熊本大震災は人災だ 自治体崩壊への怒り解き放ち ゼネストを九州から切り開く

週刊『前進』04頁(2749号02面01)(2016/05/23)


熊本大震災は人災だ
 自治体崩壊への怒り解き放ち ゼネストを九州から切り開く







(写真 上から、崩壊した宇土市役所、倒壊の恐れがある熊本市民病院、線路が寸断された南阿蘇鉄道)


 4月14、16日に発生した熊本大震災から1カ月以上がたちました。震災犠牲者は49人、行方不明者は1人、5月10日現在19人がエコノミークラス症候群などの震災関連死で命を落としています。今も1万人以上が避難所で生活し、車中泊を余儀なくされている人も膨大にいます。

原発稼働継続と軍事演習

 多くの病院や介護施設、公共施設が損壊し、行政機能も失われ、新自由主義の帰結としての地方自治体の崩壊があらわになりました。事態はさらに深刻化しています。
 今回の震災では、観測史上初めて震度7を超える大地震が連続して発生し、活断層の活動は連動することが、疑う余地のない事実として実証されてしまいました。
 しかし、さらなる被害の拡大が懸念される中で、安倍政権は鹿児島県川内原発の稼働を継続しました。そればかりか震災対応と称して米海兵隊所属のMV22オスプレイを南阿蘇に派遣するなど、朝鮮侵略戦争に向けた事実上の合同軍事演習を展開しています。
 さらに安倍政権は、今回の震災を口実に「緊急事態条項の新設」を主張し、それを改憲の突破口と位置づけています。震災で失われた命や生活、人びとの不安をこれ幸いとばかりに、戦争・改憲に突き進むために政治利用する安倍を絶対に許すことはできません。

民営化・人員削減で深刻化

 熊本大震災は東日本大震災や阪神大震災、中越地震がそうであったように、国鉄分割・民営化以来の新自由主義がもたらした人災です。今回の大震災で新自由主義による地方自治体の崩壊が完全に明らかになりました。
 宇土市役所、熊本市民病院など多くの市役所の庁舎や公立病院の施設が財源不足を理由に老朽化したまま放置された結果、震災によって倒壊し、災害対応の拠点となるはずの自治体の機能は喪失・停止しました。
 なおそれ以上に、自治体労働者の人手不足が最も深刻な問題となっています。5年前の東日本大震災の際にも、自治体職員1人に対する避難者の割合はピーク時で13・4人でしたが、今回最も被害が大きかった益城町(ましきまち)では、今も職員1人に対して避難者は20人以上であり、震災直後は100人近い状況でした。
 職員は連日、避難所に張り付いて家に帰れない状況が続き、被災証明の発行などの業務はいまだに手がつけられない状況にあります。避難所があふれる中で車中泊などを余儀なくされている人はその規模も実状もまったく掌握できていません。
 さらに国鉄分割・民営化に伴い、南阿蘇村、高森町など沿線自治体の出資で86年に国鉄高森線を承継した第三セクターのローカル線、南阿蘇鉄道(17・7㌔)は、土砂崩れで線路が寸断され、トンネルの亀裂などが多数発生して全線運休し、復旧のめども立たず廃線の危機が迫っています。
 すべては、国鉄分割・民営化以来の新自由主義のもとで推し進められてきた地方切り捨て、自治体労働者の人員削減と民営化・外注化・非正規職化の攻撃の帰結です。
 こうした中で、被災地では配給や炊き出しなど住民の自主的な取り組みが懸命に行われていますが、安倍政権はこれを徹底的に治安問題としてとらえ、「行政への登録と管理」のもとに統制し、そうでないものには妨害を加えるということが行われています。
 被災地ではまさに新自由主義の現実、階級支配の正体が隠しようもなく暴かれました。だからこそ、この震災の中から労働者階級人民の怒りと生きるための決起は必ず沸き上がってきます。今こそ熊本および九州の自治体労働者・労働組合が最先頭で決起し、労働者・住民の怒りの結集軸となって闘うときです。
 3・11の現実に真正面から立ち向かった動労水戸の闘いと動労福島の登場、そして原発再稼働絶対反対・被曝労働拒否を自らの闘いとして引き受け、拡大させた舞鶴、愛媛の自治体労働者の決起は、それが地域住民の巨大な結集軸となり階級的力関係をひっくり返していくことができることを証明しています。

解雇攻撃に立ち向かおう

 熊本大震災の情勢と一体で、北九州市では自治体から民間に業務委託された職場で「5年で首切り」の就業規則改悪とそれによる解雇攻撃が始まっています。動労千葉がCTS(千葉鉄道サービス)の就業規則改悪を阻止する闘いの中で暴き出した「労働契約法」「労働者派遣法」による戦後労働法制の歴史的転換攻撃は、自治体職場でこそ火を噴いています。
 現業解体、民間委託や国民健康保険の統合・民営化を軸とするこれらの攻撃は、自治労・日教組を最後的に解体し改憲に突き進むことを狙った攻撃です。しかしそれは、この攻撃に真正面から立ち向かう勢力が存在するならば、体制内労働運動のくびきを打ち破って職場に渦巻く日帝・安倍政権への怒りを全面的に解き放ち、日本におけるゼネストを実現する最大の突破口になります。
 私たち九州の自治体労働者は、動労総連合・九州とともに、震災を契機に始まるすさまじい解雇と戦後労働法制解体攻撃に絶対反対で立ち向かって強固な拠点建設に勝利し、ゼネスト情勢を九州の地から切り開く決意です。6・5国鉄集会に結集し、6〜7月選挙決戦に勝利して8月自治労長崎大会へ! 「新たな労働者の政党」を体現する決定的勢力としての登場をかちとりましょう!
〔九州自治体労働者委員会〕

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