知る・考える用語解説 「対テロ戦争」/共謀罪
週刊『前進』06頁(2709号05面04)(2015/12/07)
知る・考える用語解説
「対テロ戦争」/共謀罪
「対テロ戦争」-本質は帝国主義の侵略戦争
2001年9・11事件(アメリカでの同時多発ゲリラ事件)を契機に、アメリカ帝国主義が主導して開始した戦争。アフガニスタン、イラクやアフリカ諸国に次々と軍隊を送り、都市を爆撃し、多数の労働者人民を虐殺してきた。国家間戦争の形をとらず、宣戦布告もない。「対テロ戦争」の呼び名は戦争の不正義性を隠すものだ。その階級的本質は、中東および世界の支配をめぐる、また資源・市場・勢力圏の再分割をかけた帝国主義の強盗戦争である。この点で「匪賊(ひぞく)の討伐」などの名目で行われた20世紀の帝国主義の侵略戦争と何ひとつ異なるものではない。
帝国主義者が「対テロ戦争」の攻撃対象とするものは、核心的には帝国主義の侵略と抑圧、搾取に怒りを燃やして立ち上がる労働者階級と被抑圧民族・人民である。だから国内の労働運動や大衆運動も「対テロ戦争」の攻撃の的とされる。この中で武装勢力ISの無差別襲撃は、労働者階級の国際連帯と階級的労働運動を破壊し、帝国主義を利するものだ。
「対テロ戦争」の根底には帝国主義の階級支配の崩壊と、プロレタリア革命への恐怖がある。新自由主義的帝国主義の絶望的な危機がそこにある。それゆえ労働者階級のゼネストと国際連帯、世界革命の闘いこそ、この戦争をとめる力だ。
共謀罪-団結破壊とデッチあげ狙う
「事件がなくても、話し合っただけで罪にされる」悪法として、03年の国会初提出以降、3度の廃案に追い込まれた法案。安倍政権はテロ対策を口実に、侵略戦争のための治安弾圧法体制の要として、4度目の提出を策動している。実行行為がなくとも、2人以上が「共謀した」と見なせば犯罪が成立するという条項を、組織的犯罪処罰法に加える。これだけで、600以上もの罪種に対応して共謀罪が新設されるという。会話・通信記録や供述などがあれば処罰できるため、盗聴の拡大や司法取引(取り調べで仲間の罪を証言すれば減刑される)を可能にする「新捜査手法」の導入と一体で策動されている。デッチあげ弾圧の乱発と団結破壊が最大の狙いだ。
例えば労働組合員を公務執行妨害で逮捕し、取り調べで司法取引を持ちかける。罪を軽くする代わりに、「団体交渉では、解雇撤回まで社長を逃がさないぞ」という執行部発言があったと供述させ、執行部全員を「組織的強要の共謀罪」で逮捕する。このような分断・裏切りによる組織解体攻撃が可能となる。
革命党と階級的労働組合の解体を核心として、反戦運動や労働運動をたたきつぶすのが目的だ。治安弾圧には完全黙秘の闘いと団結の拡大で勝てる。労働組合の決起を軸に共謀罪新設を阻止しよう。