福島の怒りで安倍を倒そう 3・11反原発福島行動'16へ ―1―

週刊『前進』04頁(2715号03面01)(2016/01/18)


福島の怒りで安倍を倒そう
 3・11反原発福島行動'16へ ―1―


3・11郡山闘争へ
変える力はここにある 私たちが歴史を動かす
小児甲状腺がん153人に
事故の影響の否定を許さない

 2011年3・11福島第一原発事故から5年の3月11日、福島県郡山市で「3・11反原発福島行動16」が行われる。スローガンは「変える力はここにある! 私たちが歴史を動かす!」だ。呼びかけに応え、全国から郡山に集まろう。今号から3・11へ向けたシリーズを始める。今回は小児甲状腺がんの多発に対する原発事故の影響を否定する主張を批判します。

2年で39人が新たに発症

 2016年は「フクシマをなきものにする」大攻撃との激しい攻防の年である。福島では来年3月、避難指示の一斉解除で帰還が強制されようとしている。川内原発に続く高浜原発の再稼働が狙われている。決意も新たに福島の労働者人民とともに生き闘いぬこう。中でも重大なのが、原発事故による被曝と健康被害をことごとく否定しようとする動きとの対決だ。
 昨年11月30日に開催された福島県の県民健康調査検討委員会において、甲状腺がん及び疑いと判定された子どもが153人にのぼることが発表された。公表されたのは昨年9月30日までのデータで、13年度までの「先行検査」で甲状腺がん・疑いと診断された子どもが114人。14〜15年度に行われている2巡目の「本格検査」でがん・疑いと診断された子どもが39人だ。そのうち116人は、すでに甲状腺摘出手術を受けている。
 本格検査でがんと判定された39人のうち37人が、先行検査ではA判定で「問題なし」とされていたことも重大だ。「A1判定」(結節やのう胞を認めなかった)が19人、「A2判定」(5㍉以下の結節や20㍉以下ののう胞を認めた)が18人。残りの2人は「B判定」(5・1ミリ以上の結節や20・1ミリ以上ののう胞を認めた)だ。
 A1、A2判定の子どもたちは「2年後の検査まで経過観察」と、検査もされず放置された。その2年の間に甲状腺がんを発症したのだ。「100万人に1〜2人」と言われる小児甲状腺がんがこれほど多発している。子どもたちを被曝から守り、健康被害をこれ以上広げないための取り組みが急務である。

多発認めない「中間報告案」

 同検討委は今年3月に「中間とりまとめ」を出そうとしている。昨年11月の会合では、座長の星北斗(県医師会副会長)が作成した「中間とりまとめ案」をたたき台に議論が行われた。この内容も許しがたい。
 昨年5月、同検討委甲状腺検査評価部会が中間取りまとめを提出した。そこでは、小児甲状腺がんについて「(統計などより)数十倍のオーダー(程度)で多い」ことは認めた。しかし今、同検討委の「中間とりまとめ案」には、小児甲状腺がんが多発している事実がまったく記されていない。多発の事実すら否定して「放射線の影響とは考えにくい」と報告しようとしている。
 政府、東電、福島県当局が一体となって、小児甲状腺がんを始めとする健康被害を否定し去ろうとしている。絶対に許してはならない。

共産党は「恐怖症が問題」

 政府・県当局の総力を挙げた攻撃の中で、「反原発」「脱原発」の仮面をかぶった偽物の化けの皮がはがれてきている。
 その最たるものが日本共産党である。日本共産党は一貫して原発事故による被曝と健康被害を否定し、避難・保養に敵対してきた。そして今や、政府・県当局とともに攻撃を推進する勢力として、労働者人民に公然と襲いかかっている。
 福島県医師会が14年から、県内各地で開業医を対象に「放射線と健康相談会」研修会を行った。目的は開業医に「放射能の心配はいらない」と患者を説得させることだ。
 福島市の研修会では、わたり病院の斉藤紀(おさむ)医師が講演した。わたり病院は高線量で名高い福島市渡利地区の中心地にある日本共産党の大拠点であり、院長は福島市医師会会長だ。
 斉藤は講演で「福島の放出放射能はチェルノブイリに比べれば非常に低い。放射能による健康被害が起こるレベルではない。低線量被曝を心配する人がいるが、100㍉シーベルト以下の放射能の影響はきわめて軽微で心配することはない」と述べた。「100㍉シーベルトまでは大丈夫」と講演して歩き福島の労働者人民の憎悪の的となった山下俊一とまったく変わらない主張だ。
 さらに小児甲状腺がんについても「甲状腺がんの多発は高性能エコーにより全世界で増えており、福島だけが特別ではない。放射能恐怖症のために運動をしなくなり肥満が増え、それによる健康障害のほうが問題」と言い放った。
 放射線被曝が健康被害をもたらすのではなく、「放射能恐怖症」こそが健康被害の原因という、バリバリの御用学者同様の主張を触れて回り、その内容で〝患者を説得しろ〟と言っているのだ。実に犯罪的である。

「多発あり得ない」と西尾

 「市民派」と言われる勢力の中でも、屈服が進んでいる。「いわき放射能市民測定室たらちね」で甲状腺検診を行っている医師の一人に、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道がいる。約3万人の患者を診てきたという「放射線治療の第一人者」を売りにしている人物だ。
 昨年12月12日、郡山市で「いま被ばくを考える」と題するシンポジウムが開かれた。その講演者の一人であった西尾は、福島の小児甲状腺がんについて「多発ではあり得ない」と強弁した。
 「今回の甲状腺がんの話もみんな、とにかく多発にしたがっていますけど、反原発の団体の人たちの中で『違います』と公然と言うのは唯一、僕だけでしょう。僕は違うと思います」「1、2年目から(小児甲状腺がんが)起きているというのは、自然発生の人を見つけてる」「僕は毎月いわき市の『たらちね』で甲状腺検診やってます。6人の医者で、甲状腺がんが増えているという実感は誰も持ってません。(子どもたちより)連れてきたお母さんのほうがずっと所見があります」
 さらにシンポの最後には「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のデータをストップした人が圧勝で知事になるわけですから、これはみなさんがたの責任です」と、参加した福島県民を糾弾する始末だった。
 そのあまりの暴論に、参加者から怒りと弾劾の声がたたきつけられた。
 こうした勢力の屈服の対極で、けっして筋を曲げないふくしま共同診療所の活動に、大きな支持と共感が広がっている。

共同診療所へ支援広げよう

 昨年12月13日、郡山市で開かれた報告会で、同診療所の布施幸彦院長は「甲状腺がんの多発と健康被害に向き合う診療を」「『内部被曝・低線量被曝による健康被害は生じる』という立場で今後も診療を行っていく」ときっぱりと訴えた。
 「避難・保養・医療」の原則を貫く診療所の活動を全国で支え、福島の労働者人民とともに闘おう。3・11郡山に職場・地域の仲間とともに駆けつけよう。
(里中亜樹)

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県民健康調査甲状腺検査
(2015年9月30日現在)
            先行検査   本格検査
            11〜13年度  14〜15年度
調査対象      約37万人    約38万人
1次検査を実施  約30万人    約20万人
2次検査を実施  2096人     1023人
悪性・悪性疑い  114人       39人

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日本民医連・わたり病院
斉藤紀医師の講演
 福島の放出放射能はチェルノブイリに比べれば非常に低い。放射能による健康被害が起こるレベルではない。低線量被曝を心配する人がいるが、100㍉シーベルト以下の放射能の影響はきわめて軽微で心配することはない。甲状腺がんの多発は高性能エコーにより全世界で増えており、福島だけが特別ではない。放射能恐怖症のために運動をしなくなり肥満が増え、それによる健康障害のほうが問題。

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変える力はここにある! 私たちが歴史を動かす!
3・11反原発福島行動'16
 3月11日(金)正午開場
       午後1時開会
       午後3時デモ出発
 開成山・野外音楽堂(郡山市開成1―5 開成山公園内)
 主催 3・11反原発福島行動実行委員会

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