「正社員ゼロ化」と対決を 業務委託費の削減叫ぶJR
週刊『前進』04頁(2753号02面02)(2016/06/06)
「正社員ゼロ化」と対決を
業務委託費の削減叫ぶJR
国鉄闘争全国運動の6・5集会を経て、国鉄決戦はいよいよ重大な攻防に入る。CTS(千葉鉄道サービス)の就業規則改悪阻止の闘いはこれからが本番だ。JR資本は正社員ゼロ化=総非正規職化と解雇自由化を狙う安倍の労働法制大改悪の攻撃の最先頭に立っている。鈴木たつお弁護士を押し立てての6~7月選挙決戦に勝利し、国鉄を基軸にゼネスト情勢を押し開こう。
地方線の切り捨てと強搾取で最大の利益
JR東日本の2016年3月期決算は、運輸収入、営業収益、経常利益ともに過去最高になった。大恐慌下でのこの結果は、直接にはローカル線を切り捨てて強行された北陸新幹線の開業によるものだ。だが、根底にあるのは労働者からの徹底した搾取と外注化・非正規職化の進行だ。JR東日本が4月28日に株主に向けて行った決算説明会で、社長の冨田哲郎は外注化・非正規職化への突進をあらためて表明した。JR東日本の大株主は、みずほや三菱東京UFJ、三井住友の3大メガバンクや、外国の投資銀行だ。他方、決算内容を説明するJR東日本の幹部役員は、19人で年間総額7億8500万円(平均4130万円)もの高給をせしめている。こうしたやからが、手取りで月十数万円しか得ていない非正規労働者から、さらに搾り取るための方策を謀議する場が決算説明会だ。
ここで冨田は、今後の業績見通しに触れて次のように発言した。
「車内サービス業務や清掃回数の見直し、多能工化の推進などを行いながら、人件費と業務委託費の合計を削減していくことを目指してきた。……人件費と業務委託費の合計は……各年度暫時逓減できるという見通しを持っている。特に人件費は急速な退職者の増加もあり、着実に落とせる、業務委託費を合わせてもトータルでマイナスになっていくという見通しを立てることができる状況になってきた」
清掃業務の人員削減はJR東本社の指示
JR東日本は、16年3月期決算で6759億円だった人件費と業務委託費の合計を、来期には6700億円に削減する計画を立てている。言うまでもなく外注会社の業務委託費の決定権は、JRが完全に握っている。その業務委託費を年々切り下げていくことは、JR東日本の既定方針だと冨田は断言したのだ。CTSが就業規則を改悪して大量の非正規労働者を雇い止めにし、同時に労働条件をとことん切り下げる攻撃に出てきたのも、JR東日本本社のこの方針があるからだ。
冨田が言う「車内サービス業務の見直し」とは、普通列車のグリーン車に乗務しているグリーンアテンダントの乗務行路削減のことだ。
さらに、冨田が「清掃回数の見直し」に言及したことは重大だ。清掃業務を請け負うCTSや東日本環境アクセスなどで強行されてきた人員の削減は、JR東日本本社の指示で行われたのだ。昨年3月の上野東京ラインの開通で、列車の運行距離は大幅に伸び、列車の汚れもひどくなった。だが、JRは現場の実態などまるで無視して、人員と業務委託費を削り込んだ。その結果が、清掃労働者に強いられている過酷な労働と、生活もままらない低賃金だ。
冨田はまた、「急速な退職者の増加」で「人件費は着実に落とせる」と言う。JR本体の労働者が大量に定年退職を迎える中で、技術継承は絶たれ、鉄道の安全は崩壊している。しかしJR資本は、大量退職をコスト削減の絶好の機会としか見ていない。労働者が切実に求めている65歳までの定年延長も、頭ごなしに拒否している。
他方でJRは、この間、続発している重大事故の原因が、「鉄道のシステムチェンジ」「水平分業の深度化」「社員の急速な世代交代」にあることを認めざるを得ない。外注化こそが鉄道の安全を破壊している事実を否定できないのだ。
だが、JRは「課題解決」の方策として「パートナー会社の技術力向上」を言うだけだ。外注会社に技術力をつけさせるという口実で、さらに外注化・非正規職化を進めようとしているのだ。
外注化・非正規職化に東京で反撃に立とう
安全を無視したJRの外注化は、もはや完全に破綻している。CTSの就業規則改悪の4月1日実施を阻んだ動労千葉に続き、ついに首都・東京に動労総連合の旗が立つ。JR本体の労働者と外注会社の労働者が団結し、外注化に総反撃をたたきつける時が来た。それは、ゼネストを闘う韓国・民主労総との連帯のもと、朝鮮侵略戦争を阻む闘争でもある。国鉄1047名解雇撤回の新署名をあらゆる職場に持ち込もう。鈴木たつお弁護士を押し立てての6~7月選挙決戦に総決起し、JRとその関連職場からゼネストと革命の展望を切り開こう。