甘利辞任を安倍政権の打倒へ 2・14国鉄集会と16春闘で戦争・労働法制改悪と闘おう
甘利辞任を安倍政権の打倒へ
2・14国鉄集会と16春闘で戦争・労働法制改悪と闘おう
事実上の贈収賄事件が発覚した経済再生相・甘利明が1月28日、ついに閣僚辞任に追い込まれた。「アベノミクスの司令塔」である甘利の辞任により、安倍は2012年12月の第2次安倍政権発足以来、最大の危機に陥っている。労働者民衆の怒りの声を団結の力に変え、今こそ戦争・改憲と新自由主義の安倍政治に断を下す時だ。2・14国鉄集会と16春闘で安倍を倒そう!
政権発足以来最大の危機
甘利は28日の記者会見で、週刊誌に暴露された贈収賄事件について核心的な事実を何ひとつ明かさず、「国会審議に支障を来す」などの理由で辞任を表明した。これは安倍にとって、これまでの閣僚辞任とは比較にならない大打撃である。
甘利は、財務相・麻生太郎や官房長官・菅義偉らと並ぶ安倍政権の「大黒柱」と言われ、06年の自民党総裁選で安倍の選対事務局長を担って以来、安倍が最も信頼を置いてきた「盟友」だ。当時から現在まで、安倍政権下で常に閣僚の座にあり続けた唯一の人物であり、安倍の「精神安定剤」とすら言われる。
ゆえに安倍は事件発覚後も必死に甘利をかばい続けたが、結局辞任に追い込まれた。政府・与党からは「本当につらい。打開策はなかったのか」「心の準備がまったくできていない」(自民党国対委員長・佐藤勉)などと悲鳴が上がる状態だ。
何よりも、28日の会見で甘利自身が述べたように「アベノミクスの司令塔として、首相から日本経済のかじ取りを任されてきた」のが甘利である。それはTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉を任されていただけではない。甘利は根っからの新自由主義者であり、民営化を柱とする「岩盤規制改革」の推進を叫ぶ経済財政諮問会議や産業競争力会議を事実上取り仕切ってきた中心人物だ。マイナンバー制度の旗振り役でもあった。今回の贈収賄事件も、こうした甘利の立場や役割と密接に関連している。
国鉄闘争が甘利を倒した
甘利とその秘書らに現金を渡した千葉県白井市の建設会社は、独立行政法人都市再生機構(UR)との間で発生した道路建設予定地を巡る利害衝突の仲介を甘利事務所に依頼し、その謝礼に総額1200万円を甘利側に渡したとされる。その結果、建設業者はURから2億2千万円もの法外な移転補償料(元は税金だ!)を得ている。
だが、国交省管轄のURに、国交大臣でもない甘利がなぜ介入できるのか。それは甘利が安倍政権の民営化政策を牛耳る中心人物だからだ。URは旧日本住宅公団などを前身とする独立行政法人だが、06年以降からたびたび完全民営化が検討されてきた。甘利は一方で社会丸ごとの民営化を声高に叫びつつ、他方でこれを武器にURを民営化圧力で恫喝し、資本家のために「口利き」をしてやったのである。
まさにカネと利権にまみれた新自由主義政治家どもの典型的な姿だが、これは氷山の一角にすぎない。
そもそも甘利は国鉄解雇撤回闘争の解体を狙った2000年の「4党合意」の際、これを自民党副幹事長(当時)として推進した4党協議の座長であり、「国労本部は闘争団を除名しろ」と公然と要求した人物だ。02年の国労5・27臨大闘争弾圧も、甘利と国労本部の結託のもとに仕組まれた弾圧だった。だが国労共闘を先頭とする不屈の闘いで4党合意は完全に粉砕された。破産した甘利はその後、派閥内の権力闘争にも敗れ、影響力を失っていたが、06年の安倍登場に乗る形で再びはい上がったのである。
他方、国鉄闘争は10年4・9政治和解をものりこえ、昨年6・30最高裁決定で「JR採用差別は不当労働行為」と確定させた。この歴史に残る闘いを先頭で担ってきた国労共闘がついに動労総連合に合流し、国鉄労働運動は新段階に入った。
甘利を打倒し、安倍政権を断崖絶壁に追いつめたのは国鉄闘争であり、階級的労働運動だ。
切迫する朝鮮戦争阻もう
甘利辞任の翌29日、日銀は金融政策決定会合で史上初の「マイナス金利」に踏み込むことを決定した。13年4月以来の緩和策が完全に行き詰まり、打つ手がなくなる中で、黒田日銀は苦しまぎれの破滅的な延命策に手をつけたのだ。他方で2月15日発表の15年10〜12月期GDP速報値は大幅マイナス成長の予測が相次いでおり、今や八方ふさがりのアベノミクスは総崩壊に向かっている。こうして日帝経済が破滅に突き進む中で、安倍は労働法制の大改悪で一切の矛盾を労働者階級に押しつけようとしている。
他方で、日米韓による朝鮮侵略戦争が臨戦状態に入った。米軍は1月20〜22日、ステルス戦闘機F22と戦闘機F16の合計26機を横田基地に派遣し、さらに原子力空母ジョン・C・ステニスを東アジアに展開すると発表した。今月中旬にはハリス米太平洋軍司令官が来日し、対北朝鮮・対中国を巡って安倍や中谷防衛相らと会談する予定だ。
朝鮮侵略戦争の策動を絶対に許さず、民主労総のゼネストと連帯して、戦争・改憲と労働法制大改悪の安倍を今すぐ打倒しよう!
(水樹豊)