動労千葉がシカゴ訪問 米日韓中仏の鉄道労働者が団結
動労千葉がシカゴ訪問
米日韓中仏の鉄道労働者が団結
動労千葉は、3月31日〜4月1日にイリノイ州シカゴで開かれたRWU(鉄道労働者統一委員会)隔年大会に中村仁本部執行委員を派遣した。また1日〜2日、同じ会場でランク&ファイル労働運動の情報誌『レーバーノーツ』が、開催した大会に参加した。韓国からは、民主労総ソウル本部のソンホジュン事務処長(鉄道労組)とパクヨンチャン副本部長が参加し、中国、フランスの労働者とともに、鉄道労働運動を軸とする5カ国の強固な国際的団結がかちとられた。
これこそ、4月1日にワシントンで行われた核安保サミット、日米韓の首脳会談----朝鮮侵略戦争への突進----を阻止する力だ。
RWUとレーバーノーツ両大会で動労千葉が報告
RWUは、20以上の組合に分かれているアメリカの鉄道労働者の分断状況をのりこえ、団結を回復するための活動家組織である。
昨年RWUは、大手鉄道会社で最大組合が貨物列車の一人乗務化に合意したことへの反対運動を組織し、組合員投票で合意案を否決する大勝利をかちとった。既成の鉄道労組は、機関士と他の職種が別々の労働組合に組織されている職能別労組であるため、「経済危機の中で機関士の職を守るため」と称して他職種の人員削減を認めた。
だが、現場の機関士にとって他職種の乗務員はともに働く仲間だ。アメリカの貨物列車は2㌔メートル以上の長大な貨車の列の先頭・中間・後尾に何台もの機関車を入れたものが多い。機関士と他の乗務員が共同労働でこれを動かしてきた。だから一人乗務化は安全破壊であり団結破壊なのだ。RWUはその鉄道会社では極少数派だったが、機関士と他職種労働者との団結を信じ、反対投票組織化に大胆に力を投入して勝利したのだ。
RWU大会では昨年の勝利を総括し、安全闘争を「全RWUメンバーの積極的に活動するメンバーへの転化」「新規メンバーの獲得」につなげていく方針を決定した。RWU強化を基礎にして、分裂している鉄道労働運動全体を変革していくという。
日韓中仏の労働者が、RWU大会で鉄道労働者の民営化との闘いのプレゼンテーションを行った。またレーバーノーツ大会では、日韓中仏の「鉄道労働者と乗客の安全のための闘い」というパネルディスカッションが行われた。動労千葉はこの両方の大会で報告を行った。動労千葉の船橋事故闘争以来の反合・運転保安闘争路線、国鉄分割・民営化との闘い、外注化・非正規職化との闘い、そして反戦闘争が、米韓中仏の鉄道労働者の闘いとともに国際的な共有財産になった。
シカゴ教組がストに立ち街ぐるみの「ゼネスト」に
4月1日、シカゴ教組は、市内の全学校でストライキに入った。学校予算の確保、賃金、年金、医療が主な要求だ。
ピケットが始まる午前6時30分の前から各学校に支援者が続々とつめかけた。海外からのレーバーノーツ参加者の多くは、市北西部のルーズベルト高校に結集した。
シカゴ教組の同校代議員は、「われわれは税金を払っているのに教育予算は10カ月も凍結されている。政治家は1%のためにやっている。ゼネストをやるべき時だ。アメリカを動かしているのは誰か分からせてやろう」と語った。
都市交通労組(ATU)や自治体労組から多数の組合員が集会に来ていたこともあってか、近くを通るバスや清掃車の運転手は皆、連帯のクラクションを鳴らす。他の車からも手が振られる。学校前は解放感あふれた大衆集会になっていった。
自治体労組、看護師労組、介護労組、最低賃金15㌦を求めるファストフード労働者などの労働組合や労働団体、シカゴ市警・市当局ぐるみの黒人虐殺を弾劾する運動、住民団体、保護者、生徒が次々に発言した。
ピケット隊は、次に市街地を移動してマクドナルド店舗前での最低賃金15㌦要求ピケット闘争を行った。この移動過程でも店舗前や通行する人、車からの連帯の声が圧倒的だ。学校ストは一労組の闘いから街ぐるみの大ストライキになった。
州政府と市当局はストライキをつぶすため、マスコミを使って「違法ストライキ」「教師の年金が財政破綻の原因」というデマキャンペーンを洪水のように流し、シカゴ教組に「年金削減か賃金削減か」を迫った。
だが結局、シカゴ教組の現役労働者と退職労働者を分断することもできず、教育労働者を他の労働者から孤立させることもできなかった。シカゴ教組の決起は圧倒的な労働者、住民に歓呼の声で迎えられ、巨大な支援・連帯をつくり出した。
大恐慌の激化の中、共和党知事のもとのイリノイ州政府と、民主党市長のもとのシカゴ市当局は、「州財政・市財政の破産」を理由に教育予算を大幅カットした。大統領選挙では「共和党か民主党かの選択」しかないと宣伝されているが、この2大政党はともに金融資本・軍産複合体の代表であり、労働者の力で打倒すべき存在だ。
近年、金融資本・軍産複合体への公然・隠然とした補助金が増大する一方で、労働者人民に対する緊縮政策がさらに激化している。州立の大学・短大などには昨年5月以来予算が全面ストップしている。大量解雇、残された職員の無給休暇の拡大、大学基金の取り崩しで数カ月は大学を開いてきたが、多くの大学・短大が廃校しかない状況になってきている。だから、シカゴ教組とともに大学職員の諸労組もストライキに突入したのだ。
州政府と市当局は、他の公務員にも「年金が財政破綻の原因」という大攻撃をかけ、市の教育・福祉・医療・住宅・文化関連の予算をことごとく大幅カットして、地域住民全体の生活基盤を破壊した。金融資本は意図的・先制的に市財政を破産させ、それをテコにして学校・市営住宅・図書館・病院などを破壊し、地域全体を地上げして巨額の利益をあげている。
このむき出しの利権追求による社会全体の破壊と、労働者への攻撃に怒る労働者、住民に闘いの展望を示したのが4・1ストだった。だから、ゼネストに限りなく接近した闘いになったのだ。
ストの翌日、4月2日に開かれたレーバーノーツの全体会では、UTLA(ロサンゼルス統一教組)の執行部であるアーリーン・イノウエさんが基調報告をした。闘わない執行部を打倒して執行部選挙に勝利し、UTLAの全職場で闘う労働組合組織を再建していったという報告は、圧倒的なスタンディングオベーションで迎えられた。
民主・共和の2大政党制の枠組みの中に闘いを押し込めようとする既成指導部に取って代わる新たな闘う労働組合の建設を誰もが求めている。
戦争と労働法制大改悪を国際連帯の力で打ち破れ
4月3日、パナマ文書が発表された。全世界の支配階級が、多数のタックスヘイブンに置かれた多数のペーパーカンパニーを経由させ、自分たちの活動を隠しているという証拠が暴かれた。金融資本・軍産複合体は、アメリカのGDP(国内総生産)を数倍する額の資産・所得の脱税をするとともに、公的財産を略奪してきたのだ。過剰資本・過剰生産力の矛盾がますます深刻化する中で、こうした犯罪を極限的に肥大化させたのが新自由主義だ。
4月1日のストライキで叫ばれた「学校に金を出せ! 金持ちに課税しろ!」のスローガンは、パナマ文書の暴露でますます膨大な労働者の声になった。
労働者の決起を恐れたイリノイ州議会の民主・共和両党は、大学予算の凍結を解除する決議をあげた。だが、これは3カ月の期限付きであり、怒りの火に油を注ぐものでしかない。
全世界で吹き荒れる戦争と労働法制大改悪を国際連帯の力で打ち破ろう。
(村上和幸)