米韓が史上最大の軍事演習 戦争法発動で参戦狙う安倍 民主労総と連帯 朝鮮戦争阻止を
週刊『前進』02頁(2734号02面05)(2016/03/24)
米韓が史上最大の軍事演習
戦争法発動で参戦狙う安倍
民主労総と連帯 朝鮮戦争阻止を
(写真 「戦争を呼ぶ韓米軍事訓練中止!」を掲げてデモする韓国の労働者・学生【3月11日 ソウル】)
3月7日から米韓連合軍による史上最大規模の合同軍事演習が始まり、朝鮮半島の軍事的緊張が極限的に高まる中、韓国・民主労総は「挑発的な軍事演習をやめろ!」「朝鮮戦争の再来を許すな!」と訴え、昨年をも超えるゼネストを構えて闘いに立ち上がっている。安倍政権は3月29日の安保関連法施行をもって、自衛隊を朝鮮侵略戦争に投入する参戦態勢を構築しようと狙っている。民主労総と連帯し、日本で戦争絶対阻止・安倍打倒のゼネスト情勢を今こそ切り開こう。
戦争と弾圧に抗し闘う韓国の労働者民衆
「今現在、私たちが生きること自体が戦争のようだ。より低い賃金、より容易な解雇、より多くの非正規職をつくるというパククネ政府の労働改悪と民主労総が闘っている。全国がその戦場になっているが、それよりももっと深刻な戦争の危機が迫っている。過去のどの危機をも上回る危険な道に追いやられている」——3月11日夜、韓国のソウル光化門前で開かれた集会で、民主労総のパクソンミン統一委員長は危機感を込めて訴えた。今、韓国では民主労総が中心となり、多くの反戦平和団体などが連携して米韓合同軍事演習への抗議・弾劾行動を続けている。12日には、米韓両海兵隊による上陸作戦訓練「双竜訓練」が行われている浦項の海水浴場に民主労総組合員や農民、学生が駆けつけ、火薬の臭いがたちこめる演習場の目の前まで迫る弾劾行動が闘われた。ソウルの米大使館前では、北朝鮮への先制攻撃を狙う「作戦計画5015」の撤回と軍事演習の即時中止を求める抗議行動が続いている。
民主労総は現在、ハンサンギュン委員長をはじめ20人を超える指導部を獄中に奪われながらも、戦争と新自由主義のパククネ政権と真っ向から対決し、今月26日の第5次民衆総決起闘争に向かって不屈に闘いの歩を進めている。
これに対してパククネ政権は、国家情報院に強大な権限を与え、政府が「テロ危険人物」とみなした人を監視、尾行、査察し、あらゆる個人情報を収集することができる「テロ防止法」を国会で強行採決した。この法が定義する「テロ」とは、実際には昨年11月の民衆総決起闘争のような大規模な反政府闘争やゼネストを指している。まさに民主労総の解体を最大の目的とした戦時下の治安弾圧法だ。
こうした戦時型弾圧のもとで闘う民主労総ソウル地域本部から、3・11反原発福島行動に向けて「私たち労働者・民衆・学生が力を合わせて闘う時だ」と熱烈な国際連帯のメッセージが寄せられた(本紙前号に掲載)。日本の労働者階級が戦争絶対反対の大闘争に立つことが求められている。民主労総の決起に応え、ストライキで闘う労働組合と学生自治会を全国の職場・キャンパスに建設しよう。
沖縄―日本が朝鮮侵略戦争の出撃拠点に
現在行われている米韓合同演習は、もはや北朝鮮スターリン主義に対する戦争行為そのものと言っても過言ではないほど激烈なものだ。米軍の動員兵力は例年を倍する1万7千人、韓国軍も例年の1・5倍の約30万人を投入する。何より重大なことは、「作戦計画5015」を適用した初めての演習であり、それに合わせて兵器も訓練内容もきわめて実戦的なものに一新されたということだ。
北朝鮮の防空レーダーを無効化する最新鋭ステルス戦闘機F22、核ミサイルや地下貫通弾バンカーバスターなどを搭載可能なステルス戦略爆撃機B2、戦闘機など90機を搭載できる原子力空母「ジョン・C・ステニス」、北朝鮮への上陸作戦の際に米韓軍の海上拠点となる強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」などが新たに投入された。
さらに北朝鮮沿岸への上陸と内陸部への進撃を想定した浦項での上陸訓練「双竜訓練」には、在沖第3海兵遠征旅団や韓国軍など約1万7千人が投入され、これも史上最大規模となった。
今回の演習に先立ち、在韓米軍のカーティス・スカパロッティ司令官は2月24日の米下院軍事委員会聴聞会で、「朝鮮半島で衝突が起きれば第2次大戦に匹敵する事態になる」との見解を示し、「兵力と兵器の規模は朝鮮戦争や第2次大戦に酷似しており、またさらに複雑であるため、おそらく多くの死傷者が出るだろう」と述べた。
スカパロッティはその原因として主に北朝鮮の軍備増強や核開発の進行などをあげているが、「兵力と兵器の規模」で圧倒的に突出しているのは言うまでもなく米韓軍の方である。米帝はそれを百も承知の上で、400万人もの南北人民を虐殺したかつての朝鮮戦争を上回るほどの大戦争を本気で構え、それが第2次大戦級の惨劇を招くことをも想定して挑発的な軍事演習を行っているのだ。絶対に許せない。
労働者・学生の反戦ストで戦争とめよう
演習に投入された戦闘機F22は日本の横田基地や嘉手納基地から、空母や強襲揚陸艦は佐世保港からそれぞれ出動し、上陸訓練の主力は沖縄の海兵隊が担っている。かつての朝鮮戦争と同様、日本全土が戦争の出撃拠点として想定されていることは明白だ。さらに安倍政権は今月末に施行される戦争法をもって、自衛隊を朝鮮侵略戦争に参戦させようと狙っている。こうした中で、防衛省は自衛隊の深刻な人材不足を補うための予備自衛官制度の拡充を急いでいる。とりわけ、有事の際に船会社を通じて民間船員を予備自衛官として動員し、自衛隊員や武器を危険地域に運ばせる新制度の導入を狙っている。15日にはそのための特別目的会社(SPC)が設立された。これに対し、全日本海員組合は「事実上の徴用だ」と抗議声明を発している。
戦争が切迫すればするほど労働者に対する戦争動員の動きが具体化し、労働組合の闘いが歴史的な一大焦点となる。戦争絶対反対の闘いは「労働の奪還」と一体であり、労働組合の団結と実力闘争こそ戦争を止める力だ。京大反戦ストへの弾圧を粉砕して6学生を奪還した勝利の地平を武器に、朝鮮侵略戦争阻止のゼネスト情勢を今こそ切り開こう!
(水樹豊)