福島の怒りで安倍を倒そう 3・11反原発福島行動'16へ ―2― 福島原発事故 海側地下水、大部分放出できず 汚染水は1日600㌧に激増
福島の怒りで安倍を倒そう
3・11反原発福島行動'16へ ―2―
福島原発事故
海側地下水、大部分放出できず
汚染水は1日600㌧に激増
2011年3・11福島第一原子力発電所事故から5年がたとうとしているが、収束にはほど遠い。高浜や他の原発を再稼働させるなど絶対に許されない。今回は昨年12月18日に開かれた原子力規制委員会の特定原子力施設監視・評価検討会で明らかになった危機的事態を暴露する。
五輪招致で墓穴の安倍
2013年8月にボルト締めのタンクから高濃度汚染水300㌧が構内に流出したことを契機に、オリンピック招致に焦り、逆に墓穴を掘った安倍内閣は、「政府の責任で汚染水対策を講じる」と称して13年9月以降、増え続ける汚染水に対してさまざまな対策を講じてきた。
それは次のようなものだ。(図参照)
①「地下水バイパス」と称して地下水を原子炉建屋後方の海抜35㍍の台地上にある井戸でくみ上げて直接海に流し建屋に流入する地下水を減らす、②たまった高濃度汚染水をALPS(多核種除去装置)を増設して浄化するが、トリチウムだけは取り除けないので汚染水をタンクにため込む、③原子炉建屋周辺の「サブドレン」と称する井戸から地下水をくみ上げて建屋への地下水の流入を減らす、④「海側遮水壁」を建設して地下水の海への流出を阻止する、⑤「凍土壁」と称する凍らせた氷の壁で建屋周辺を取り囲み、建屋への地下水の流入を阻止する――などである。
事故直後、東京電力は炉心を封じ込める抜本策を行うと債務超過になると言って放棄し、場当たり的にメルトダウンした炉心を「打ち水方式」で冷やし続けることにした。その結果大量の汚染水を日々発生させることになったが、そこで次々に起こる問題に「モグラたたき」的に対応してきた。13年9月の安倍内閣の方針も、この東電のその場しのぎのやり方を踏襲したものに過ぎない。
しかし昨年を通してこれらの対策が一応の完成をみ、凍土壁を発動することに焦点が移ってきたかに見えた。建屋に流入する地下水も地下水バイパスとサブドレンで以前の1日400㌧から200㌧にまで減少したという報道もなされた。
海側遮水壁で逆に危機
ところが、海側遮水壁を10月に閉合(完全に閉じてしまうこと)させたところ、直近の4m盤と呼ばれる海抜4㍍の地域の地下水水位が上昇してその水圧によって海側遮水壁にたわみが生じたり、舗装面に地割れが生じたりした。
そのため、海側遮水壁直近の井戸(地下水ドレンと称する)から地下水をくみ上げることになった。当初の予定ではくみ上げた地下水を処理をした上で海に流す予定だったが、東電の予想に反して汚染度が高く、海に流せず大部分を建屋に流し込むことになった。それらは丸々汚染水になる。そしてその量がなんと1日平均400㌧にもなるというのだ。
このことは、逆に言えば今まで汚染された地下水が湾内に垂れ流しだったということだ。しかも湾内と湾外は潮の満ち引きによって50%は海水の交換がある。何が「状況はコントロールされている。汚染水による影響は福島第一原発の港湾内で完全にブロックされている」だ。安倍発言のでたらめさにあらためて怒りがわいてくる。
しかも国費まで投じて汚染水が1日400㌧から200㌧に減ったと言っていたのに、あべこべに1日600㌧に増えてしまったのだ。
ところがこの汚染水を収納するタンクも破綻寸前だ。昨年11月26日発表の東電の計画によれば、ボルト締め形を解体して溶接型への取り替えが進行しているため、昨年の10月を頂点にしばらくはタンクの総量が減り続けることになる。今年の計画を見ても汚染水対策が成功することを前提に溶接型への転換を進めるだけで、総量はほとんど増やさない計画なのだ。
ところが、述べたように汚染水対策が裏目に出て1日あたりの汚染水の量が推定200㌧から600㌧にまで増えてしまうと、今の計画では今年の5月にはタンクがいっぱいになってしまう。
春からの雨の多い時期を前に、まさに汚染水対策は新たな危機を迎えているのだ。
このような危機的事態を前に凍土壁は完成しながらも運用を開始できないありさまだ。
雨水が高濃度汚染水に
さらに汚染水問題の別の側面が浮上してきた。それは雨水問題だ。
昨年の2月に2号機屋上に降ってたまった汚染雨水が港湾外に流出したことが明らかになった。東電は一昨年5月に把握しながらも秘匿してきたのだ。断じて許しがたい。問題の「K排水路」は4号機南側で直接外洋につながっている。
さらに4月には同じくK排水路につながっている排水ポンプが停止したことで放射性物質で汚染された雨水が直接外洋に流出していることが判明した。これ以降報道されているだけでも8回もの汚染雨水の外洋流出が起こっている。海側遮水壁で湾内への汚染地下水の流出は減るはずだったが、海水に含まれる放射性セシウムの濃度は、護岸付近は下がったものの、それ以外は完成前とほとんど変わらない状態が続いている。その原因として考えられるのが雨水問題だ。
福島第一は1号機と3・4号機が爆発したこともあって、構内には人が近づけないような高濃度の汚染がれきがいたるところに散乱している。そのがれきに雨水がかかれば雨水は高濃度汚染水となる。この汚染雨水への対策はまったくなされていない。せいぜいのところK排水路の出口にポンプを設置して直接外洋に出ないようにしているだけだ。これも豪雨の時にはポンプでは処理しきれずに外洋に直接流出して繰り返しニュースになっているのだ。
原発労働者の闘う労組を
現在、福島第一では日々7000人もの労働者が働いている。だが多重下請け構造の中で現場労働者が使い捨てにされ熟練労働者の不足が問題になっている。
次世代にまで続く原発収束をやり遂げるためにも原発労働者の闘う労働組合が絶対に必要だ。動労水戸の被曝労働拒否の闘いとともに闘う原発労働者の組合を絶対に結成しよう。
(城之崎進)
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変える力はここにある! 私たちが歴史を動かす!
3・11反原発福島行動'16
3月11日(金)正午開場
午後1時開会
午後3時デモ出発
開成山・野外音楽堂(郡山市開成1―5 開成山公園内)
主催 3・11反原発福島行動実行委員会