老朽原発の運転許すな 圧力容器が瞬時に飛び散り 炉心は露出、大災害は必至
週刊『前進』04頁(2753号03面03)(2016/06/06)
老朽原発の運転許すな
圧力容器が瞬時に飛び散り 炉心は露出、大災害は必至
核戦争を狙うオバマと安倍
G7サミット直後の5月27日、被爆地・広島でオバマと安倍は、「核兵器なき世界」を大キャンペーンした。これほど憎むべきデマ宣伝はない。なぜなら米日帝は今、まさに核戦争としての朝鮮侵略戦争の引き金に手をかけているからだ。しかもオバマは、核ミサイル発射を許可するためのカバンを平和記念公園に持ち込んだ。この共犯者・安倍は熊本大地震の真っただ中で川内原発の稼働を続行した。7月には伊方原発を再稼働し、さらに老朽原発まで次々と動かそうとしている。全学連と階級的労働運動派は、ヒロシマ・ナガサキ、フクシマ、オキナワの怒りの最先頭で戦争会議・サミット粉砕、戦争・核犯罪の首謀者=オバマ・安倍の来広粉砕闘争をたたき付けた。
安倍政権の御用機関・原子力規制委員会は、40年を超える高浜原発1号機、2号機について「大きな論点は残っていない」と言いなして、全審査期限の7月までに20年運転延長のゴーサインを出そうとしている。
「高浜」は脆性破壊の危険が
原発事故で最も危惧されているのが、ガラスのように脆(もろ)くなった圧力容器が突然壊れる脆性(ぜいせい)破壊だ。金属は一定の温度以下になると本来の粘り強さを失い、衝撃に弱くなる性質がある。その境界となる温度は脆性遷移(せんい)温度と呼ばれている。原発の圧力容器(鋼鉄製)は核燃料の燃焼で発生する中性子に曝(さら)されると、運転時間とともに脆くなり、脆性遷移温度も高くなっていく。冷却水喪失のような緊急事態が発生した場合、300℃ほどの炉心に、緊急炉心冷却装置(ECCS)から冷水が送り込まれる。この急激な冷却でどうなるのか。「鋼材の破片はミサイルとなって瞬時に飛び散るので、格納容器の壁は難なく貫通してしまうであろう。炉心は露出し、大災害へと発展してしまう」(『原発はなぜ危険か』元原子炉製造技術者・田中三彦著)
原発の圧力容器の長期にわたる中性子照射劣化は十分にわかっていないという。だから、あらかじめ圧力容器内に同じ材質の複数の監視試験片を設置し、数次にわたって取り出して中性子による脆さの進行を検査する。試験片は圧力容器の内表面近傍に設置されているので、その脆化は圧力容器内面の脆化と見なさなければならない。原発は脆性破壊の恐るべき実験炉として動かされてきたのだ。
1970年代半ばに運転を開始した高浜原発1、2号機などの古い原発は、圧力容器の鋼材に中性子照射による脆化が起きやすい銅が多く含まれている。高浜1号機の脆性遷移温度は特に高くなっている。図を見れば明らかなように、試験片は中性子を浴びれば浴びるほど、脆性遷移温度がどんどん高くなっている。運転開始から35年後の2009年には、なんと99℃も上昇している。
こうした危険極まりない老朽原発の稼働をさらに20年延長するなど言語道断だ。壊滅的核惨事を引き寄せ、労働者人民の無数の命を危険にさらす安倍政権をぶっ倒そう。
原発再稼働の目的は核武装
日帝支配階級にとって原発の本当の目的は、電力ではなくて核兵器の原料のプルトニウムを生産することである。「核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともに、これに対する掣肘(せいちゅう、干渉の意)を受けないよう配慮する」(「わが国の外交政策大綱」1969年)というように、プルトニウムは「平和目的」に限って使うと強弁しながら、核武装国家化政策=原発・核燃サイクルが推進されてきた。だが、高速増殖炉「もんじゅ」が行き詰まる中で「掣肘」をかわそうと、原発でプルトニウムを消費して電力を生産するプルサーマル計画が決定的に重視されるようになった。しかし、3・11原発大事故と反原発闘争の爆発によって原発が全面的に停止し、プルサーマルは破産の危機にたたき込まれた。日帝のプルトニウム保有が核武装のためであることがむき出しになってきている。2018年の日米原子力協定期限切れを目前にした今日の帝国主義間の争闘戦の非和解的激化は、日帝のプルトニウム大量生産・保有体制問題を一大政治・軍事的焦点へと押し上げつつある。
日帝の核武装国家化の衝動がかつてなく高まる中で、核超大国・米帝などの牽制(けんせい)の動きも激しくなっている。安倍政権は「掣肘」にびくつき、プルサーマル計画の復元に躍起となっているのだ。小型の原発は廃炉にしても、大型原発は新旧問わず温存・再稼働して、プルサーマル計画とプルトニウム大量生産・保有体制を維持しようとしている。再稼働の重点原発は、高浜3、4号機、伊方3号機、美浜3号機など、いずれもプルサーマル対象炉である。
核戦争・核事故・被曝労働……。「もう我慢できない!」「こんな資本主義など滅びてしまえ!」と、安倍に対するすべての怒りと一体で、反原発闘争の中からも革命の芽が急成長しつつある。階級的労働運動と労働者階級の国際連帯、プロレタリア世界革命こそ、「核のない世界」を実現する真の道である。
川内原発を今すぐ止めろ。伊方原発7月再稼働するな。老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の20年運転延長許すな! 6〜7月選挙決戦を全力で闘い勝利し、全原発の即時廃炉への前進をかちとろう。
(河東耕二)