JR関連会社の労働者組織し外注化・非正規化と闘う春闘へ 清掃職場からの決起つくろう

週刊『前進』06頁(2709号02面02)(2015/12/07)


JR関連会社の労働者組織し外注化・非正規化と闘う春闘へ
 清掃職場からの決起つくろう


 16春闘に至る過程は、労働者を貧困に突き落とす外注化・非正規職化との決戦になる。動労千葉は、外注化と15年にわたり闘いぬき、外注先の千葉鉄道サービス(CTS)の労働者とひとつの労働組合に固く団結して、JRの攻撃に立ち向かう大きな地平を切り開いた。これは、JRの第2の分割・民営化攻撃を根本から打ち破る闘いだ。動労総連合の建設・拡大をさらに進め、清掃を始めとするJR関連会社の労働者を組織して16春闘へ闘いぬこう。

鉄道の清掃業務は列車の運行に欠かせない仕事

 鉄道関連で働く清掃労働者の規模と仕事内容はどのようなものか。
 JR東日本関連だけでも、東日本環境アクセス、JR東日本テクノハート(新幹線清掃)、JR東日本運輸サービス(車両基地内での清掃)、JRテクノサービス仙台、千葉・高崎・水戸・盛岡・秋田・新潟・長野の各鉄道サービスなど、JR東日本の支社ごとに清掃会社がある。最も労働者数が多いのが東日本環境アクセスで約3700人(今年4月1日現在)。各清掃会社の労働者数を合わせると、JR東日本関連だけでもざっと1万人もの労働者が清掃労働に従事している。けっして小さくない規模だ。
 その仕事内容は、鉄道車両や駅舎の衛生的環境の維持、トイレなどの汚水処理、水や備品の補給、座席の方向転換やヘッドカバーの交換、施設の維持・延命など鉄道運行にとって欠かせないものだ。
 特に都心部を通過する上野東京ラインや総武快速線、中央線などの乗客の多い路線では、車両の床や窓はホコリや泥、皮脂などでひどく汚れ、ごみ箱はあふれ返り、とてもそのまま営業運転には使えない。車両センターに次々と入区する車両やターミナル駅で短時間で折り返す車両に乗り込み、短時間で手際よく仕上げる清掃の仕事は簡単ではない。経験も体力も必要な重労働で、就業した当初はどの労働者も5〜10㌔やせるほどだ。

生きていけない超低賃金と短期雇用で分断支配

 にもかかわらず、その賃金を始めとする労働条件はあまりにも劣悪だ。
 千葉鉄道サービス(CTS)では、契約社員(1年契約)の基本給が13万7200円、これに加えて都市部(千葉市や習志野市など)では地域手当が1万円付く。合計すると14万7200円で、時給換算で920円になる。税金と社会保険料などを引くと手取り額は12万円程度だ。日勤だけでは、とてもまともに食べていくことはできない。木更津や銚子などは地域手当は3千円、地域手当がないエリアもあり、まさに最低賃金ぎりぎりの水準になる。パート採用の労働者は時給820円だ。
 高崎鉄道サービス(TTS)は、入社時は時給870円のパート(3カ月雇用)で、半年以上働くと事業所長推薦で契約社員7級(1年契約)になる。契約社員も7級(最下位)から1級まであり、級によって基本給も一時金も区別されている。
 動労神奈川の組合員が働く東日本環境アクセス小田原事業所は、40人中20人がパート労働者で、時給930円で働いている。パート労働者の雇用形態は3カ月雇用が一般的だ。
 どの清掃会社にも正社員への登用制度があるが、これがまた労働者を黙り込ませるための許しがたい支配の道具になっている。
 賃金があまりに低いため、誰もが正社員になりたい。昇給もしてほしいし、まともなボーナスもほしい。しかし正社員になれるのは本当にごくわずかな人数だ。
 話にならないほどの低賃金なのに、時間外に無給で小集団活動(QC活動)を行い、会社には絶対に文句を言わず、当該の事業所長の気に入られなけば、社員試験には受からない。動労千葉や動労総連合の主張に共感しても、社員になりたいからと二の足を踏んでしまう人も多い。超低賃金と超狭き門の社員登用制度がセットになって、労働者支配の道具として使われている。本当に許しがたい。
 こうしたJR関連の下請け会社では、経営陣や現場管理者のほとんどがJR東日本からの天下りだ。クロス1枚、モップ1本さえ持たず、清掃の仕事などしたこともないのに、年収は契約社員やパートの4〜5倍だ。仕事の勘所も分からないから、作業指示は常にとんちんかんだが、言うことだけは聞かせようとする。本当にどうしようもない連中だ。

非正規労働者の闘いと国鉄闘争の結合に展望が

 過去最大の利益を更新し続けているJR東日本は、本体であぶれた管理者の天下り先として下請け会社を使うとともに、その委託費をぎりぎりまで抑制して利益を積み増ししている。
 人として生きていくことができないほどの低賃金や、わずか3カ月契約で必要がなくなれば使い捨てられる雇用の実態は、JRが進める「第2の分割・民営化攻撃」の本質、その行き着く先をまざまざと示している。16春闘で、こうしたJR関連会社での闘いを組織することは、きわめて戦略的な位置にある。
 動労千葉は、「労働条件や職場環境がまったく違うJRとCTSの労働者がひとつの労働組合に団結して闘い抜くには、どのような運動、組織のあり方が必要なのか。闘いの中でつかみとっていくしかない未知数の課題」だが、「その努力こそが外注化を粉砕する力を生み出し動労千葉の未来をつくっていく」(今年6月の動労千葉定期委員会の議案書)と位置づけ、この数年、下請け会社の労働者の本格的な組織化に挑戦してきた。西日本、神奈川、高崎、新潟、福島でも、下請け会社の労働者が続々と動労総連合に結集している。
 1980年代から30年余にわたって闘いぬかれた国鉄闘争の偉大な地平、会社と労働者の力関係は、今も脈々とJRと関連職場に息づいている。JR関連の労働者は、その「空気」を吸いながら働いている。60歳で定年となりエルダー社員として再雇用された多くの国鉄採の労働者も、下請け会社に出向して一緒に働いている。
 車両清掃会社を始めとするJR関連会社で仲間を組織する闘いは、国鉄闘争と非正規職労働者が直接に結びつく最重要の接点だ。国鉄闘争の偉大な地平と2千万非正規職労働者とが結合し、非正規労働者の怒りを全面的に解き放つ闘いだ。
 検修・構内や駅業務の全面外注化を粉砕する闘いと固く結合し、清掃を始めとするJR関連会社の労働者を組織しよう。動労総連合を建設・拡大し、16春闘へ闘おう。
(沢井隆)
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