全学連新年座談会 全国大学で反戦ストを 新自由主義と闘い自治会建設へ

週刊『前進』12頁(2712号01面02)(2016/01/01)


全学連新年座談会
 全国大学で反戦ストを
 新自由主義と闘い自治会建設へ

(写真 ずぶ濡れになりながら機動隊との激突に勝ち抜き車道占拠集会をかちとった【9月16日 国会正門前】)
(写真 京都大学同学会は戦争反対のバリケードストに立った【10月27日 京大】)

(写真 沖縄大学学生自治会と全国学生が団結して学内で集会・デモを敢行し、那覇市内デモへと打って出た【5月18日 沖縄大学】)

 2015年、全学連(全日本学生自治会総連合)は、戦争法絶対阻止の国会決戦を巨万の労働者人民とスクラムを組んで実力闘争として闘い、全世界の労働者・学生の闘いとも呼応して京都大学での10月反戦ストライキに上りつめた。激戦激闘の中からくめども尽きせぬ教訓をつかみとり、その地平の上に2016年、改憲と朝鮮侵略戦争をめぐる大決戦に全国の大学での反戦ストと街頭での実力闘争、そして7月参議院選挙闘争を闘う決意に燃えている。全国の大学に学生自治会を建設し、今こそ全学連が300万学生の主流派に飛躍する時だ。全学連運動の切り開いた地平と闘いの決意を大いに語ってもらった。(編集局)

■出席者(敬称略)
斎藤郁真(委員長/法政大学)
作部羊平(副委員長/京都大学同学会委員長)
赤嶺知晃(副委員長/沖縄大学学生自治会委員長)
森田寛隆(広島大学学生自治会委員長)
石田真弓(東北大学)
森幸一郎(書記次長/京都大学)
▽司会 坂野陽平(書記長/上智大学)

京大バリスト打ちぬいた

時代への回答示す

 坂野 昨年は、学生自治会を基盤にした「戦争反対のストライキを闘う全学連運動」へと、京都大学同学会の仲間を先頭に挑戦してきました。
 斎藤 僕らがずっと、「世界大恐慌は戦争を生み出す」「世界戦争が切迫している」と言ってきたことが、現実のものになり始めたと実感します。11・13パリ無差別銃撃・自爆事件があり、11月24日にはトルコによるロシア軍機撃墜があった。全世界の帝国主義国・大国が、市場と資源と勢力圏を求めてイラク・シリアに軍事的に群がってきている。中東、ウクライナ、東アジアを焦点に「世界戦争切迫」情勢が一気に進んだ。


 そうした中、僕らは韓国やトルコの労働者と国際連帯をかちとり、11月1日に日比谷野外音楽堂で5700人の全国労働者集会を成功させました。戦争法成立絶対阻止の9月安保国会決戦を実力闘争で闘い、「戦争を止める力はどこにあるのか?」を真っ向から問うて、10月27日には京都大学でバリケードストライキを打ち抜きました。
 昨年4月以降に全学連が呼びかけた国会闘争のスローガンには必ず「民主労総ゼネスト連帯!」を入れ、ゼネスト当日に合わせた集会・デモを幾度も設定してきました。戦争が近づくほどこうした闘いは必然となり、国際連帯が労働者階級の欲求になります。
 今年の課題は、この地平を強化し、全国の大学で「改憲阻止・朝鮮侵略戦争阻止」のゼネラルストライキを実現することです。7月参院選を全力で闘い、改憲攻防に焦点を合わせたストライキに挑戦します。
 坂野 京大ストライキはどうでしたか?
 作部 「戦争と貧困」という今の時代への僕らの「回答」を示せました。安倍政権の9月19日の戦争法強行採決に対し、「次はどうするのか?」が問われました。ただちに日本共産党が「国民連合政府」構想を打ち出し、戦争絶対反対の闘いのエネルギーをブルジョア選挙に流し込む中、僕らは「キャンパスから声を上げよう」「反戦ストをやろう」と訴え、韓国やトルコで国家権力・資本と命がけで闘う労働者に連帯する闘いとしてストを貫徹しました。


 この地平を今度はすべての労働者・学生が層として立ち上がる「力」に拡大したい。ストライキという闘い方を、実際に戦争を止めうる「現実の力」に転化することが課題です。
  昨年の闘いは安保国会決戦なしにはありませんでした。国会決戦の高揚を受け、全国の大学キャンパスでそれと同じ質で闘ってきました。あの感動、怒り、労働者民衆の思いを自分たちのものにして、「必ずこのような闘いをキャンパスでつくる」という決意が京大バリストを生み出しました。
 学生のあらゆる権利や主体性、未来を奪い尽くす新自由主義大学の中で、なぜ京大ストができたのか。それは法大闘争10年の激闘の教訓なしには語れません。今年はあらためて法大闘争を大爆発させる年にしたいです。
 石田 京大ストは、「本当に戦争を止められる」という道筋を示し、既成の左翼潮流やシールズなどの路線のどこに欺瞞(ぎまん)があるかを根本的に暴きました。
 森田 キャンパスで学生に訴えるにあたって、まず「反戦ストをやる」という立場に立ちきったことが大きな転換です。広島大学でも「ストライキをやろう!」とストレートに訴え、10月の自治会執行部選挙を行いました。私が委員長候補になり、「戦争と革命の時代」の中で学生は激しい力ある行動を求めていると確信を持って提起し、7割以上の信任をかちとりました。
 広大当局は「被爆地大学」として表向きは「平和を希求する精神」を掲げながら、「戦争反対の立場を示せ」という広大自治会の当たり前の要求すら無視している。学生の団結の力に依拠し、キャンパスと街頭で実力で闘うしかありません。

実力闘争が必要だ

 坂野 どういう決断でバリストに上りつめたのでしょうか?
 作部 2012年6月に同学会を再建した後、最初は「学内でこういう問題が起きているからみんなで取り組もう」というところからクラス討論を重ねてきましたが、実践でいろいろ「壁」にぶつかりました。京大当局は同学会を非公認化して話し合いに一切応じません。また、大学総長だけでなく、もっと上の国家権力の意思として「大学改革」が行われ、大学が自ら進んで国家・大資本の先兵となる中で「原発御用学者」や戦争協力の問題があり、さらに学生を高い学費や就職活動、奨学金で縛る攻撃がある。そうした構造を打ち破る運動を全学的・全国的につくろうと決断していきました。
 そうした中、安倍政権の一昨年の集団的自衛権行使容認の7・1閣議決定を受け、「本気でこの時代に向き合い、戦争を止めるために闘う同学会執行部をつくろう」と決意し、同学会中央執行委員会として国会闘争や10・21国際反戦デー闘争を闘ってきました。一昨年11月にはその闘いの一環として、キャンパスに潜り込んでいた京都府警の公安刑事を摘発し、たたき出す勝利もかちとりました。
 昨年9月の戦争法成立を受け、キャンパスからの学生の決起にこそ力があることを示すため、大学で反戦ストをやると決断し、10月だけでのべ200近いクラスで政治討論を重ねました。10月10日にトルコの反戦集会で連続爆破事件が起き、100人以上の労働者民衆が犠牲になり、これに抗議してトルコの労働者・学生がストに立ち上がるのを見て、この命がけの決起とどう結びつくのかと真剣に考えました。あるいは「労働改悪阻止!非正規職撤廃!」を掲げゼネストを闘う韓国・民主労総とどう結びつくのかと討論しました。
 最後に、「バリケードを組むかどうか」で決断が迫られました。現実に戦争が始まる中、学生が黙って教室で椅子に座り、単位・卒業・就職のために「仕方ない」と思わされ、上から降ってくる講義をただ受けるだけの場所に大学がさせられている。しかし本来、大学とは社会の未来をつくるものであり、学生は次の社会をつくる主体ではないのか。そう考えた時に、今の大学が「金もうけと戦争」にまっしぐらで、授業が支配の道具になっているあり方を僕ら自身の力で止め、破壊し、その中から全世界の労働者民衆の闘いと一体で新たな大学を建設する実力闘争が必要だと考えました。一つの講義棟封鎖という小さな一歩ですが、「自らの力で戦争を止める」という最初の行動としてやりきった自信と誇りがあります。
 坂野 かつて2000年11月に東北大学で「国立大学法人化反対」のストライキが闘われましたが、昨年の京大バリストは2004年の国立大学法人化以降、そして新自由主義大学下での初のスト決起でした。これは06年3月以来の法大闘争10年の全蓄積をかけたストでもありました。
 スト後も、京大生の反応は圧倒的に良かった。「今度は自分の授業を粉砕してくれ」と。(笑)
 作部 「授業がつまらない」「何かを変えてほしい」という期待は、京大生の中にものすごくあります。
 坂野 スト当日は、マスコミも十数社が現場に取材に来て、社会的注目も一気に高まりました。その日のツイッター検索の上位ランキングを「京大」「バリケード」「ストライキ」が占めるということも起きました。(笑)
 斎藤 ストライキを本当に実現した大きさです。法大闘争10年を大学当局・国家権力に負けずに不屈に闘ってきたことがこの時代に生きてきました。シールズを始め他の勢力は「弾圧されたら終わり」だから絶対にストなんて言えないし、やれない。やるつもりもない。むしろ、今の新自由主義大学の学生支配のあり方を守り肯定する。私たちが困難に負けず、粘り強くキャンパス・街頭で運動をつくってきたことが重要です。
 だからこそ、京大だけで終わらせない。全国の大学でストを闘うために何が必要かが問われています。昨年11月の大阪ダブル選挙では共産党の「国民連合政府」路線が敗北し、「選挙では変わらない」ことが誰の目にも明らかな中、それに代わる実力闘争で戦争を止め安倍を倒す勢力は誰かがますます問題になります。安倍政権が7月参院選を焦点に改憲攻撃に突っ込んでくる中、いかに闘って改憲を阻止するかが問われます。

安保国会決戦に全力決起

朝鮮侵略戦争阻む

 作部 ストを決断するにあたって、1回生が「やるなら徹底的にやるべきだ」と言ったことが大きかった。それを受け、「戦争を止めるためにやれることを全部やろう」と全体が燃えました。中途半端にやっても京大生や労働者の魂は揺さぶれない。バリケード封鎖という激しい闘いをやったからこそ、学生のいろいろな思いが噴き出てきた。当日は一部学生が集会の最後にバリケードを破壊しようとしましたが、僕らの訴えを最後まで聞いてくれた学生が多かった。昼休み後に授業が始まっても数百人規模で集会を継続し、集会後も広場に何人も残り、ものすごく活発な討論を行いました。
 森田 私がそこで話した京大生は、「今の時代は、従うか逃げるかしかない」と言っていました。未来をつくるべき学生が自分で生き方を切り開く展望を奪われていると感じました。
 坂野 ストライキの前段階で、「朝鮮侵略戦争の切迫」(米韓連合軍策定の北朝鮮への全面戦争計画である「作戦計画5015」の暴露)という情勢認識を明確にしたことも重要でした。また、「静穏な教育環境を守れ」なる学生支配のあり方をどうぶち破るのか、ということが新自由主義大学との闘いにおいて重要なテーマになりました。


 赤嶺 沖縄大学では昨年の5・15沖縄闘争の過程でキャンパス集会とデモを行ったことで、昨年8月、僕と学生自治会の盛島琢允(たくま)副委員長に「訓告処分」がかけられました。その理由も「静穏な教育環境の侵害」です。法政大学文化連盟委員長の武田雄飛丸(ゆひまる)君も2012年に処分撤回・学祭規制反対でキャンパス1千人集会を開催したことが「静謐(せいひつ)な学習環境を乱した」とされ、無期停学処分とされました。新自由主義大学は「営業権」や「施設管理権」を掲げ、学生の一切の主体性を圧殺する恥ずべき姿をさらしています。
 京大バリストの意義は、この新自由主義大学を根底から粉砕する立場を示したことです。僕たちは今の大学の部分的改良を目指しているわけではない。腐りきった新自由主義大学全体をぶっ飛ばし、労働者階級の闘いと一体で革命をやり、教育・学問を学生の手に取り戻すことです。
 沖縄大学でも単位・就活・奨学金という攻撃で学生を資本の鎖に縛り、基地や戦争への怒りはあっても立ち上がれなくさせられています。この現実を変えたい。この生の学生の姿を問題にせず、戦争や基地について授業で「おしゃべり」していること自体が、ブルジョアジーの支配の補完物です。口先だけ「リベラル」な教授や授業も全部ストライキでぶっ飛ばさなければいけない。
 坂野 11・1労働者集会に上りつめていく過程で、動労総連合のストライキ決起と一体で闘えたことが大きかったですね。11月集会を「自分たちの闘いでつくった」という実感を持ちました。
 赤嶺 9月安保国会決戦に多くの労働者が人生をかけて立ち上がる姿に感動し、「自分も何かしないといけない」と決意した沖大生が初めて11月集会に参加しました。彼は、世界中の労働者が「自国政府打倒、戦争絶対反対、国際連帯」で資本と激しく闘い、すごく明るいことに感動しました。特に、日本IBM・ビジネスサービス(IJBS)労働組合の解雇撤回裁判・反動判決に対し、「絶対あきらめずに闘って沖縄ゼネストへ駆け上がる」と戦闘宣言を発した仲宗根光洋書記長に獲得され、今までの人生観も変わって「私の闘いはここから始まる」と力強く語っています。こうした沖大生とともにストをやり抜く執行部をつくることが、沖縄ゼネストを切り開く展望です。
 石田 「戦争の問題」が労働者・学生の日常にあります。動労千葉の青年は、9・13国会前集会で「非正規労働と戦争は一体だ」と言っていました。 
 斎藤 全学連の「ストライキで戦争止めよう!」のスローガンは深い意味があります。非正規職労働者が職場で不当な業務命令に従わされていることが、国家の戦争動員に直結している。現場で闘う厳しさからすべての勢力が逃げる中で、11月集会勢力の僕らだけが立ち向かってきました。その集大成がストライキです。
 坂野 昨年の闘いにおいて、戦争法成立絶対阻止の安保国会決戦に全力決起したことが決定的でした。総括をお願いします。
 赤嶺 全学連が「国際連帯とゼネストで戦争とめよう!」と呼びかける部隊として登場し、国会前に結集した多くの労働者民衆と結びつく言葉、アジテーションを実践で学んでいきました。
  戦争法強行採決直前の9月16日夜、僕らは国会前で「廃案まで車道占拠を続けよう!」と訴えて闘いました。数万人の労働者民衆の決起で規制用の鉄柵は一瞬で決壊していきました。初めて国会闘争に参加した多くの人と一緒に、雨の中、スクラムを組んで機動隊と対峙(たいじ)し続けました。彼らの決起に感動したし、全力で応えたいと思いました。僕たち自身が労働者階級の怒りと実力決起を見たと同時に、シールズを始め体制内勢力の許しがたさを実感しました。国会決戦を闘って得た多くの教訓は、全学連運動のかけがえのない財産です。
 斎藤 2011年3・11原発事故以降、国会前を始め全国で闘いは高揚しますが、それでも原発再稼働は強行されます。「社会を変えるために何が必要なのか?」。この数年間の運動を総括して国会闘争に臨みました。どんな困難があってもキャンパス・職場で闘ってきたからこそ、「ストライキで戦争とめよう!」と言いきって登場できました。僕らの今秋スト方針に多くの人たちが共感し、全学連の国会前独自集会への注目は圧倒的でした。国会内では野党が総屈服し、「国会前行動をいかに終息させるか」が最大の焦点となる一方、労働者・学生の闘いは非和解化していきました。
 坂野 一昨年の7・1閣議決定から安保関連法に照準を定めて闘いを準備してきましたが、昨年9月2〜3日の全学連大会以前と以後では断絶があります。「人生をかけても止める」という闘いに断固応えるということです。
 森田 全学連大会から国会闘争に向かう過程で、自分たち自身が変革・飛躍し、「内なる体制内思想」をのりこえて退路を断って闘う覚悟を決めました。仲間との団結にかけきって闘う。
 坂野 8月30日の国会闘争での「車道解放」を経て9月14日からは連日、機動隊の規制は粉砕され10万人規模での車道占拠闘争に発展しました。16日夜は機動隊との大激突の頂点でした。この過程での仲間の不当逮捕に怒りを燃やして闘争はさらに爆発し、国会前は本当に「解放区」になったよね。
 作部 「安倍を倒したい!」という怒りが燃え広がった。
 赤嶺 国会前で「学生はキャンパスで反戦ストやります!」と訴えたら、圧倒的支持が寄せられました。これが自信と確信になり、京大ストを決断していきました。国会決戦の高揚がストを闘う主体をつくり出しました。国会闘争には革命のヒドラが宿っていたし、「どの勢力が本物か」「戦争を止める力はどこにあるのか」がすべてはっきりしました。


 作部 10万人規模で労働者が結集しているにもかかわらず、国会前集会では労働者を代表する発言は皆無でした。しかし、動労千葉や動労水戸が登場した瞬間に「待ち望んでいた!」と歓呼の声で迎えられ、ビラを読んだ人から組合に電話がかかってきたと聞きました。学生自治会のノボリも国会前で拍手喝采(かっさい)で迎えられ、「いま足りないのはストライキだ!」と全員がストを支持し、カンパを寄せてくれました。

シールズの反動性

 坂野 「戦争を進める安倍が目の前にいるじゃないか!」「廃案まで車道占拠を続けよう!」という訴えへの共感がすごかった。安倍への怒りが頂点に達した時にシールズが労働者・学生の闘いに敵対し、襲いかかりました。
 作部 16日の車道占拠翌日、シールズは機動隊に守られながら「車道解放」の演出をすると同時に、シールズ防衛隊が全学連を包囲して国会前デモの前列に行けないように妨害してきた。本当に許せなかった。18日には警察権力の弾圧に抗議して闘う労働者・学生に、「警察に抗議するな!」と叫んで襲いかかり本性をむき出しにしました。
 しかし、警察権力への労働者民衆の怒りはすさまじかった。強行採決までの1週間で、全学連の吉田悠君を含め25人が不当逮捕されましたが、救援運動は広がり、全員の奪還をかちとった。
 坂野 強行採決直前の18日夜、全学連にシールズ防衛隊が文字通りの襲撃を行いました。
 作部 18日夕方、シールズは戦争法成立を前提に「落選運動」を言い出しました。同時に、国会前の闘いが非和解的激突に発展する中でシールズ防衛隊は全学連への襲撃に踏み切りました。同学会のぼりは真っ二つに破られ、アルミポールは曲げられました。ストを訴える全学連への憎悪です。
 坂野 「国家権力と闘えるか」「キャンパスで闘うか」が党派闘争の最大の焦点ですね。
 石田 「戦後日本をどう見るか」でも彼らの反動的立場は明らかです。「戦後日本は平和だった」という彼らの綱領には労働者階級の闘いの蓄積はまったくないし、日米安保を全面肯定し「戦争絶対反対」を貫けない中身です。
 坂野 彼らの「日常守れ」は「資本主義守れ」と同じだよね。
 赤嶺 シールズ防衛隊の暴力は、全学連だけでなく、戦争と闘う労働者全体に向けられたものです。「日常を守りたい」と「キャンパスで闘わない」は一体です。しかし、多くの学生は授業をぶっ飛ばして国会前に結集しました。
 坂野 7月15日の衆院特別委採決強行時には「国会中継を見て居ても立ってもいられず国会前に来た」という学生が、「授業を受けている場合ではない!」と発言しました。「時間が空いた時だけ国会前に来てください」というあり方はダメだと思いました。
  職場・キャンパスで労働運動と学生運動を爆発させ、決着をつけよう。問われているのは僕らであり、300万学生の選択肢にならなければなりません。

民主労総ゼネストと連帯

共産党は戦争推進

 坂野 日本共産党は、戦争法成立直後の9月19日に「国民連合政府」構想を打ち出しました。
 作部 「安保廃棄の方針は凍結」「急迫不正の主権侵害(=有事)には日米安保条約第5条に基づいて日米が共同対処する」ことが核心ですよね。本当に許しがたい! 安倍と何が違うのか!
 坂野 米韓連合軍の「作戦計画5015」では、「北朝鮮への先制攻撃をやる」と言っています。日本も「自衛のための戦争」という口実で朝鮮侵略戦争に突き進む態勢がつくられている中、「共産党は完全に戦争推進勢力になった」と断言すべきです。
 赤嶺 「戦争反対」のポーズも投げ捨て、政権入りして「有事」には沖縄の米軍基地を使って戦争をやる宣言です。志位委員長は「オール沖縄」を根拠に「自民党とも一緒にやれる」と言っていますが、「オール沖縄」の陰で起きていることは、石垣島への5千人規模の自衛隊配備(ミサイル部隊や射撃場)の容認です。
 「現実の戦争」と「基地」を切り離し、沖縄の怒りを解体して「基地負担軽減、基地の全国化(=本土移転要求)」へと歪めています。共産党が沖縄の怒りを利用して戦争を推進していることは許せません。「すべての基地を今すぐなくせ!」以外にありません。
 石田 パリ事件直後の11月15日付『赤旗』では、帝国主義のイラク・シリア空爆には一言の批判もなく「テロ弾劾」を叫び、「国際社会が一致してテロ根絶を」「オバマ米大統領も批判しています」とあります。つまり、米帝オバマと一体で「テロリストを壊滅せよ」という立場であり、朝鮮有事には米軍と共同参戦して北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)政権を打倒するという立場です。
 森田 誰が戦争を止めるのかをはっきりさせたい。共産党は「帝国主義の軍事力が戦争を抑止する」という自民党と同じイデオロギーであり、全学連は「労働者階級の国際的団結が戦争を止める」という立場で闘います。

韓国の闘いに学び

 坂野 「労働改悪阻止! 歴史教科書国定化撤回! パククネ打倒!」を掲げて韓国・ソウルで闘われた11月14日の民衆総決起には、動労千葉訪韓団として全学連も参加し、大きなものをつかみ取りました。
 赤嶺 前日のパリ事件で「イスラム国」(IS)の反労働者性が明らかになる中、「帝国主義の侵略戦争とこう闘うんだ」と示した闘いでした。指名手配されている民主労総ハンサンギュン委員長が集会場に登場し、「今の権力は労働者の権力ではない。労働者民衆のための世界は私たちがつくる」「ソウル市内を労働者の街にしよう」と訴え、本当に「労働者の街」にしました。
 警察権力とバチバチやりあい、機動隊のバスにステッカーを張ってスプレーをかけ、ぶち壊して進む高揚感はすごかった。何より労働組合の組織性を感じました。日常的な組合の団結がある中で、結集した労働者が意識的に闘いをつくる。一つの「革命」を見ている感じでした。
 森田 1980年の光州蜂起や87年労働者大闘争など、軍事独裁政権と激突し打倒していった労働者民衆の闘いの歴史が誇りであるからこそ、あれだけ大きな闘いがやれるんだなと感じました。


 斎藤 労働組合の現場の団結に基づいた、組織された闘いが重要ですね。日本階級闘争に必要なのはこの「力」です。民主労総から徹底的に学んで闘い、次の国会闘争では全学連が主催で今度こそ国会に突入するということです。
 作部 ハンサンギュン委員長の「一人で凄絶(せいぜつ)に闘う覚悟ではなく、一緒に闘えば勝利し、不正義の政権もすげ替えることができる自信を持とう」という発言に感動しました。京大ストの地平の上に、そこから全学スト―ゼネストをつくり上げる過程では、もっとキャンパスの現実に食い込んで縦横無尽にオルグする関係をつくらないといけない、と突きつけられました。
 11・1労働者集会には5700人が集まったけれど、ハンサンギュン委員長の決意を僕らがもっと受け止めるという意味で、現状にとどまってはいけません。日本で「民衆総決起」をやる場合、この5700人が核となる。11月集会を1万人―10万人規模で組織する中に、日本でゼネストを実現する軸があります。
 坂野 12月10日にはハンサンギュン委員長が不当逮捕され、18日にはパククネ政権が委員長に騒擾(そうじょう)罪を適用しました。パククネ政権は倒壊寸前であり、朝鮮半島は「革命前夜」情勢です。民主労総は年末年始の波状的ゼネストと大集会・デモを闘っています。12月16日には全学連もゼネスト連帯の韓国大使館抗議行動と渋谷デモに立ちました。
 こうした中で、全学連が国家権力の治安弾圧と闘い、法大闘争10年の地平を引き継いで勝利してきたことは、国際階級闘争の最先端の攻防でした。昨年10月の全学連への「監禁致傷」デッチあげ弾圧粉砕の意義を聞かせてください。

デッチあげを粉砕

 石田 発端は、公安警察が元福島大生の樋口を使って、全学連運動へのスパイ活動をさせていたことです。これを私たちが暴いた5カ月前の出来事を、「監禁致傷」事件にデッチあげて東北大生ら4人を狙い撃ちした弾圧でした。


 その本質は、安保国会決戦の高揚を受け、全学連が秋の京大・東北大ストを決断する中、それに恐怖した国家権力が全学連運動を壊滅するためにしかけた弾圧です。スパイや治安弾圧で戦争反対勢力を解体するということです。戦前の共産党の敗北・壊滅の例を引くまでもなく、戦争反対を真に貫く上で避けられない課題です。
 だからこそ、「絶対に粉砕する!」と決意して完全黙秘・非転向で闘い、勝利しました。
 坂野 労働者・学生を分断し、裏切り者をつくって国家権力の手先にすることが戦争動員・戦争協力の実態です。ここに資本主義・新自由主義の腐敗が凝縮されているし、それでしか支配できないブルジョアジーの弱さもある。東京地裁前での情宣では、国家権力のスパイ化攻撃と不当逮捕へのストレートな怒りが寄せられました。
 作部 権力の総力をあげた弾圧を団結の拡大ではね返したことが、法大闘争10年の地平に続いて「どんな弾圧にも勝てる」という確信を生み出しました。この勝利が京大ストを決断する大きな契機になりました。

参院選決戦で改憲阻止を

世界に届く闘いを

 坂野 今年の闘いに話を進めます。11・13パリ事件で世界史は転換しました。背景には一つにはイラク・シリア空爆がありますが、もう一つは、今の社会で抑圧され痛めつけられている青年の怒りの噴出という要素もあります。パリの労働者階級は戒厳体制を打ち破り、デモやストライキに立ち上がっています。現在の情勢をどう見ていますか?
 作部 韓国やフランス、トルコを始め、世界史の前面に労働者階級の闘いが登場しています。戦争を進める自国政府を倒し、帝国主義・スターリン主義を打倒する世界革命へ発展する闘いです。
 赤嶺 「求人票の7割が非正規」という沖縄社会の中で、戦争・基地への怒りはあるが声を上げられない現実もあります。この支配を打ち破る展望が11月労働者集会にあります。こういう労働者の闘い、労働者階級とともに闘う党が求められています。
  パリ事件直後に「米仏ロのシリア爆撃弾劾!」と訴える『前進』を使って大学・街頭で広く情宣活動を展開しましたが、すごい反応でした。「なぜ戦争やテロが起きるのか?」をみな真剣に考えています。「戦争を止める団結をどうつくるのか?」という問いに対し、2003年の動労千葉のイラク侵略戦争反対ストライキと「戦争協力拒否宣言」から国際連帯闘争が始まったことが示すように、現場の闘いで労働者を信頼することが出発点です。


 2016年は「安倍打倒・改憲阻止・朝鮮侵略戦争阻止」の大決戦です。青年・学生の怒りと現実に、僕らがもっと肉薄しよう。自らが切り開いた闘いの「質」を「量」に転化しよう。
 坂野 今年は、日本階級闘争が世界の闘いの中心にすわります。5月の伊勢志摩サミットでは、世界中で強盗戦争をやっている帝国主義の頭目どもが一堂に会する。街頭での実力闘争とキャンパスでの反戦ストを一体で打ち抜き、世界の労働者・学生に届く闘いをやろう。「世界最大の戦争放火者」である安倍は打倒以外にない。
 7月参院選は、改憲をめぐる大決戦です。戦争法を通したけど、安倍は追い詰められています。世界大恐慌の深まりの中、「アベノミクス」は崩壊しています。「国民の生命と財産を守るため」に「集団的自衛権や安保関連法が必要だ」とうそぶいた安倍は、公的年金積立金を株価維持のために注ぎ込み、昨年7〜9月期には約8兆円の損失を出している。「お前が人民の生命と財産を破壊しているじゃないか!」という怒りが渦巻いています。「生きさせろ!」の反乱の先頭に立とう。
  参院選では鈴木たつおさん(法大弾圧裁判弁護団長)を押し立てて闘い、青年・学生の怒りとつながることが課題です。首都・東京がその戦場です。動労総連合を東京に建設してJR青年労働者を獲得する闘いとひとつになって、参院選へ法大生を先頭に首都圏学生を丸ごと組織したい。JRと法大の青年・学生を階級的労働運動と学生運動に組織化し、東京に闘う拠点をつくり出すことが勝利の原動力になると確信します。
 赤嶺 翁長・沖縄県知事の辺野古新基地建設「埋め立て承認取り消し」に対し、国は代執行に向けた訴訟に出てきましたが、現地では裁判の枠組みに収まらない怒りが爆発しています。これに応え、沖縄の大学キャンパスからもストを復権させます。5月沖縄現地闘争では「ストで闘う沖大自治会」として登場します。
 坂野 5周年の「3・11福島」をめぐっては、小児甲状腺がんが原発事故の影響で増加していることは明らかなのに、政府と県当局は「健康被害はない。放射能とは関係ない」と真実を隠蔽(いんぺい)し、帰還と被曝強制が進められています。これと一体で関西電力高浜原発(福井県)、四国電力伊方原発(愛媛県)の再稼働をめぐる攻防に入り、核武装問題がさらに焦点化します。3・11福島の闘いと動労水戸の被曝労働拒否闘争はいよいよ決定的です。

法大自治会再建へ

 斎藤 今年の闘いの突破口を開くものとして、1月20日に法大デモを呼びかけます。改憲絶対阻止の闘いを首都圏で爆発させる号砲です。文化連盟の団結を強化・拡大し、法大に再び学生自治会を打ち立てるために「生き方をかけた闘い」を真剣につくり上げる。僕らの飛躍が求められています。
 06年3・14弾圧以来ちょうど10年。「126人の逮捕―34人の起訴―13人の重処分」を団結の力ではね返してきた法大闘争の爆発を全国学生運動の課題にします。文化連盟委員長・武田雄飛丸君の無期停学処分撤回を焦点に、全国的な闘いをつくり上げたい。
  討論しているある学生は、弾圧が激しい中で闘い続けてきた法大闘争への絶大な信頼を語っていました。法大闘争の大激突の中で、「学生の可能性を信頼できない」という潮流が生まれ、運動にも分岐が生まれました。全学連運動は青年・学生の怒りに肉薄し、「必ず決起する存在だ」という学生観を貫いてきたからこそ、誇り高く闘い抜いてきました。
 作部 京大ストを今度は全学スト、さらに全国大学ゼネストに発展させるため、全学連と各大学自治会を一体的に建設し拡大します。スト以降、学生の実力行動への欲求が高まっています。闘う京大生との討論を積み重ね、全学を代表して行動する部隊として同学会をつくり上げ、新たな執行部を生み出し、その力で参院選を始めとする政治闘争に総決起します。そして、改憲攻撃をストライキで迎え撃ちます。
 石田 大学当局の唱える「グローバル」とはまったく違う意味ですが、僕らは「グローバルなリーダー」になろう。世界を変える闘いをやり抜くことで、全学連運動に新たな仲間を獲得できる。東北大を皮切りに全国の大学で反戦ストを切り開こう。
 森田 広大経営協議会に日本最大の軍需企業である三菱重工が入っていますが、世界戦争・核戦争の切迫情勢の中で広大闘争の位置が大きくなっています。武器輸出・空爆・核を容認する広大当局の犯罪性は明らかです。大独占資本と広大当局をストで打倒する。
 作部 学生は闘いに立ち上がる中で必ず労働者階級に獲得されます。「大学改革」は戦争動員攻撃であることはもちろんですが、賃下げ・非正規職化、年俸制、教授会自治解体としてすべての大学構成員への攻撃でもあります。学生が先頭で闘い、教職員や学内清掃労働者、病院労働者をも糾合する闘いをつくりたい。
 斎藤 「戦争」という問題ですべてが一体になってきました。「大学問題も戦争と一体だ」と誰もが認識する段階に入りました。三里塚闘争50年のような、国策に抗して「農地死守・実力闘争」を貫き、日常そのものを実力闘争とする闘いが必要です。こういう質の闘いをすべてのキャンパス・職場で実践することと一体で、市東孝雄さんの農地を死守しよう。
 坂野 今年は、無実で獄中41年の星野文昭さんを奪還する年にしよう。全学連は星野奪還闘争を全力で闘おう。
 斎藤 あらためて、すべての学友に訴えます。全学連に結集して全国の大学で反戦ストをともに切り開き、安倍政権を倒そう! 全学連中央執行委員会はその先頭で団結を固めて闘います!

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