常磐道事故 70㌔先の病院で少女死亡 高線量地の開通で殺人と被曝
週刊『前進』04頁(2747号02面02)(2016/05/16)
常磐道事故
70㌔先の病院で少女死亡
高線量地の開通で殺人と被曝
5月4日、福島県大熊町の常磐自動車道で乗用車と高速バスの事故が起き、乗用車の親子2人が亡くなった。事故現場は立ち入り禁止の「帰還困難区域」であり、福島第一原発から5㌔の放射能汚染地域だ。近くに病院はなく、何十㌔も離れた先に搬送されて亡くなった。他の40人近くも、線量の高い路肩に2時間も待たされて被曝させられた。単なる交通事故ではなく、高汚染道路開通による殺人と被曝だ。
重体だった小1の少女は、70㌔先の福島市まで搬送されて亡くなった。JR東京駅と千葉県の成田駅の間が68・4㌔。途方もない遠距離だ。
それほど遠いところに搬送したのは、帰還困難区域だからだ。安倍政権は昨年3月、浪江~常磐富岡IC間を無理やり開通させ、常磐道の全線開通を強行した。この14・3㌔のうち4㌔が帰還困難区域である。交通事故が避けられないことからすれば、こういう所を開通させたこと自体が殺人的行為なのだ。
しかも、バスに乗っていた軽傷者は路肩で2時間近く待たされた。「二輪車は通行禁止、車も駐停車禁止、窓を開けて走行してはならない」と指示されている所でだ。
昨年に「事故が起きれば車外の路肩で待機するしかなく、被曝線量は1時間で最大6・4㍃シーベルト」と推定されていた。にもかかわらず、バス会社も消防もマスク一つ配らなかった。さらに、いったん全員が約20㌔離れた楢葉町の富岡消防署楢葉分署に移送され、そこから何十㌔先に分散搬送された。
救助に当たった消防士たちもすべて、被曝労働を強いられている。これほど何重にも命が軽んじられていいのか。
大型バスの桜交通は、避難区域内の事故対応について、「通常のバス運行のマニュアルに沿って対応するよう」指導を受け、「乗客の不安解消のため放射線についての知識などを乗務員に指導していた」という。バス労働者は〝放射線など気にするな、と対応しろ〟と強制されているのだ。
安倍は帰還強制のためJR常磐線の全線開通も狙っている。常磐線で事故が起きればもっと大惨事になる。乗務員も乗客の命を無視することを強制され自らも被曝する。
直ちに高汚染地域の常磐自動車道を閉鎖しろ。この上、常磐線全線を開通させることなど絶対許さない。被曝労働拒否で闘う動労水戸・動労福島を先頭に決起しよう。