市東さん耕作権裁判 NAAの違憲違法暴く 〝農地法の理念に背く暴挙だ〟

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週刊『前進』06頁(2711号04面02)(2015/12/21)


市東さん耕作権裁判
 NAAの違憲違法暴く
 〝農地法の理念に背く暴挙だ〟

(写真 市東孝雄さんが報告集会で耕作権裁判勝利の決意表す。右は葉山岳夫弁護士【12月14日 千葉市】)

 12月14日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で、市東孝雄さん耕作権裁判の弁論が開かれた。市東さんを先頭に三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、全国から支援に駆けつけた労農学市民は、農地強奪攻撃への怒りを一層かきたてて闘った。
 前回9月の弁論で弁護団は、原告の空港会社(NAA)=空港公団の違法・脱法を以下の5点にわたって明らかにした。①耕作者である市東東市さん(孝雄さんの父・故人)に無断で南台農地の底地を買収し、転用計画もなく15年も保有し続けたことは、不在地主による小作地所有を禁じた農地法第6条に違反。②財産権を保障した憲法第29条に違反。③対象地の位置特定の誤り。④時効取得成立。⑤農地法第3条違反。
 今回は農地法の理念を一層掘り下げる観点で、⑤の続きから陳述が行われた。もともと農地法第3条は、地主が農地を小作人以外の者に売ることを禁じていた。小作地を解消し自作農にすることが目指されていた。地主が無断で入れ替わり、小作人が不安定な地位に置かれるようなことを、農地法第3条は想定していない。小作人の同意のない耕作地売買は無効だ。
 ⑥この農地取得の一連の手続きは公用収用、すなわち「公共の利益となる特定事業のため、正当な補償のもとに、私人の財産権を強制的に取得する」ことだ。補償のない収用は成り立たない。NAAは賃借権がある市東さんを完全に無視して地主と契約した。これはとんでもない違憲違法だ。
 ⑦農地法施行規則第7条11号は、成田空港にかかわる農地転用のための土地買収に限って「県知事許可必要なし」としている。こんな「例外規定」は、農地法の理念を踏みにじる憲法違反だ。
 ⑧市東さんの南台の耕作地には告示区域外、つまり空港の敷地にかからない部分が3274平方㍍、全体の4分の1も存在する。NAAは敷地内外の土地が「一体的に運用される」から知事の許可は不要と言うが、そんなデタラメは通じない。
 以上すべてから、「知事の許可はいらない。よって耕作者の同意も必要ない」などという主張が成り立つ余地は一切ない。NAAの土地取得は違法、無効であり、土地を明け渡しを求める資格はない!
 1時間にわたる陳述が締めくくられると、傍聴席から感動の大きな拍手が湧いた。NAAの代理人弁護士はおのれの罪状を全面的に暴かれ、不安な表情を隠せない。
 次回期日を2月29日として閉廷したあと、千葉県弁護士会館で報告集会が開かれた。伊藤信晴さんが司会を務めた。
 市東さんがあいさつに立った。「裁判が進むほど、空港側の違憲違法が暴かれる。5万人署名の年内1万筆達成まであと一息。力を蓄えて来年も一層がんばりましょう」
 続いて葉山岳夫弁護士が弁論を振り返り、「次回以降もさらにNAAをギリギリと追いつめる」と勝利的前進を確認し、弁護団全員が勝利への展望と決意を述べた。
 動労千葉、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、市東さんの農地を守る沖縄の会、全国農民会議が次々と連帯発言を行った。動労千葉執行委員の中村仁さんは、労農連帯を強化し外注化阻止の闘いを進める決意を表した。
 全国農民会議共同代表の小川浩さんは、安倍農政を批判し、「市東さんの農地の取り上げとの闘いは日本農民自身の闘いだ」と訴えた。
 最後に萩原富夫さんが「反対同盟は全国に市東さんの農地を守る闘いを押し広げ、沖縄と連帯してこの1年間力強く前進した。来年は50周年。第3滑走路粉砕へ向けさらに闘おう」と呼びかけ、奮闘をねぎらった。
 集会終了後、反対同盟と支援連は千葉市街での5万人署名情宣活動に立ち、年内1万筆達成へ向け全力で闘った。
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