星野面会・手紙国賠控訴審判決を弾劾する 弁護人の面会制限は違憲だ 星野再審弁護団 西村正治弁護士の訴え

週刊『前進』06頁(2711号06面01)(2015/12/21)


星野面会・手紙国賠控訴審判決を弾劾する
 弁護人の面会制限は違憲だ
 星野再審弁護団 西村正治弁護士の訴え


 11月26日、星野文昭さんと星野再審弁護団は、面会・手紙国家賠償請求訴訟での東京高裁第9民事部・奥田正昭裁判長の控訴棄却の反動判決(9月16日)を弾劾し、怒りを込めて「上告理由書」を最高裁に提出した。
 奥田判決は、9・6徳島刑務所デモを頂点に歴史的な大前進をかちとった星野闘争を圧殺しようとする許しがたい攻撃である。徳島刑務所による星野文昭さんの獄中処遇を2類から3類に降格する処分と一体でかけられた奥田判決を、最高裁で破棄させる決意である。

一審判決を破棄した不当な判決

 面会・手紙国賠訴訟は、11年11月14日、星野文昭さんに対する徳島刑務所の次の三つの不当な処分が違法であると訴えたものである。
 ①10年9月17日、星野文昭さんと暁子さんの結婚記念日の面会を、再審弁護人との面会を制限回数に数えて、回数オーバーを理由に不許可にした処分、②同年5月以降の友人・支援者7人との面会を不許可にした処分、③暁子さんが文昭さんに送った手紙9通を一部抹消した処分である。
 14年7月の東京地裁の一審判決は、徳島刑務所が7人の友人面会を不許可にしたことを違法とは認めない不当なものであった。
 しかし、暁子さんの面会を不許可にした処分と、暁子さんの手紙2通の中の、再審で無罪判決をかちとった「布川事件」被告・桜井昌司さんに関する記述を抹消した処分を違法と断定した。
 暁子さんの面会を不許可にしたことついては、①再審請求人と弁護人は看守の立ち会いなしで面会する秘密交通権を有している、②両者は面会の回数を制限されないで面会をする利益を保障されるとして、弁護人との面会を制限回数に入れたことを違法とした上で結論づけたものである。

面会回数制限は再審闘争の妨害

 これに対し、法務省は控訴を申し立て、再審弁護人の面会の回数制限を行うことに強くこだわった。控訴審で争うだけでなく、面会回数の制限を強めるよう全国の刑務所に通達を出して既成事実を強めようとしてきた。
 実際に今年5月に徳島刑務所は、弁護人の接見を回数に数えて、回数制限を超えていることを口実に暁子さんの面会を再度、不許可にした。
 この間、再審弁護人の面会回数を制限する攻撃が法務省との間で一つの焦点となって激しく闘われてきた。そのせめぎ合いの中で、奥田は、控訴審判決期日を当初は今年5月20日と指定していたにもかかわらず、有無を言わさず取り消し、弁論再開を決定した。前担当裁判官がすでに完成していた判決を書き直すことを事実上宣言したに等しい、異様なやり方であった。
 奥田判決は、弁護人の面会は制限できないという判例として弁護団が提出した最高裁判決(13年12月)について、認めたのは秘密交通権だけで回数制限なしの面会までは認めていないと強弁し、被告・国に5万円の賠償支払いを命じた部分を取り消した。絶対に容認できない逆転反動判決だ。
 奥田は、その理由の前半部分で「再審弁護人の弁護権は憲法第34条に基づき認められる」と言いながら、後半部分では「しかしながら」「面会の回数については面会に関する制限に服する」として、前半の理念を理由もなくひっくり返しているのである。

星野闘争つぶし狙い奥田を配属

 奥田は、裁判所と警視庁公安部が結託して星野さんの無実を示す証拠を隠滅した国家犯罪を弾劾するビデオ国賠裁判でも5月13日、星野さんの証拠へのアクセス権を認めた一審判決(14年9月)を取り消す反動判決を出している。
 第2次再審闘争と一体で二つの国賠闘争が闘われてきたが、時期を同じくして、動労千葉は鉄建公団訴訟控訴審判決で不当労働行為を認定させた(13年9月25日)。国鉄分割・民営化が国鉄幹部と政府一体の大陰謀だったことが暴かれたのだ。
 これに追い詰められた安倍政権は、最高裁長官に司法改革を推進してきた寺田逸郎を据えた(14年4月)。そして、寺田は、二つの国賠訴訟が一審でかちとった地平を破壊するために、控訴審が始まる直前の14年11月に奥田を東京高裁に送り込んだのである。そして、前述のとおり、控訴審判決期日が指定される直前の3月に突然、裁判長を極反動の法務省の手先というべき奥田に交代させたのである。

最高裁で奥田の反動判決破棄へ

 「上告理由書」は、奥田判決が再審請求審での弁護人の権利を制限することを弾劾している(憲法34条違反)。さらに、面会不許可が星野さんだけではなく、面会を求めた人たちの人権も否定するものであることを明らかにしている(憲法13条違反)。
 さらに、12年2月5日に行われた1回目の徳島刑務所包囲デモの〝首謀者〟であるという理由で金山克巳さんの面会を不許可にしたことの容認は、思想信条の自由を踏みにじり、請願権を否定するものであることを明らかにした(憲法21条、16条違反)。
 星野闘争はこの1年、安保国会闘争、国鉄闘争とひとつになって決定的な飛躍をかちとってきた。全国57カ所で絵画展が開かれ、総計1万人が星野さんの絵と闘いに触れて新たな決起を開始している。610人が結集した11・29星野全国集会には、再審弁護団も全員参加し、それぞれが再審闘争の現段階を報告し闘う決意を述べた。そして、全国から集まった仲間とともに東京高検・東京高裁に対する戦闘的デモに立った。
 この全国集会で16年の5大闘争方針が打ち出された。『星野新聞』の発行、2・19徳島刑務所行動、再審闘争、星野救援会の全国での建設、そして、再審弁護団の鈴木達夫弁護士を押し立てた7月参院選である。
 弁護団は、全国の仲間とともに星野さんの再審・無罪をかちとるために、面会・手紙国賠の最高裁での弁論をかちとり、奥田の極悪判決を破棄させる。団結して必ず星野文昭さんを取り戻そう。
このエントリーをはてなブックマークに追加