葛尾・川内・南相馬など 避難指示解除を許すな 労働者が被曝労働拒否し帰還の強制を打ち破ろう 常磐線の「全線開通」阻止を
週刊『前進』04頁(2751号03面04)(2016/05/30)
葛尾・川内・南相馬など 避難指示解除を許すな
労働者が被曝労働拒否し帰還の強制を打ち破ろう
常磐線の「全線開通」阻止を
安倍政権は昨年6月、「帰還困難区域」以外の福島9市町村の避難指示を17年3月までに解除すると閣議決定した。それから約1年、各市町村の避難解除の日程が、この6〜7月にかけて集中的に出されてきている。帰還強制・被曝強制をめぐる攻防は重大局面を迎えた。福島圧殺に怒りを倍加させ、安倍政権もろともこの攻撃を粉砕しよう。
自主避難者の住宅支援を打ち切って追い出し狙う
住民の猛反対を押し切って、避難指示解除の日程が無理やり決められている。葛尾村は6月12日、川内村は6月14日、4月予定だった南相馬市は延びに延びて7月1日とされている。飯舘村は6月末までに解除時期が提示される。住民からは「法定の一般被曝限度が年1㍉シーベルトなのに、福島県民だけ年20㍉シーベルトでも住めという。福島県民は一般人じゃないのか」(東京新聞3月1日付)という怒りが噴出している。この帰還強制のために、昨年の常磐自動車道全線開通に続いて、JR常磐線の全線開通が狙われている。安倍は3月5日に南相馬市の小高駅を視察し、「2020年春(19年度末)までの常磐線全線開通」を政府方針とした。直後の政府の復興推進会議では、「原ノ町〜小高間を16年春までに開通する」との方針が決められた(現在はまだ不通)。〝交通が復旧するから汚染地域に帰れ〟という暴挙を許してはならない。
さらに、昨年の閣議決定直後に福島県は、自主避難者への住宅無償提供を17年3月で打ち切ると決めた。これに沿って、避難者が最も多い東京都を始め自主避難者に「来年3月末の退去」が通告されている。自主避難者には東電からの賠償はなく、住宅支援が命綱だ。
「住宅提供があるから戻らない住民もいる。いつかはやめなければならない」(自民党復興加速化本部の幹部)と、帰還させるために住宅を取り上げるというのだ。住宅支援の打ち切り、追い出しを阻止しよう。
避難者の存在と要求が革命へと進むことを恐れ
安倍政権は帰還強制で何を狙っているのか。「東京五輪のため」というのは方便にすぎない。最大の狙いは、避難の正当性と、避難者の存在と希求が、現体制の転覆と革命にまで進んでしまうのを防ぐことにある。福島の放射能汚染は今も続いている。「昨年末から福島県内の小中学校周辺、約60カ所の土壌を採取して、放射性セシウム137を調査した。結果は、約8割の場所で放射線管理区域の4万ベクレル/平方㍍を超える値が出た」(『女性自身』3月8日号)。本来なら避難指示を解除するのではなく、避難指示区域を大規模に拡大しなければならないのだ。
1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の後、年間被曝線量が5㍉シーベルト超の地域は強制移住、1㍉以上は移住の権利、などを定めたチェルノブイリ法がつくられた。この歴史が示すように、原発事故が起きた場合の最大の課題は被曝を避けるための避難だ。しかも、この法律はソ連スターリン主義体制を打倒することで成立した。
ソ連解体時に独立したウクライナでは、96年の新憲法で「チェルノブイリ被災者の救済は国家の責務である」と明記された。この歴史に恐怖する資本家階級は、福島の避難問題が革命にまで進むことを食い止めるため、あらゆるうそと暴力を使っている。
さらに安倍政権は、福島の怒りを圧殺することで、朝鮮侵略戦争に向け国内を平定する狙いを強めている。3月29日に戦争法が施行されて以降の日本は、政治・社会のすべてが戦争準備へ動いている。
福島、沖縄、三里塚の圧殺は、「命を守る」という人間としての根源的あり方を破壊して戦争に動員する点で共通する。
チェルノブイリの運動は事故処理の労働者が中軸
帰還強制・被曝強制を粉砕する闘いは、なんとしても命を守ることで、侵略戦争を阻止しプロレタリア革命に突き進む闘いだ。動労水戸は常磐線全線開通阻止、帰還強制反対・被曝労働拒否へ全力で闘おうとしている。この闘いを先頭に、政府・福島県の策動を粉砕しよう。東京・首都圏、福島の労働者が被曝労働拒否で立ち上がれば、帰還強制は阻止できる。
チェルノブイリ事故では、リクビダートル(事故処理作業従事者)が60〜80万人に達したと言われる。その彼らが結成した「チェルノブイリ同盟」のハンストが、運動の中軸を担った(アラ・ヤスロシンスカヤ『チェルノブイリの嘘』 緑風出版)。「事故から3年たって始まったチェルノブイリの民衆の蜂起の物語であった」と。労働者・労働組合が総決起するなら、必ず勝利は切り開かれる。
さらに、ふくしま共同診療所を支え守ろう。被曝を許容し帰還強制の推進者となっている日本共産党を許さず、避難・保養・医療の運動を進めよう。
(島崎光晴)