B52爆撃機や核空母投入した米日韓による核戦争とめよう 民主労総ゼネストとの国際連帯を 〝ピョンヤンの焦土化〟公言する凶暴な戦争
週刊『前進』02頁(2716号01面04)(2016/01/21)
B52爆撃機や核空母投入した米日韓による核戦争とめよう
民主労総ゼネストとの国際連帯を
〝ピョンヤンの焦土化〟公言する凶暴な戦争
北朝鮮の核実験を受けて、米軍は朝鮮半島での軍事行動をかつてなくエスカレートさせている。
1月10日、米軍はグアム基地配属の戦略爆撃機B52を朝鮮半島に投入し、ソウル南方の高度100㍍を低空飛行する様子を公開した(写真)。B52は核爆弾や巡航ミサイルなどを最大31㌧まで搭載できる上、北朝鮮の地下軍事施設を破壊するための大型地下貫通爆弾バンカーバスターをも搭載可能な戦略兵器だ。ベトナム戦争の時に、沖縄・嘉手納基地から渡洋爆撃し、多くのベトナム人民を虐殺した血塗られた爆撃機だ。
13年2月に北朝鮮が3回目の核実験を強行した際にも、米軍はB52を派遣したが、その時は核実験から約1カ月後だった。だが今回は、核実験があった直後にカーター米国防長官が韓国側に提案し、4日後にB52が朝鮮半島上空に姿を現した。韓国軍当局は「(B52は)北朝鮮軍にとっては途方もない脅威になる」と評価し、別の韓国軍関係者は「B52の3〜4機が同時に爆撃すれば、半径数十㌔メートル以内が焦土化し、ピョンヤンは地図から消える」とコメントした。
さらに11日、韓国国防省報道官は、原子力空母や潜水艦、ステルス爆撃機などの「戦略資産」の追加投入を米軍と協議していることを明らかにした。原子力空母が朝鮮半島周辺に投入されれば、北朝鮮の防空レーダー網や対空ミサイルなどの防御手段を無力化するステルス機や電子戦闘機などの航空戦力が、一気に増強されることになる。これ自体がすさまじい戦争重圧であり、戦争挑発だ。しかもこれらの戦略資産のうち、F22ステルス戦闘機は沖縄・嘉手納基地に、原子力空母やイージス艦は横須賀基地に配備されている。日本を出撃拠点とした「新たな朝鮮戦争」が、今や準備段階から発動段階に入ろうとしているのだ。
他方で韓国パククネ政権は、8日正午から南北軍事境界線付近の十数カ所で大型拡声器による北朝鮮への宣伝放送を再開した。「北朝鮮が最も嫌がる心理戦」とされる宣伝放送が昼夜を問わず連日行われ、異常な緊張状態が生み出されている。また10日には、北朝鮮への圧力をさらに強めるため、2月下旬以降に予定していた米韓合同軍事演習「キーリゾルブ」の前倒しを米韓両政府が検討していることが発表された。13日には、パククネが米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に言及し、「北朝鮮の核とミサイル脅威などを考慮し検討していく」と発表した。
米中軍事衝突は世界戦争の引き金を引く
こうした米韓の軍事動向は、昨年新たに策定した「作戦計画5015」の本格的な運用・発動に向け、米韓連合軍が準備に入ったことを示している。「5015」は、南北間の局地的衝突や北朝鮮のわずかな動向(ミサイル発射の「兆候」や政権崩壊の危機など)をとらえて、ただちに核兵器を含むあらゆる手段でピョンヤンを先制攻撃し、一気に全面戦争を開始するという内容だ。昨年夏には「5015」の運用を想定し、米軍3万人、韓国軍5万人を動員した過去最大規模の合同軍事演習が実施された。他方、昨年9月に国会で戦争法を成立させた安倍政権は、韓国との間で「朝鮮半島への自衛隊の上陸」について協議を重ね、朝鮮半島有事に際しては韓国政府の同意なしに北朝鮮への攻撃と上陸を行う狙いを表明した。
そして12月28日に突如強行された日本軍軍隊慰安婦問題の「日韓合意」は、まさに日韓および日米韓の軍事同盟構築を狙った戦争外交だった。実際、岸田文雄外相は直後の記者会見で「日韓そして日米韓の安保協力が前進する素地ができた」と語り、この合意の真の目的が新たな戦争のための「地ならし」だったことを吐露した。
北朝鮮の1・6核実験は、こうした日米韓による一連の戦争策動、戦争重圧に追い詰められた絶望的で反人民的な瀬戸際政策にほかならない。
他方で、中国・習近平政権は、この間の日米韓の動きに強い反発を示している。特に最大航続距離1万6千㌔のB52の投入は、中国周辺への米軍の接近を拒むことを主眼とした中国軍の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略に対する露骨な挑戦であり、韓国へのTHAAD配備にも中国は以前から反対してきた。今回も、「いかなる国も中国の玄関先で争いを起こすことは許さない」(王毅外相)として、米軍の動向に神経をとがらせている。
米帝は北朝鮮を餌食(えじき)としつつ、この機に対中国軍事戦略を強化しようと狙っているのだ。まさに朝鮮半島での戦争は米中の軍事衝突に直結し、世界戦争の引き金を引くことになる。絶対に阻止しよう。
労働組合のストライキで安倍を倒そう
日米韓政府による「新たな朝鮮戦争」の策動に対し、労働者民衆の広範な反撃が始まっている。とりわけ12・28日韓合意は多くの人びとの憤激を呼び起こし、むしろ安倍とパククネの新たな危機に転化しつつある。14日には、軍隊慰安婦の闘いを支援してきた韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)など386団体が日韓合意に反対する声明を発表した。韓国では世論調査で51%が日韓合意は「失敗だった」として再交渉を求め、特に30代の青年は7割が合意に反対。また日本政府が要求する日本大使館前の「少女像」の撤去に対しては72%が反対し、現在も多くの学生や労働者が大使館前で連日抗議闘争を展開している。
パククネは合意を批判する声を「社会の混乱を引き起こすデマ」と罵倒(ばとう)し、「(合意は)最善を尽くした最上の結果だ」と強弁しているが、まったく通用していない。さらに、自民党の元文部科学副大臣・桜田義孝が14日、「(慰安婦は)職業としての売春婦だった」と暴言を吐いたことで、怒りの声がますます広がっている。
そもそも日本軍軍隊慰安婦制度とは、かつて日本帝国主義が行った世界的に類例のない極限的な戦争犯罪・国家犯罪であり、口先ばかりの「謝罪」や「10億円」でそれを闇に葬ることなど到底許されないのだ。「少女像」の撤去を要求する資格など1ミリもない。
何より、民主労総が日韓合意粉砕・パククネ政権打倒を掲げて不屈に闘い抜いていることが、安倍とパククネを追い詰めている。
戦争を阻止する最大の力は、闘う労働組合の中にこそある。民主労総と連帯し、日本でもストライキで闘う労働組合を登場させ、戦争・改憲に突き進む安倍を打倒しよう!
(水樹豊)