改憲が7月参院選の大争点 緊急事態条項導入狙う安倍 1・4年頭会見と国会報告を断罪する

週刊『前進』02頁(2714号01面01)(2016/01/14)


改憲が7月参院選の大争点
 緊急事態条項導入狙う安倍
 1・4年頭会見と国会報告を断罪する

北朝鮮核実験は侵略戦争の危機を加速

 2016年冒頭の階級情勢は未曽有(みぞう)の大激動として始まった。世界大恐慌は本格的・全面的に激化し、中国経済の大減速が今や世界経済の命取りとなった。全世界で株価が暴落している。安倍政権のもとでつくり出してきた「円安・株高」の虚構もアベノミクスとともに無残に崩壊した。2016年は、破産し危機にのたうつ安倍を労働者の総決起で打ち倒す決戦の年だ。
 大恐慌下で戦争が戦争を呼ぶ情勢が展開している。米英仏独やロシアは対IS(「イスラム国」)を口実としたシリア空爆で労働者階級人民を殺りくし、廃墟となったシリアから膨大な難民が生み出されている。1月初めのサウジアラビアとイランの国交断絶など、世界戦争危機はますます加速し、あらゆる帝国主義国と大国(ロシア・中国)が中東戦争に引き込まれていく。この戦火のただ中から、労働者階級は階級的労働組合の総決起と国際連帯で戦争を阻止し世界革命に突き進む闘いに決起を開始している。
 世界戦争の最大の火点となっているのが、東アジアにおける米日帝の朝鮮侵略戦争の切迫だ。6日に北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)体制が突如強行した反人民的な核実験は、米日帝の朝鮮侵略戦争策動に絶好の口実を与え、拍車をかけている。米帝は北朝鮮の転覆を狙う新たな作戦計画「5015」を今年から本格的に発動するとしており、それと一体で日帝が集団的自衛権行使を認めた戦争法が3月から施行されようとしている。昨年12月28日の慰安婦問題での「日韓合意」は日帝の戦争犯罪と植民地支配の歴史を清算しようとするものであり、米日韓軍事同盟をつくる新たな戦争行為だ。
 年末年始を貫き闘われている民主労総の労働改悪法案粉砕の闘い、そしてこれと連帯した日本での1月4日の動労水戸のストライキ、生産点を基礎とした日韓労働者の国際連帯の力強い発展こそ迫り来る朝鮮侵略戦争を阻止する道だ。
 今年前半の日本階級闘争は、韓国・民主労総の闘いとともに、朝鮮侵略戦争を阻止し世界革命を切り開く決定的な闘いである。安倍が4日に行った年頭会見と外交報告はそのことを鮮明に示している。

緊急事態条項の狙いは戦争と治安弾圧だ

 年頭会見などで安倍は、7月参院選で自公やおおさか維新で過半数から3分の2をとる決意を述べ、「憲法改正については参院選でしっかりと訴え、国民的な議論を深めていきたい」と、改憲攻撃をテーマとする方針を打ち出した。
 昨年来、安倍政権は改憲攻撃を「緊急事態条項」新設から始める方針を打ち出している。8日の衆院予算委員会で安倍は、「大規模な災害が発生したような緊急時に、国民の安全を守るため、国家、国民自らがどのような役割を果たすかを憲法にどのように位置づけるかは、極めて重く大切な課題」などと答弁した。あたかも「災害」への対応が問題かのように言っている。これはとんでもないペテンだ。マスコミも、災害時の国会議員の任期延長などが問題であるかのように報じている(1月1日付毎日新聞)が、核心をごまかす反動的な宣伝だ。
 自民党の憲法改正草案98条は、内閣総理大臣が「緊急事態」を宣言する場合として、第一に「我が国に対する外部からの武力攻撃」、第二に「内乱等による社会秩序の混乱」を挙げている。つまり戦争突入や内乱、革命の危機に際して内閣総理大臣が緊急事態を宣言し、その瞬間に憲法はすべて停止され、内閣が法律と同一の効力の政令を制定でき、「何人も、……国その他公の機関の指示に従わなければならない」(99条)というものだ。ヒトラーが1933年に制定したナチスに全権委任を許す「授権法」と同じ憲法破壊のクーデターだ。
 労働運動・学生運動などは全面的に禁圧の対象となる。ハードルの低いものから改憲を経験してもらうという「お試し改憲」などでは断じてなく、これ自体が改憲攻撃の本丸だ。「緊急事態条項」新設を粉砕し改憲攻撃をたたきつぶそう。

国鉄決戦と7月選挙決戦で安倍打倒へ

 安倍が会見で連呼した「挑戦」というキーワードは、敗戦によって米帝に押し付けられた戦後レジームに今年こそ本気で「挑戦」し改憲を狙う安倍の本音を示すものだ。敗戦帝国主義から、再び自前の軍事力をもってアジアと世界にうって出る侵略帝国主義に飛躍するどす黒い「挑戦」だ。
 重大なのは「自由民主主義、法の支配、人権といった普遍的価値のチャンピオンであるG7、その議長として世界をリードする」との言辞だ。年頭会見後、国会で行った外交報告でも、今年日帝がG7伊勢志摩サミットの議長国や日中韓サミットの議長国を務め、1月からは国連安全保障理事会の非常任理事国入りしたことを通して「日本外交が世界を引っ張る」と強調した。
 米帝の没落・衰退、欧州帝や大国中国、ロシアの危機を見てとり、日帝が「世界をリードする」と反動的野望をあらわにし、対中国の戦争政治を最先頭で繰り広げることをむきだしにしている。だが日帝こそが帝国主義の「最弱の環」であり、アベノミクスは経済破滅に突き進み、国家財政も大破綻している。大恐慌と争闘戦激化の中で、危機と破産にのたうつ安倍は戦争放火者として絶望的に突出していく。それは外注化・総非正規職化、解雇自由、社会保障解体を軸とした国内階級戦争とも完全に一体だ。
 昨年9月から12月にかけて安倍は臨時国会も開かず世界をとび回って外交を行った。モンゴルと中央アジア5カ国歴訪には三菱商事や丸紅など大手商社、電機メーカーなど民間企業約50社が同行し、インドのモディ首相とは1兆円の円借款供与で日本の新幹線システムの採用を決め、原発輸出を狙う日印原子力協定の締結で合意した。核武装しているインドとの原子力協定が「核兵器のない世界を目指し、不拡散を推進する日本の立場に合致する」などと破廉恥にもうそぶいた。
 安倍は中国の「一帯一路構想」に必死に対抗し、資源・市場の獲得をめぐる国際争闘戦に国家を挙げてのりだしている。鉄道・原発を軸としたインフラパッケージ輸出や武器輸出推進が日帝の延命と勢力圏形成の基軸となっているのだ。
 2016年、動労総連合の全国的建設を機関車とする国鉄決戦と、7月選挙決戦は、絶望的に凶暴化する安倍政権と激突し日帝打倒の革命を切り開く胸躍る闘いだ。1〜3月の国鉄集会、16春闘攻防から5月サミット粉砕、そして7月選挙決戦へ闘おう。動労総連合と学生自治会の建設で日本でのゼネストをたぐり寄せ、世界革命への大挑戦に立とう。
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