朝鮮侵略戦争と闘わず何が「戦争法廃止」か! 「自衛戦争」には協力の共産党
週刊『前進』02頁(2724号02面03)(2016/02/18)
朝鮮侵略戦争と闘わず何が「戦争法廃止」か!
「自衛戦争」には協力の共産党
「国民連合政府」は破産
日本共産党の「国民連合政府」構想は、肝心の民主党が、「共産党が『国民連合政府』方針を下ろさなければ、協力の協議はできない」と拒否したことでデッドロックに直面した。委員長の志位和夫も、書記局長の山下芳生も、「国民連合政府」という語句を封印してしまった。完全に破産した「国民連合政府」構想が後に残したのは、「戦争法」以前の安保条約も安保法制もすべて承認する、自衛隊も活用する、有事には「日米安保条約第5条にもとづいて米軍と共同対処する」という誓約である。核心問題は、共産党が「自衛戦争には協力加担する」という姿勢を明確にしたことである。帝国主義の打倒ではなく、帝国主義の体制を守ることを誓ったのだ。
国会開会式に出席して天皇に深く頭を垂れたことは、帝国主義権力に自分たちの「無害性」をダメ押し的にアピールするものだった。戦争法反対で立ち上がった膨大な労働者階級人民の闘いを帝国主義戦争への協力に組織する大反動である。
リアリティーがない⁉
日帝・安倍政権による戦争法の強行成立は、朝鮮侵略戦争のためのものだった。米帝は韓国との間に「作戦計画5015」を策定し、北朝鮮に対する先制攻撃で金正恩(キムジョンウン)体制を核兵器をも使って崩壊させる朝鮮侵略戦争計画を進めている。それに日帝は連動して、自衛隊を派兵しようとしている。そのための集団的自衛権容認であり、戦争法なのだ。ところが、日本共産党は、この朝鮮戦争について「リアリティーがない」と言って、直視しようとしない。1月6日、北朝鮮の核実験に対して志位は「抗議」の談話を発表した。
「世界と地域の平和と安定に対する重大な逆行であり、北朝鮮に核兵器保有の放棄を求めた累次の国連安保理決議、6カ国協議共同声明、日朝平壌宣言にことごとく違反している暴挙」「国際社会の一致した政治的・外交的努力によって北朝鮮に核兵器を放棄させる実効ある措置が必要だ」(1月7日付『赤旗』)
これは、朝鮮戦争危機の元凶が帝国主義の側にあることを否定し、「国際社会」すなわち帝国主義の側に立って北朝鮮を非難するものである。
北朝鮮の核実験が弾劾されなければならないのは、それがスターリン主義体制を維持するために、南北朝鮮人民を大量に虐殺する核兵器に依拠しているからである。彼らの「核抑止力論」は、帝国主義に戦争の口実を与え、戦争を促進するだけである。核実験は直接的には、韓国・民主労総のパククネ政権打倒のゼネストに対する敵対である。ところが共産党は、労働者の側からの階級的批判ではなく、「国際社会」=帝国主義の側に立って非難しているのだ。
1月8日、BSフジ番組「プライムニュース」で、志位は「北朝鮮、中国に戦争のリアリティーがない」という自らの昨年11月の発言について、「今回の核実験で修正した方がいいのでは」と問われて、「安保法制=戦争法の一番の具体的、現実的な危険はどこにあるのか」「北朝鮮、あるいは中国との関係で、日本の自衛隊が北朝鮮と戦争を構える、あるいは中国と戦争を構えると、そこにいまの(戦争法を発動しての)戦争のリアルな危険があるわけではない」と答えている。
北朝鮮の核実験に対して、米帝がここぞとばかり、戦略爆撃機B52の低空飛行や米韓合同演習によって戦争態勢を強めている。昨年8月の米韓合同演習中の地雷による韓国兵負傷事件などに見られるように、朝鮮半島は一触即発の危機にあり、いつ何が起きても不思議ではない状態に入っている。
共産党がこれを否定することは、昨年末の日韓外相会談による軍隊慰安婦問題での合意を志位が手放しで賛美したことと結びついている。日韓合意は、米帝の後押しのもとに朝鮮侵略戦争体制をつくるためのものだ。戦争法成立とセットの朝鮮侵略戦争への踏み込みである日韓合意を美化し、翼賛しているのだ。
同時に共産党は、民主労総ゼネストをまったく無視抹殺してきた。「万国の労働者、団結せよ」に真っ向から敵対している。彼らが連帯している相手は労働者ではなく、「国際社会」という名の帝国主義権力やスターリン主義政府なのである。
朝鮮情勢を言わぬ志位
2月3日、志位は北朝鮮のミサイル発射計画の「撤回を求める」談話を発表したが、その翌日、志位は衆議院予算委員会での戦争法をめぐる質疑で、朝鮮情勢について一言も言及しなかった。彼が質問したのは、「南スーダンPKOの自衛隊の任務拡大を問う」と「過激武装組織ISに対する軍事作戦への参加を問う」という2点だけだ。この対応は、米日韓の朝鮮侵略戦争と闘わないという明白な意思表示である。「海外でアメリカのために戦うのは反対だが、日本の防衛のために戦うことは賛成」ということを事実上表明しているに等しい。共産党は帝国主義の侵略戦争の翼賛勢力に転落したと言うほかないではないか。
今、共産党の中から、「こんな共産党でいいのか」という怒りと弾劾の声が急速に強まっている。今こそ日本共産党員に訴える。共産党は「労働者階級の自己解放」を核心とするマルクス主義を裏切り、資本主義を守る運動に転落している。打倒される資本主義と運命をともにする存在だ。共産党に未来はない。今こそ、戦争絶対反対、派遣労働廃止・非正規職撤廃の闘いで新しい労働者の政党をつくる闘いに決起しよう。
(高田隆志)