知る・考える 用語解説 尼崎事故-民営化による労働者の虐殺

週刊『前進』02頁(2742号02面05)(2016/04/21)


知る・考える 用語解説
 尼崎事故-民営化による労働者の虐殺


 国鉄分割・民営化が引き起こした最悪の大事故。2005年4月25日、JR西日本の福知山線・塚口―尼崎駅間で、23歳の運転士が運転する電車が急カーブに高速度で突入し、カーブを曲がりきれず脱線・転覆した。線路脇のマンションに激突した電車は押しつぶされ、運転士と乗客を合わせ107人の命が奪われた。
 事故現場の急カーブは、かつては尼崎駅止まりだった福知山線を東西線に接続させるために急造された危険なものだった。JR西日本は、私鉄に対抗するため列車の増発とスピードアップを強行した。列車のダイヤ設定に無理があるにもかかわらず、定時運行を確保するため現場の急カーブにはATS―P(列車が速度オーバーした時に自動的にブレーキをかける装置)も設置していなかった。
 さらに、わずかでも列車を遅らせた運転士に対しては、乗務から外して反省文を書かせたり、ホームで電車に頭を下げさせたりするなどの、「日勤教育」と言われる組織的パワハラを繰り返した。
 だが、JR幹部は運転士一人に事故の責任を押し付けてきた。被害者遺族の怒りの中で井手正敬らJR西日本の歴代3社長は強制起訴され刑事裁判にかけられたが、「無罪」判決が出されるとJRは完全に居直り、安全をさらに破壊する外注化・非正規職化に突き進んでいる。
 これに対し動労千葉—動労総連合を始めとする闘う労働者は、毎年4月、尼崎現地で事故を弾劾し外注化を粉砕する集会とデモを闘いぬいている。
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