解雇撤回へ新署名運動を 1047名採用へ闘いはこれから 全国9カ所 国鉄集会に大結集しよう

週刊『前進』02頁(2718号01面01)(2016/01/28)


解雇撤回へ新署名運動を
 1047名採用へ闘いはこれから
 全国9カ所 国鉄集会に大結集しよう

(写真 昨年の「国鉄分割・民営化で不当解雇から28年2・15国鉄集会」は東京・すみだ産業会館を埋める大結集で成功し、闘う団結を打ち固めた)


 国鉄分割・民営化による不当解雇から29年の2月14・15日、東京など全国9カ所で国鉄集会が開かれる。この集会から、国鉄分割・民営化に決着をつける新たな闘いを開始しよう。集会への大結集を実現することが、16年決戦の勝利を切り開く。大恐慌がさらに深まり、世界戦争が切迫するこの時代に、国鉄決戦を闘う労働者の陣形をさらに強く広く確立して立ち向かおう。

不当労働行為認定した高裁判決と最高裁決定

 国鉄分割・民営化による不当解雇の撤回を求めて闘われてきた動労千葉の裁判で、昨年6月30日、最高裁が上告棄却の決定を出した。これにより、動労千葉の組合員をJRから排除した「不採用基準」を不当労働行為と認定した東京高裁の判決が確定した。
 動労千葉は昨年9月9日、JR東日本に対して6・30最高裁決定に基づき組合員を採用するよう申し入れた。国鉄闘争は、JRとの直接対決で解雇撤回を実現する新段階に入った。
 国鉄闘争全国運動は、JRに対し解雇の撤回を求める大署名運動を訴えている。2・14集会はこの署名運動を全力で進めるために開かれる。不当解雇を撤回させ、国鉄分割・民営化に最後の決着をつけるのだ。

「金銭解雇」の導入を阻もう

 安倍政権は今国会で労働時間規制を撤廃する「残業代ゼロ」法案と、カネさえ払えば不当解雇も合法となる金銭解雇制度の導入を狙っている。国鉄解雇撤回闘争で安倍打倒へ突き進もう。
 1987年の国鉄分割・民営化は、日本の労働運動の要の位置にあった国鉄労働運動をたたきつぶす目的で行われた。
 国鉄分割・民営化とほぼ同時期の1985年に労働者派遣法が制定された。現在、非正規労働者は労働者の4割を占め、年収200万円以下の超低賃金で過酷な労働を強いられている。資本が好き放題に解雇できる不安定雇用が社会に広がったのは、国鉄分割・民営化が出発点だ。
 国鉄分割・民営化で、それまで40万人いた国鉄労働者は20万人に減らされた。87年4月、7628人の労働者がJR不採用とされ、「再就職対策」の名で国鉄清算事業団に送られた。90年4月には、あくまでJRへの復帰を求めて再就職を拒んだ1047人の労働者が、清算事業団からも解雇された。
 動労千葉は、国鉄分割・民営化に反対して85年11月と86年2月の2波のストライキを敢行した。それへの報復として国鉄当局は12人の動労千葉組合員に停職処分を強行した。さらに国鉄は、「停職処分を受けた労働者はJR採用候補者名簿に記載しない」という不採用基準を作って、動労千葉の組合員をJRから排除した。
 東京高裁判決は、不採用基準を「不当労働行為意思のもとに策定された」と断じ、その認定は最高裁決定で確定した。
 だが、他方で最高裁決定は解雇撤回の要求を切り捨てた。不当労働行為を認定した以上、解雇を撤回するのが原則だ。

JRには採用の義務がある

 これまで最高裁は、国労などの1047名解雇に関する裁判で、「JRと国鉄は別法人」「国鉄が不当労働行為をしたとしても、その責任はJRには及ばない」という判決を繰り返してきた。
 しかし、動労千葉の裁判で新事実が暴かれた。不採用基準は、当時、経団連会長でJR設立委員会委員長だった斎藤英四郎の指示で作られたことが明らかになったのだ。斎藤の指示で不採用基準を具体化し、採用候補者名簿から動労千葉組合員の名前を削ったのは、現JR東海名誉会長の葛西敬之だ。これは、元JR西日本会長の井手正敬が「国鉄改革前後の労務政策の内幕」という文書で自ら語っていることだ。
 国鉄改革法23条5項は、「職員の採用について設立委員がした行為はJRのした行為とする」と定めている。不採用基準の策定がJR設立委員会委員長の指示によるものなら、その責任はJRに及ぶ。JRには、解雇された労働者を87年4月にさかのぼって採用する法的義務がある。
 国鉄1047名解雇撤回闘争は、連合や全労連指導部の抑圧下で苦闘しつつ、闘う労働運動の再生を目指す100万人の労働者の結集軸になってきた。国労本部などによる2010年の「政治決着」で一度は崩された100万支援陣形を再結集し、解雇撤回へ闘いぬこう。ここに新自由主義の攻撃を覆す鍵がある。

外注化・非正規化と闘い労働法制大改悪粉砕を

仲間が殺された!怒りを!

 15人の命を奪った軽井沢スキーバス事故は、「キースツアー」が旅行を企画し、「イーエスピー」がバス運行を請け負うという、外注化・委託構造の中で引き起こされた。事故当時、運転していた65歳の運転手は、昨年12月に入社したばかりの契約社員だった。「大型バスの運転は不慣れ」と会社に申告していたにもかかわらず、大型バスの運転をさせられ、4回目の運転で事故に至った。事故の責任は運転手には一切ない。外注化・非正規職化と規制緩和が事故の原因だ。15人の労働者と学生が殺されたことへの怒りをたたきつけよう!
 JRでも、外注化を原因とする事故が多発している。JR東日本は2001年以降、保線や電力、信号通信などの設備部門を外注化し、12年10月には電車の検査・修繕部門も外注化した。
 検修部門の外注化で業務を請け負ったのは、それまで列車の清掃業務しかしたことのない会社だ。だからJRは、検修業務に携わっていたJRの労働者を大量に外注会社に出向に出した。その時、JRは、外注会社が雇った「プロパー社員」と呼ばれる労働者に技術を教えることが出向の目的だと言い張った。
 だが、外注化から3年以上たった今も、技術力を持ったプロパー社員の育成は進んでいない。
 今は出向に出されたJRの労働者が仕事を回しているが、早晩、外注会社の労働者が、できない仕事でも無理やりやらされるようになることは明らかだ。そして、もし事故が起きたら、責任はすべてその労働者に押し付けられるのだ。格段に安い賃金で過酷な労働を強いられた上、真っ先に事故の犠牲にされるのも外注会社の労働者だ。

動労総連合の全国的建設へ

 動労千葉は外注化に対し、15年に及ぶ闘いを繰り広げてきた。検修部門の外注化強行以降は、「仕事と人をJRに戻せ」というスローガンを掲げて何度もストライキに立ち上がった。これは、外注化された業務をJRの直営に戻し、外注会社に出向に出された労働者をJRに帰すとともに、外注会社の労働者をすべてJRの正規職として雇えということだ。
 この闘いは外注会社の労働者の心をつかんだ。外注会社の清掃部門の労働者の動労千葉への結集が進んでいる。さらに、動労千葉とともに闘うことを決意したJRとJR関連会社の労働者が、正規・非正規の壁を超えて団結し、全国で動労総連合の新たな組合を立ち上げ、雇い止め解雇などの攻撃と闘っている。
 安倍首相は1月22日、衆院本会議の施政方針演説で「同一労働同一賃金の実現」を叫んだ。これは全労働者を非正規にするということだ。昨年、安保戦争法案とともに強行された労働者派遣法の大改悪は、派遣労働を「例外的なもの」と位置づけてきた建前もなくし、労働者に「生涯派遣、一生非正規」を強いるものだ。安倍が狙う労働法制の改悪を阻もう。
 総非正規職化の攻撃は外注化を手段に進められてきた。だから、生きることもままならない非正規職の現実を変えるためには、外注化と徹底的に闘うことが必要だ。
 動労千葉・動労水戸--動労総連合は、「非正規の処遇改善」や「グループ会社の労働条件の均等化」ではなく、非正規職というあり方自体を撤廃させるために闘っている。だから、正規と非正規が同じ組合に団結して闘うことができるのだ。
 JRの外注化は全資本の攻撃のモデルになっている。JRの外注化を打ち砕くことに、非正規労働者の現実を変える鍵がある。2・14集会は外注化と総非正規職化を粉砕するための集会だ。その闘いの軸を担う動労総連合を、さらに全国に拡大しよう。この集会でつくられる労働者の団結は、安倍の戦争と改憲の攻撃を阻止する大きな力になる。2・14集会にこぞって集まろう。

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確定した東京高裁の判決

 国鉄当局としては......国鉄分割・民営化に反対する姿勢を示していた労働組合に属する職員を、このような労働組合に所属していること自体を理由として、差別して不利益に取り扱う目的、動機(不当労働行為意思)の下に、本件名簿不記載基準を策定し、一審原告らに対しても、これに従ってJR東日本の採用候補者名簿に記載しなかったものと推認するのが相当である。......本件不記載行為がなければ......一審原告らが採用された可能性は相当程度にあったことも否定できない。

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