2・29 新捜査手法、今こそ廃案へ 荻野教授(小樽商大)が記念講演
週刊『前進』04頁(2729号04面01)(2016/03/07)
2・29 新捜査手法、今こそ廃案へ
荻野教授(小樽商大)が記念講演
(写真 〝戦争と治安弾圧法は一体だ〟 明快で熱のこもった荻野さんの講演に聞き入る【2月29日 東京】)
2月29日、東京・弁護士会館講堂クレオで「労働者の団結で戦争をとめよう! 盗聴拡大・司法取引の廃案を求める2・29集会」(主催/現代の治安維持法と闘う会)が開催され、210人が集まった。
集会冒頭、司会の武内更一弁護士があいさつに立った。「盗聴拡大、司法取引、証人隠し、取り調べの録音録画などの新捜査手法を導入する刑事訴訟法改悪は絶対に許せません。安倍政権は昨年、日弁連の賛成をテコに国会で成立を狙いましたが、私たちは戦争法反対で立ち上がった人びととともに闘いぬき、参院で継続審議に追い込みました。本日の京大弾圧を打ち破り、新捜査手法導入を阻止しましょう」
続いて、2月の日弁連会長選挙に立候補し約5千票を獲得した「憲法と人権の日弁連をめざす会」代表の高山俊吉弁護士が特別報告を行った。高山弁護士は、「今回の会長選では、憲法9条破棄を要求する自民党・稲田朋美に献金をし、刑訴法改悪を推進している候補者を日本共産党が推薦した。しかし、それに断固反対して5千人もの弁護士が声をあげました」と手応えを語った。そして「安倍が狙う改憲、特に緊急事態条項の新設を絶対に許さないことを高く掲げて闘いましょう」とアピールした。
集会の記念講演を治安維持法研究の第一人者である荻野富士夫さん(小樽商科大学教授)が行った。荻野さんは「侵略と治安維持法」と題して講演し、戦前の治安維持法が国内のみならず朝鮮や旧「満州」(中国東北部)などで無数の人民を弾圧してきた事実を、豊富な資料を用いて詳細に暴露した。そして「かつて朝鮮や旧『満州』で治安維持法弾圧を担った多くの検察官や裁判官が、後に日本に戻って戦後の司法体制の重要な部署に就きました。ここに現代にも通じる治安維持法の本質があります」と強調し、戦争・侵略と治安弾圧法が歴史的にも現在的にも表裏一体のものであることを明らかにした。
集会後半に入り「『新捜査手法』を今こそ廃案へ」と題して西村正治弁護士が報告。西村弁護士は、新捜査手法導入の策動が日弁連の屈服・協力によって進められてきたことを明らかにし、「新捜査手法は徹頭徹尾、捜査機関のための武器だ」と弾劾した。そして「今年は参院選があるので会期延長も継続審議もできず、国会での審議時間は4〜5月の2カ月間しかない。ここで廃案に追い込もう」と訴えた。
闘う団体からのアピールとして、全学連救対部の洞口朋子さん、動労千葉の中村仁さん、動労千葉国際連帯委員会の山本弘行さん、許すな改憲!大行動の鈴木達夫弁護士が発言した。洞口さんは京大弾圧を徹底弾劾し、「これは300万学生と戦争に反対するすべての人への弾圧です。絶対に粉砕しましょう!」と鮮烈にアピール。鈴木弁護士は「7月選挙に向かう過程は改憲をめぐる歴史的な大決戦。これに勝ち抜くためにも、斎藤君をはじめ不当逮捕された全学生を必ず奪還しよう」と強調した。
最後に森川文人弁護士が行動方針を提起し、集会を締めくくった。