事故続発させるJRを弾劾し巨大駅の丸ごと外注化阻止を 動労総連合・東京を建設し闘おう
事故続発させるJRを弾劾し巨大駅の丸ごと外注化阻止を
動労総連合・東京を建設し闘おう
事故への対応で疲労は極限
JRの重大事故多発が大きな社会問題になっている。NHKが10月1日の「クローズアップ現代」でこの問題を取り上げ、11・28付週刊東洋経済は「ここがおかしい!日本の鉄道」の特集を組んだ。同誌は特に、JR東日本が4月12日に起こした山手線・神田―秋葉原駅間の電化柱倒壊事故や、4月29日の東北新幹線・郡山駅構内での架線切断事故、8月4日の根岸線・横浜―桜木町駅間でのエアセクション内停車による架線切断事故などを取り上げて、「利用者の8割が不満」「事故は予防できたはず」「未必の故意と言われても弁明できない」と指弾している。
さらに、11月30日に山手線に投入された新型車両E235系は、システムトラブルによりわずか1日で運行を中止した。これらは、直接の原因がJRにある、言い逃れのできない重大事故だ。
首都圏のJRの駅では、遅延や運休が毎日起き、駅員は乗客から怒声を浴びせかけられている。3月ダイヤ改定と上野東京ライン開通が事故多発に拍車をかけた。駅の労働者は事故対応で超勤や呼び出しも増え、へとへとになりながら、かろうじて今の安全を支えている。
連続昼夜勤務が命を奪った
国土交通省が発表した「鉄軌道の安全に関する情報」でも、この十数年、JR全社が列車走行距離100万㌔当たり平均で私鉄大手15社の約10倍の輸送障害事故を起こしていることが示されている。輸送障害とは運休または30分以上の遅れが出た事故のことだ。13年度の統計では、JR東日本の輸送障害は私鉄の9・9倍にもなっている。
こうした現実の中で、保線など施設の現場では、孫請け労働者の命が奪われ続けている。
10月26日早朝、常磐線の取手―藤代間でレール交換を夜間作業で行った下請け労働者2人が、作業を終えて事務所に帰る途中、交通事故で亡くなるという痛ましい事故が起きた。関係者の事故前1週間の勤務状況が公表されているが(表)、こんな勤務があり得るのか!ということだ。昼夜連続勤務を5日続けた上、さらに2日の徹夜作業が重なって事故に至ったのだ。昨年7月には山梨県の大月でも、夜間作業を終えて帰る途中に2人が交通事故に遭い、1人が亡くなっている。工事費削減で過酷な勤務を強制したJRが、労働者の命を奪ったのだ。
JRの施設部長名で出された「事故を防止するための留意点」は、「運転者に対しては作業内容の配慮を行う」の一言だけだ。こんな過酷な勤務を強制しておいて、なんたる言いぐさか。
JR東日本は12年10月に策定した「グループ経営構想Ⅴ」の「重点取り組みを更新する」として、今年10月28日に出した文書で、「安全・安定輸送のレベルアップ」を叫び出した。しかし、鉄道業務すべての外注化、駅の巨大開発などは強行するとしている。効率化の名のもとに、労働者と乗客の命を奪い続けようとしているのだ。
今年3月のダイ改でJR東日本は、首都圏の巨大駅の全駅を「運転取扱駅」から「準運転取扱駅」に格下げし、出発指示合図を廃止した。特急列車の発車や接続を取る必要がある列車についても、駅の権限をなくし、指令の指示だけに従う方式に切り替えたのだ。駅の外注化は「運転取扱は除く」が大原則だったが、外注化を強行するために「運転取扱駅」ではなくしたのだ。
このもとで計画されていたのが秋葉原を突破口とした東京、上野、新宿など巨大駅の丸ごと外注化・子会社化だ。受け皿は悪名高いJESS(JR東日本ステーションサービス)だ。秋葉原駅の外注化は、現場にはうわさとして流れたが、正式提案はされず頓挫(とんざ)している。だが、JRはあくまで外注化しようと狙っている。
ストを闘える労組が必要だ
保線など施設の外注化は、1次下請けのパートナー会社のもとに孫請け、ひ孫請けが何層にも重なる重層的支配構造の上に成り立っている。これによる工事費の削減、労働条件の劣悪化、非正規職化が事故の温床となっている。下請けの労働者5人が列車にはねられ死亡した99年の山手貨物線事故以降、JRは事故の責任を逃れるため「JR社員は現場に行くな」と指示してきた。昨年2月に川崎駅構内で回送電車と工事用車両が激突する事故が起きた後は「JR社員が工事に立ち会え」と指示したが、それでも事故が起きたらその責任は1次下請けにあるという態度を固守し続けている。
検修では、技術のない子会社にJR社員を出向させて業務を回してきた。これ自体が偽装請負そのものだ。外注化から3年を経て、JRは出向に出された社員のほとんどに出向延長を発令した。事実上の転籍の強要だ。外注化が原因の事故も多発している。
動労千葉・動労水戸―動労総連合は外注化阻止・非正規職撤廃、「仕事と仲間をJRに戻せ」を掲げて闘い、JRと下請けの労働者が団結してJRを追い詰めている。
JR東労組も国労本部も、駅の全面外注化・子会社化に踏み込んできたJRに従い、現場労働者の怒りの声を押しつぶしているだけだ。
必要なのは資本と闘い、ストライキで資本に安全を強制する労働組合だ。動労総連合はJRと子会社、正規と非正規の労働者がひとつの組合に団結してストライキに立ち上がっている。これこそが今、青年が求めている労働組合だ。ともに声を上げ、東京に動労総連合を建設しよう。
(佐賀秀也)