オバマ「核なき世界」の大ペテン 「核のボタン」も平和公園に持ち込み
オバマ「核なき世界」の大ペテン
「核のボタン」も平和公園に持ち込み
5月27日、安倍とともに広島へ乗り込んだ米大統領オバマは、核発射を認可する大統領専用コードの入った装甲ブリーフケースを付き添いの陸軍武官に持たせ、被爆者の遺骨が眠る平和公園を蹂躙(じゅうりん)した。オバマは慰霊碑を背に行った演説で原爆投下への謝罪や反省を一切述べず、その国家犯罪を居直った。新たな核戦争を準備するオバマと安倍を絶対に許してはならない。全世界の労働者の団結で米日帝国主義を打倒し、労働者の手ですべての核を廃絶しよう。
謝罪も反省もなく原爆投下居直るオバマ
オバマの広島演説は、原爆投下というアメリカ帝国主義が犯した未来永劫(えいごう)許されることのない国家犯罪・戦争犯罪を完全に居直るものであり、ヒロシマ・ナガサキのすべての被爆者、そして日本と世界の労働者人民にとって絶対に許すことできないものだった。
オバマはその演説の冒頭で、広島への原爆投下を「空から死が降ってきた」などとあたかも自然災害のように描き、これに対する一片の謝罪も反省もない態度をあらわにした。そして抽象的で無内容な17分間の長広舌を通じて、米帝の戦争責任・戦争犯罪をどこまでもあいまい化しつつ、「自分の生きている間に(核廃絶は)達成できない」という2009年プラハ演説の言葉を繰り返した。ここに示されているのは、米帝は今後も核を保持し、また米帝自身の判断でいつでも使用するという立場を少しも変えていないことだ。
オバマと安倍は、この演説の場に被団協の一部幹部などあらかじめ選別された被爆者を同席させ、あたかも広島の被爆者が原爆投下を許し、米帝オバマと和解したかのような演出を行った。これを与野党問わず日本のあらゆる政治勢力や大手マスコミがもろ手をあげて大絶賛しているのだ。
30年で1兆㌦の大核軍拡を強行する米帝
何よりも演説の本質は、オバマらが核攻撃を許可するコード入りのケース(「高度緊急状態」に置かれた975発の核弾頭の発射を命令できる)を持って平和公園へ乗り込んだという事実に示されている。しかもオバマは、この膨大な核兵器を圧倒的に強化し刷新する新たな核政策をすでに開始しているのだ。
今年1月、「米オバマ政権が今後30年間で1兆㌦を投じて核戦力の更新を計画している」と英エコノミスト誌が報じて以来、その恐るべき大核軍拡戦略の実態が次々と明らかになっている。アメリカの反核団体が発表した報告書『1兆ドルの大惨事』によると、オバマが推進する計画は、「米国保有の全核兵器を刷新し、高性能化するもの」であり、明らかに「核戦争を始めるための計画」だという。
すなわち、冷戦時代の巨大化した核爆弾に代わり、破壊力を広島型原爆の3倍〜2%程度まで「調節」して臨機応変に使用できる新型核爆弾「B61―12」を開発する。従来の核攻撃型巡航ミサイル・トマホークの後継として、数千㍄離れた攻撃目標までレーダーを回避して到達できる新型長距離巡航核ミサイル(LRSO)を導入する。さらに、こうした核兵器の刷新に伴い、陸・海・空軍の核搭載可能な兵器(原子力潜水艦やステルス爆撃機など)が一斉に新開発される。
これらは実に「従来よりもはるかに核兵器に依存した米軍」をつくる計画と言われ、国防省の内部からも「核兵器使用の敷居が低くなり、一度使用するとコントロールが効かなくなる」として反対の声があがるほどだ。単なる核兵器の「近代化」ではなく、核兵器を「実際に使用する」ことを最大の目的とした、まったく新たな核軍拡戦略の開始である。
そもそもオバマは2009年のプラハ演説で「安全、確実で効果的な核兵器備蓄を維持する」と宣言して以来、ブッシュ前政権を大幅に上回る核兵器関連予算の増額を毎年続けてきた。その額は、オバマ政権として初の本格的な予算要求となった11年度の時点で約70億㌦、16年度には90億㌦近くに達している。
その上、さらに「30年間で1兆㌦」を投じるとは、年平均330億㌦超の史上空前の一大核軍拡戦略に踏み出すということである。まさに「第2のマンハッタン計画」ともいうべきものだ。
この現実を前にオバマの広島訪問を賛美することは、新たな核戦争を容認することに等しい。
被爆者の怒り継承しすべての核の廃絶を
日帝・安倍は今回のオバマ訪問を最大限に政治的に利用して、日本の労働者階級が戦後一貫して守り抜いてきた「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな」「一切の核と戦争を許さない」という闘いの原則と階級意識を解体することを狙った。
これに対して怒りの弾劾をたたきつけた5・26〜27オバマ来広弾劾闘争は圧倒的な注目を集め、国内外で広範な共感を呼んでいる(1面に記事)。安倍の報道管制など、労働者の決起で粉砕できるのだ。
「人間をかえせ 人間の世のあるかぎり崩れぬ平和をかえせ」(被爆詩人・峠三吉)という被爆者の叫びは、戦後の反戦反核闘争を通じて日本労働者階級の共同の決意となった。それは帝国主義によって奪われたすべてを労働者階級の手に取り戻す闘いとして、今日の国鉄闘争を先頭とする階級的労働運動と革命的共産主義運動の中に脈々と受け継がれている。この力がある限り、ヒロシマ・ナガサキの怒りと闘いを抹消することなど絶対にできないのだ。
韓国・民主労総をはじめ全世界の労働者と団結し、米日帝国主義の朝鮮侵略戦争=核戦争を絶対に阻止しよう。帝国主義を打倒し、すべての核を廃絶しよう。
(水樹豊)