6・5国鉄集会に大結集を 戦争・改憲―労働法制改悪と対決 動労千葉・田中康宏委員長の訴え

週刊『前進』04頁(2747号02面01)(2016/05/16)


6・5国鉄集会に大結集を
 戦争・改憲―労働法制改悪と対決
 動労千葉・田中康宏委員長の訴え

(写真 田中委員長の提起に6・5集会実行委の参加者は熱心に聴き入った【4月29日】)


 国鉄闘争全国運動が呼びかける6・5国鉄集会に向けての第1回実行委員会が4月29日、東京都内で開かれた。そこでの動労千葉の田中康宏委員長の提起の要旨を紹介します。(編集局)

派遣法改悪などで認識新たに

 1~4月の闘争は大きな前進をかちとりました。東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会、小竹運輸グループ労組、さいたまユニオン大石運輸分会の勝利があり、東京西部ユニオンはアパレルの職場で組合を立ち上げました。郵政の仲間が一歩突き抜ける闘いを始めています。
 2月に全国9カ所で国鉄集会を開催し、国鉄解雇撤回訴訟での昨年6月30日の最高裁決定を受けてJRを直接攻めると確認し、新署名運動を呼びかけました。戦争法成立と派遣法改悪を節に、社会全体が国鉄分割・民営化に次ぐ大転換に入りました。今度こそこれに立ち向かおう、崩れ落ちようとしているのは敵の側だ、だから国鉄闘争を掲げ続けようと確認した。
 その後、この間の三つの攻防をとおして、認識を新たにしました。
 一つは、派遣法の改悪です。マスコミすら「制定以来の大転換」と言っています。派遣を例外ではなく全業務で永久に使っていいとした。この派遣法改悪をきっかけに時代をとらえ直しました。
 二つ目は、韓国・民主労総が労働法改悪反対を掲げ、去年の4月から繰り返しゼネストを闘っていることです。1年間の必死の闘いが世論の支持を得、総選挙でパククネ与党が惨敗した。ゼネストの力が社会を動かした。フランスでは高校生や大学生がバリケードをつくり労働者とともにストライキを闘っている。
 三つ目は、3月、雇用形態を抜本改悪するCTS(千葉鉄道サービス)の就業規則改悪と立ち向かった闘いです。
 熊本大震災の現実は、自治体が崩壊していて被災者に救援物資を届けることもできない。自治体に要員はいなくなり、災害対策は二の次になり、庁舎も崩れている。これは新自由主義による人災です。そこに自衛隊を持ってきて、救援ではなく朝鮮半島での戦争の訓練をしている。断層の端には川内原発があるのに、稼働を続けている。
 動労千葉は16春闘で3・11、3・17のストに立ちました。動労水戸も去年の暮れから3波のストに立っています。動労総連合は新潟、西日本、神奈川、福島、高崎で一斉にストやデモに立った。これは時代に正面から立ち向かう闘いです。

正社員ゼロ化狙うCTSの就業規則改悪

 CTSの就業規則改悪は2千万非正規労働者全体、6千万労働者全体の未来を左右する問題です。CTSは9割が非正規で、そこに「雇用上限は5年、5年目に選考試験をして受からないとクビ、受かったら限定社員として採用する」という、雇用形態の抜本改悪の攻撃がかけられました。試験に受かっても「新規採用」です。国鉄分割・民営化でやられた「いったん全員解雇・選別再雇用」と同じです。賃金は非正規で働いていた時と同じで、それも今の月給制を時給制に変える。この改悪で、時給820~920円の最低賃金の正社員が生まれる。つまり正社員はなくなるということです。
 2018年が雇用崩壊の歴史的分岐点になろうとしています。労働契約法の「5年で無期雇用」ルールが適用されるのが2018年、派遣法改悪から3年目が2018年です。CTSの就業規則改悪をいったん阻止しましたが、この半年で勝負し絶対に粉砕する。
 なぜ改悪を阻止できたか。動労千葉はCTSの全事業所に入ってオルグし、CTSの850人の現場の激しい怒りが攻撃を止めました。動労千葉はJRの組合員45人をストに入れました。それで、動労千葉はともに闘ってくれる仲間だとCTSの労働者に伝わった。これが大きな教訓です。

雇用労働政策の原理的な転換

 3月末~4月に中村仁執行委員をアメリカに派遣しました。シカゴはゼネスト状態になっていました。教組がストに入り、都市交通やマクドナルドなどで働く労働者、州立大学の闘いが続きました。州や市の幹部は独占資本の幹部で、民間が運営する学校に学生を行かせるため、州立大学の予算を執行しない。日本で起きようとしていることもこういうことです。
 戦争に向かう時代とは何か、すべての攻撃をとらえ直さなければなりません。安倍の攻撃には二つの柱があります。一つは戦争・改憲への突進です。もう一つは戦後労働法制の解体、雇用労働政策の歴史的転換です。労働法制改悪は労資関係における改憲です。
 第1次安倍政権は教育基本法を改悪し、改憲国民投票法を制定した。さらに労働ビックバンをやろうとしたが、これはいったん破綻した。その後、民主党政権ができて、階級協調的に「非正規労働者保護」「派遣労働者保護」のベールをかぶせた政策をとった。これ自体うそっぱちですが、第2次安倍政権は階級協調的な色を少しでも持つものへの敵視と憎悪から始まりました。そこから、雇用労働政策の原理的転換が行われた。
 産業競争力会議や規制改革会議では「必要なのは解雇規制の緩和ではなく正社員改革」「勤務地限定の限定正社員なら職務の喪失が解雇理由になる」「非正規から正社員への転換の時、処遇に違いがないようにする」「派遣法の常用代替防止規定は、対等な競争条件を保障するために廃止する」という議論がなされている。同一労働同一賃金もここから出てきた。
 これを前提にしたら社会保障―医療・年金、教育は成り立たない。社会は崩壊します。「日本死ね」という強い怒りはもっともっと爆発します。
 資本は、労働契約法の「5年ルール」で非正規を限定正社員にし、派遣法改悪で常用雇用代替禁止の原則を解体すれば、攻撃の基本は貫徹されると考えている。それに加えて労働基準法改悪=残業代ゼロ法がたくらまれている。CTSの攻防があって、こうしたことが見えてきました。

職場闘争と反戦の怒り結合し

 日本の労働運動の現状をどう見るか。どこの国でもゼネストになっていて、闘いが起きていないのは日本だけです。しかし日本の労働者がだめだというのは絶対に違います。安保戦争法をめぐり数百万が立ち上がりました。戦争反対を戦後労働運動の中心に置き、それを守り抜いてきた日本の労働者の階級性はある。しかし、ゼネストにならないのは、国鉄分割・民営化―総評解体・連合結成があったからです。国会前の怒りに職場の無数の闘いが結びついたら、闘争は本物になります。
 だから分割・民営化反対の旗を掲げ続けなければならない。私たちは国鉄改革法の根幹は不当労働行為と最高裁にも認めさせました。動労総連合が先頭に立って職場で無数の闘いをつくり、戦争反対の怒りと結びつく。
 先日の国鉄闘争全国運動の呼びかけ人会議で、芹澤壽良さんは「労働法制の危機に際して訴えるというアピールを出してほしい。皆さんは労働者の権利を守って闘い続けたと胸張って言える」と述べ、鈴木達夫弁護士は「07年の労働契約法で就業規則が万能になったことが重大」と指摘し、花輪不二男さんは「鈴コン分会の勝利も労働基本権にこだわり闘ったから」と総括し、伊藤晃さんは「CTSで起きたことは全国で起きている。これを具体的闘いに結びつけよう」と訴えました。
 外注化阻止・非正規職撤廃で十数年闘い続けたから、CTSでの闘いもできました。春闘過程でCTSの1人の仲間が動労千葉に加入しました。本格的組織拡大の芽は出ています。
 この時代に鈴木弁護士が参院選に立つのは重大なことです。「新しい労働者の政党を」と訴えて立つことは、時代に一番マッチしています。
 6・5集会を1047名解雇撤回の新署名を本格的に開始し、改憲と労働法制改悪に反撃する壮大な闘いの出発点にしたいと思います。

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