「保育園落ちた日本死ね!!!」 根底的な怒りが安倍を痛撃

週刊『前進』04頁(2733号02面04)(2016/03/21)


「保育園落ちた日本死ね!!!」
 根底的な怒りが安倍を痛撃


 保育園の入園審査に落ちた女性労働者の「保育園落ちた日本死ね!」というブログ投稿が反響を呼び、安倍政権を直撃している。子育て中でも働かなければ生きていけない労働者の切実で根底的な怒りの噴出だ。非正規職化と貧困の強制による労働への駆り出しが待機児童問題の根本である。しかし安倍は問題をすり替え保育施設の乱造、保育基準の解体と営利事業化を進め、労組破壊と安全崩壊に突進している。労働と社会の奪還をかけて春闘ストを闘おう。

「1億総活躍」への怒り恐れ問題すり替え

 「何なんだよ日本。1億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。......どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ。ふざけんな日本。保育園増やせないなら児童手当20万にしろよ。保育園も増やせないし児童手当も数千円しか払えないけど少子化なんとかしたいんだよねーってそんなムシのいい話あるかよ......まじいい加減にしろ日本」(女性労働者のブログ投稿から)
 その通り! 何が「1億総活躍」だ。待機児童問題の爆発は、子育て中の親も根こそぎ労働に駆り出す新自由主義のせいだ。「日本死ね!」という叫びは安倍と新自由主義そのものへの怒りだ。多くの人が共感し、社会全体を揺るがしている。 それゆえ安倍とその取り巻き、体制内勢力は総出で問題をねじ曲げようとしている。子ども・子育て支援新制度で小規模認可保育所13園を立ち上げたNPO法人代表・駒崎弘樹は「反原発・反安保・反アベとつながってもらいたくない」「(安倍は)問題にガチで取り組んでいる」「自治体が無意味なルールをつくって(資本の)参入障壁を上げているから自治体に文句を言え」と主張。マスコミは規制緩和と株式会社化、保育士の形ばかりの処遇改善を唱え、前大阪市長の橋下徹は「公務員正規保育士の高すぎる給与の是正をまずやるべき」と強弁している。
 しかし社会の根本的変革抜きに解決はありえずペテンの余地などない。

保育基準解体と非正規化の「働き方改革」

 安倍は15年11月6日の講演で「少子高齢化に死に物狂い(ママ)で取り組まない限り持続的な投資は期待できない。これは単なる社会政策ではなく究極の成長戦略だ」「待機児童は前年より増えた。政権発足以来、女性の就業者が90万人以上増えたから無理もない。うれしい悲鳴であるが待機児童ゼロは必ず成し遂げなければならない」と本音を語った。15年4月時点で待機児童は全国で2万3167人。厚生労働省は「不足する保育士9万人を確保する緊急対策で受け皿を50万人分増やす」計画を示した。そうすることで子を持つ親をさらに労働に駆り出すことが最大の狙いだ。
 攻撃の柱は保育基準の解体であり資格をもたない人材の積極活用だ。保育士を常に2人以上配置する基準を緩和し、朝夕に限って保育ママなどの経験者を置けばよいとし幼稚園や小学校の教諭による保育も可能にする。資格要件を下げる限定保育士も戦略特区構想に入った。さらに企業内保育所を外部委託を含め17年度末までに5万人分増やすとし、企業内保育所のノウハウを持つ資生堂資本は利潤を求めて保育事業参入の検討を始めた。命を育む福祉としてある保育の営利事業化だ。
 その資生堂資本は自社内保育所設置で「子育てしながら働ける環境は盤石に整った」として、育児中の短時間勤務女性労働者にも夜間・休日勤務を強いる「働き方改革」を強行した。労働法改悪とともに労働者全体、社会全体に広がる攻撃だ。
 さらに厚労省は保育所の入所申請などでのマイナンバー活用を言い出した。本当に許しがたい。

職場の団結で労働・安全の破壊と闘おう

 保育施設での重大事故が3年連続で増え、14年には乳幼児17人が死亡、160人が重傷を負っている。保育基準解体・総非正規職化、民営化・営利事業化で、今以上の安全崩壊は必至だ。
 2月22日のNHK「クローズアップ現代」は「広がる〝労働崩壊〟公共サービスの担い手に何が」と題して、保育所の民営化と非正規職化の現実を報じた。京都市の公立保育所の民間委託で契約保育士全員が首を切られた。過酷な労働実態を暴き「真っ当な暮らしができる賃金といえるのか」「技能を持った人が育つか」と問いかけた。
 職場での非妥協の闘いと安倍を倒すゼネストが必要だ。ストがストを呼ぶ情勢に入った。朝鮮戦争阻止、外注化阻止・非正規職撤廃、派遣法粉砕・雇い止め阻止へ動労総連合を先頭に春闘ストを闘おう。
(大迫達志)

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