アミーユ事件 一切の責任は会社にある! 労働者の命・生活守り闘おう
アミーユ事件
一切の責任は会社にある!
労働者の命・生活守り闘おう
夜間はわずか3人で80室を
川崎市の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」の元職員が「入居者3人を転落死させたと自供した」として2月15日に逮捕され、連日〝とんでもない介護者だ〟と報道されている。これに対して東京北部ユニオンアミーユ支部は「一連の事件・事故の一切の責任は会社にあることを今一度はっきりさせ、労働者の命と生活を守り、安全な職場をつくるために会社と徹底的に闘う」と宣言する声明を発表した。それとともに反合理化・人員要求闘争を強め、メッセージ資本を追い詰めている。
今回の逮捕報道の中であらためて明らかとなったことは、Sアミーユ川崎幸町では夜間帯、6階・80室をわずか3人で見守りをしていたという事実だ。数フロアを1人で見回り、見守らなければならないという極限的人員体制の中で、一連の事故・事件は発生した。これは他のアミーユ施設においてもまったく同様だ。東京練馬区の「アミーユ光が丘」は4階・63室を2・5人で見なければならず、状況は一緒だ。そして、実際に事故が多発している。
支部で増員を要求して闘う
アミーユ光が丘では、1月25日の夜間帯に、1階の同じ利用者が2回もべッドから転落する事故が起きた。これに対して組合は「夜間帯1名を増員し、各階に職員を配置すること」を要求する緊急申し入れ書を提出した(2月2日)。現場職員は「事故が起きないのは運でしかない」とまで痛切に訴えている。
ところが会社は、このあまりにも当然の、ささやかで最低限の要求に対し「今回の事故は一過性の体調変化による転倒事故である為、事故防止の為の職員の増員が必要とは考えられません」「現状手薄な人員配置とは考えていない為、夜間帯一名を増員し配置することは予定しておりません」「事故防止の為に、必ずしも各フロアに職員が常駐している必要はありません」と回答してきた(2月15日付回答書)。さらに「そもそも、各フロアに職員が常駐していたとしても、突発的な居室で発生する事故は防ぐことができません。......施設としての責任を放棄しているとの貴組合の主張に根拠はありません」とまで言い放った。
「Sアミーユ川崎幸町」元職員が逮捕されたまさにその日に出されたこの回答こそが、〝現場の安全崩壊など一切省みず、労働者に一切の犠牲を押し付ける〟という会社の宣言であり、アミーユ支部つぶしのむき出しの意志にほかならない。
これに対し、アミーユ支部は怒りに燃え声明を発した。「必死に現場で働く労働者の安全が日々脅かされ、『殺人者』にまでされる状況を、今こそ変えなければならない」「労働組合をつくり団結して、労働者の誇りを取り戻そう」。この訴えを掲載したビラは各地のアミーユなど介護施設で配布され、大きな反響を呼んでいる。また組合の人員要求を問答無用に拒否する会社の姿勢は商業新聞でも報道された。
仮眠もとれず殺人的な夜勤
アミーユにおける労働実態は、単なる人員不足にとどまらず、「アクシスト」と呼ばれるパソコンソフトを使ったシステムによって極限的な合理化体制が取られていることにある。このシステムでは職員は担当フロアを持たず、毎日各階に回される。職員の動きが分刻みでスケジュール化される一方、そのスケジュールには突発事故やナースコールに対応する時間がまったく考慮されていない。認知症による行動障害や精神疾患高齢者がどのような行動をとるかなどは完全に度外視され、職員が休憩、仮眠もとれないような殺人的夜勤を生み出している。職員同士の協力・協働ができないシステムだ。労働者を徹底して分断・孤立化させ、そのことによって会社が暴利をむさぼる、こうしたシステムによってこそ、川崎幸町の事件は起きたのだ。
これはアミーユだけではない。同じく介護大手の「ベストライフ」では、2009年ごろに「ユニット制」と呼ばれる合理化システムが導入された際に多数の非正規労働者が雇い止めされた。2000年の介護保険制度導入=介護の民営化以降の新自由主義の破産としての現実だ。
こうした合理化と極限的分断・孤立化と対決し、団結した闘いで労働者としての誇りを奪い返すことなしには、労働者は殺され「殺人者」にまでさせられる。
アミーユ支部は、昨年9月の事故報道以降、職場で反合理化・安全闘争を日常的に闘ってきた。そして現場での事故問題をつかんで反撃し、組合つぶしを狙った反動回答書を、逆に資本の破綻点に転化している。
劣悪な介護の労働現場を必死に守ってきたのは介護労働者だ。崩壊する介護現場を、安全で、みんなが誇りをもって働ける職場に変えることができるのは、現場を動かしている労働者だけだ。
全国の介護・福祉労働者のみなさん。現場に労働組合をつくり、団結して闘いましょう。
(東京北部ユニオン・K)