして、支出を減らしているのだ。
 さらに安倍は「有効求人倍率は24年ぶりの高水準」と言う。だが、増えているのは高齢者や女性の非正規労働が中心だ。
●生産年齢人口が1千万人減
 何よりも根本にあるのは生産年齢人口の減少である。24年前は約8600万人だった15〜64歳の生産年齢人口は95年をピークに減り、今年4月は7600万人で約1千万人も減少している。新自由主義による非正規化、貧困の結果、労働力の再生産もできなくなっている。
 企業の収益も悪化している。1〜3月期の法人企業統計で、金融業・保険業を除く全産業の経常利益は前年同期比で9・3%減と、2四半期連続で減少。特に製造業は年明け以降の急激な円高の影響で20・4%減と大きく落ち込んだ。リストラ、解雇が吹き荒れ、労働者と家族が路頭に放り出されている。
 大恐慌のもとで日帝は帝国主義間争闘戦でも劣勢で危機を深めている。国内総生産の成長率見通しも17年に米国は2・5%、欧州は1・9%であるのに対し、日本は16年に0・5%ととりわけ低い。予定どおり来年4月に10%化を強行すれば、マイナス成長へと陥る。こうした恐怖に打ち震えているのだ。
●「構造改革断行」叫ぶ安倍
 安倍と資本家階級はますます「構造改革」や「成長戦略」を叫び、新自由主義的な階級戦争に突き進もうとしている。「同一労働同一賃金」を「非正規という言葉を日本国内から一掃する決意」でやるとは、正社員ゼロ・総非正規化ということだ。
 安倍は「20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を目指す」と表明したが、そんなものはとっくに破産している。15年度末時点で1049兆3661億円にまで膨れ上がった「国の借金」は、歴代政権が大銀行や大資本の救済のために作った借金だ。そのツケを労働者人民に回すなど絶対に許せない。韓国・民主労総は、「財閥の倉庫を開けろ!」と叫んでゼネストに決起している。破綻した帝国主義をプロレタリア革命で打倒し社会を建設することが唯一の回答だ。
 朝日新聞などは〝財政再建と社会保障維持のために10%化は必要〟という論をあおっている。とんでもない反人民的な議論だ。消費増税が「社会保障の財源」など大うそだ。それは大増税の口実だ。消費税引き上げの結果、社会保障が充実したか? 年金は削られ、労働者人民は賃下げに加えて医療・介護・育児・教育の負担増にあえぎ、怒りが充満している。
●消費税は最悪の大衆収奪税
 消費税は労働者人民からも資本家や富裕層からも同じ税率で徴税する大衆収奪税制だ。これは社会保障とは真逆の政策だ。消費税は上げられる一方、法人税は80年代から現在まで半分近くに下げられた。企業が負担してきた税を労働者人民の負担に切り替えているだけだ。
 消費税は廃止以外にない。8%には反対しない日本共産党は今や安倍と同じ立場だ。鈴木たつお弁護士は「消費税廃止」「新しい労働者の政党を」「労働者の力で革命をやろう」と訴えている。参院選で必勝をかちとりゼネスト・革命へ進もう。

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