焦点 経済でも対中でも対立は深刻 安倍はG7で最大の危機にある
焦点
経済でも対中でも対立は深刻
安倍はG7で最大の危機にある
5月27日に閉幕した主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)は、無残な大失敗に終わった。日本が獲得目標としてきた「財政出動での国際協調」で他国の同意が得られず、G7の分裂・対立がかつてないほど露呈した。特に、日帝経済の壊滅状態の中で消費増税の再延期を余儀なくされた安倍が、自らのアベノミクスの破産をとりつくろうために「世界経済はリーマンショック級の危機に直面している」などと主張したことに対し、異論が噴出した。
他方で米日帝国主義は、沖縄の米軍属による女性殺害・遺棄事件への激しい怒りが「すべての基地を撤去せよ」の声となって爆発する中、この沖縄の怒りを圧殺して辺野古新基地建設を強行し、「航行の自由作戦」などの対中国、対北朝鮮の軍事戦略を強化することを確認した。だがこの点でも、中国と協調姿勢をとる英・仏・独などと「温度差」が浮き彫りとなった。
イギリスのEU(欧州連合)離脱問題については、なんら打つ手を見つけることができなかった。全世界人民の怒りの的となっているタックスヘイブン(租税回避地)については、「監視や規制の強化をはかる」などと確認したが、租税回避地での株所有が暴露された英首相・キャメロンをはじめ、そもそもサミットに顔を並べる政治家連中こそ、大資本家と結託して税逃れを保証してきた張本人である。これへの怒りはこれからますます爆発していく。
●財政出動で国際協調できず
「G7での安倍氏の使命は、一段の財政出動に賛成するよう各国首脳を説得することだったが、失敗した」(英BBC)、「安倍氏は『深刻なリスク』の存在を訴え......(消費増税延期を)国民に訴える手段にG7を利用した」(仏ルモンド紙)、「巨額の財政赤字を抱える日本が、他国に財政出動を求める資格があるのか?」(中国新華社通信)。まさに今回のサミットで露呈したのは、大恐慌下でのG7の対立・分裂と日帝・安倍の八方ふさがりの危機である。
もとよりサミットとは、G7に名を連ねる帝国主義・大国の支配者が、世界の市場・資源・勢力圏をどのように分割し強奪するか、そして「1%」の資本家による全世界の「99%」の労働者人民への支配をいかに維持するかを、軍事的手段も含めて話し合う「強盗会議」「戦争会議」にほかならない。そこには常にG7同士の激しい利害対立と争闘戦が貫かれてきたが、今回ほど議長国の提案が他の参加国に拒否されるのは異例だ。
安倍はサミットに先立ち、5月連休中に欧州を歴訪して「財政出動での協調」を各国に求めた。だがドイツとイギリスは冷淡にこれを拒否。続くG7財務相・中央銀行総裁会議(21日閉幕)では、財政出動に前向きと見られたフランスまで一転して財政出動を否定した。さらに4月から公然化した為替をめぐる日米対立(本紙2746号2面参照)も激化したままサミット本番を迎えることになった。
結局、サミットで確認したのは「金融、財政、構造改革の三つを各国の事情に応じて取り組む」という従来通りの一般論にすぎない。ところが安倍は、これを「アベノミクスの3本の矢を世界で展開することになった」などと記者会見で表現し、海外メディアからも失笑を買ったほどだ。要するに、大恐慌下で「リーマン級の危機」を抱え込んでいるのは、ほかでもなく、G7で最大の財政赤字国であり、経済成長見通しも最低とされる日帝自身なのだ。
●原爆投下を居直ったオバマ
サミット終了後、安倍とともに広島に乗り込んだオバマが原爆慰霊碑前で行った演説は、原爆投下を居直り正当化する許しがたい内容だ。オバマは謝罪の言葉を一切述べず、「空から死が降ってきた」などと原爆投下を自然現象のように描き、「人類の矛盾」などという表現で米帝の戦争犯罪を居直った。ところが、日本のあらゆる政治勢力やマスメディアは手放しでこの演説を絶賛しているのだ。
オバマは大統領就任以来、イラク、シリア、アフガンなどで侵略戦争を継続し、臨界前核実験や核搭載可能な新型兵器の開発を続けてきた。今後10年間で3480億㌦、30年間で1兆㌦を投じて核兵器を実際に使用できるよう「近代化」し、新型核爆弾や巡航ミサイルなどを開発する計画も推進している。朝鮮半島での新たな戦争は核戦争として準備されているのだ。何が「核兵器なき世界」か!
ゼネストで闘う韓国・民主労総と連帯し、朝鮮戦争・核戦争を阻止しよう。闘う労働運動をよみがえらせ、危機にあえぐ安倍を6〜7月決戦で倒そう。