焦点 パナマ文書に戦々恐々の安倍 「1%」への「99%」の根底的な怒り

週刊『前進』02頁(2748号02面03)(2016/05/19)


焦点
 パナマ文書に戦々恐々の安倍
 「1%」への「99%」の根底的な怒り


●日本は約20社と230人
 租税回避地(タックスヘイブン)を使った世界中の企業・政治家・個人の不正蓄財と税金逃れを暴いた「パナマ文書」の第2弾が5月10日に公表された。4月3日の第1弾ではアイスランド首相が腐敗を暴かれ、辞任に追い込まれた。イギリス首相キャメロンも腐敗を暴かれたが、開き直っている。事態は始まったばかりだ。今のところ日本の約20社と230人の名前が上がっており、日帝・安倍政権は戦々恐々としている。
 10日に公表されたパナマ文書に記載された日本関係の主な企業と個人は以下のとおりだ。
 企業ではソフトバンクBB、伊藤忠商事、丸紅、三井倉庫ホールディングス、大日本印刷、大和証券、ファーストリテイリング、JAL、石油資源開発、東洋エンジニアリング、三菱商事、電通、商船三井、オリックスなど巨大企業が顔をそろえている。
 個人ではセコムの最高顧問と元最高顧問、UCCホールディングス代表、加藤康子・内閣官房参与。加藤は父親が自民党政治家の加藤六月(故人)だ。
 当事者たちはいずれも、合法的なことで問題はないとか、まったく知らなかったとか開き直っている。
 はっきりしていることは、これらの企業や個人がパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の顧客としてタックスヘイブンで税金逃れを行っていた事実であり、その証拠が「パナマ文書」という形でつかまれたことである。しかも、これは氷山の一角にすぎない。
●国際的な争闘戦の火種に
 大恐慌のもと、帝国主義諸国をはじめ各国は公的資金を投入して大手銀行・企業を救済した。ところが救済されている巨大企業や富裕層はタックスヘイブンを使って税金逃れをしているのだ。もれなく源泉徴収され増税に苦しむ労働者階級人民の怒りは沸騰している。
 パナマ文書を契機にG7やG20で税金逃れへの規制を強化しようとする動きが報道されているが、肝心の米帝がこれに同調していない。新自由主義の最先端を走る米帝は、自国においては金融資本のあらゆる活動の自由が保障されるべきだとしているのだ。
 実はアメリカこそが今や世界最大のタックスヘイブンなのである。米大西洋岸のデラウェア州の優遇税制と守秘義務を利用するために、なんと世界の28万社以上が「本社所在地」を同州ウィルミントン市のあるビルに置いている。そのすべてが米欧日をはじめ世界のブルジョアジーが税金逃れ(脱税)のために作ったペーパーカンパニーだ。
 帝国主義の巨大企業が世界規模で租税回避戦略をとっている。イギリスを拠点とするNGO「タックス・ジャスティス・ネットワーク」によると、世界のブルジョアジーの租税回避額は最大で35兆㌦(約3750兆円、2014年の報告書)にも達する。世界全体のGDPの3分の1以上だ。
●税金を払わない巨大企業
 この間、明らかになったことは、超大企業・超富裕層は税金をほとんど払っていないということだ。『税金を払わない巨大企業』(富岡幸雄著)によると、日本を代表する大企業が13年度3月期に支払った税金は次のとおりである。
 三井住友フィナンシャルグループは1479億8500万円の利益を上げたが、払った税金はわずか300万円だ。ソフトバンクは788億8500万円の利益を上げたが、払った税金は500万円。政府とはブルジョアジーの政治委員会である。政府は90年代後半からの巨額の不良債権処理を助けるために10年以上法人税を減免した。安倍政権は2016年度から法人実効税率を20%台に引き下げる。
 ソフトバンクの孫正義会長の資産は184億㌦(1兆8700億円)で日本で1位、世界で42位(米誌フォーブス14年版)。世界人口の1%にも満たないこれら資本家階級が「99%」の労働者階級の雇用と生活を破壊し、労働者階級を生きられない状況にたたき込み、自らは労働者階級から搾り取って作った財産を隠し、税金逃れをして肥え太っている。さらに戦争までやって生き延びようとしている。戦争で殺されるのは労働者人民だ。絶対に許せない。
 新自由主義が始まってから四十数年、社会は「命よりも金」に一変し、破滅と崩壊を開始している。労働者階級が社会の真の主人公として立って、腐敗しきった新自由主義、帝国主義をプロレタリア革命で打倒しよう。6~7月選挙決戦をそのための選挙とするために総決起しよう。

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