原発推進と核事故前提にした 「オフサイト検討会」許すな
原発推進と核事故前提にした
「オフサイト検討会」許すな
11月の労働者集会と訪韓闘争の画期的前進は、階級的労働運動と国際連帯こそが労働者階級人民の勝利の道であることをはっきりと示した。反原発闘争の勝利の展望も一切がここにある。そのなかで被曝労働拒否の闘いは、いよいよ全労働者の課題となってきた。
〝放射能は安心・安全〟とうそぶく山下俊一が座長
安倍政権は九州電力川内原発(鹿児島県)に続き、四国電力伊方原発(愛媛県)の再稼働を強行しようとしている。これに地元労働者住民の怒りの決起が爆発した。
動労水戸が切り開いた被曝労働拒否の闘いは、労働者人民の圧倒的支持を獲得しはじめ、9・13舞鶴闘争、11・8伊方原発の原子力総合防災訓練反対闘争と、自治体など全労働者に波及しつつある。この闘いは、原発事故「避難」訓練=被曝・被曝労働強制攻撃の凶悪な本質を暴くと同時に、労働組合を基礎とした団結の力で再稼働攻撃を根底から打ち破り、全原発廃炉の展望を引き寄せる正義の闘いだ。
これに戦々恐々としながら安倍政権は、「オフサイトの防災業務関係者の安全確保に関する検討会」を設置した(オフサイトとは原発敷地外のこと)。政府はこれを、原発を稼働し、放射能放出事故が起きた場合、原発敷地外で住民の避難業務などに動員する労働者の「安全」を確保するための会議と銘打っている。
しかし、その実態は「原子力防災」とは真逆の、原発事故を前提とし、被曝を住民のみならず自治体やバス・トラックの運輸労働者などに強制することを謀議する犯罪会議だ。福島の怒りに全面敵対し、原発事故・被曝強要の再犯を容認させ、労働者住民の反原発の意志と闘いの圧殺を狙う日帝支配階級のたくらみを打ち砕こう。
この検討会は、極悪の被曝隠蔽(いんぺい)の主犯・山下俊一が座長に就き、構成員に共犯者の広島大学副学長・神谷研二、ICRP(国際放射線防護委員会)委員の甲斐倫明(みちあき)などが名を連ねている。
3・11福島第一原発事故で大量の放射能が降り注いだ福島の住民に対し、山下らは何をしてきたのか。「安心して、安全だと思って活動しなさい」「子どもは外で遊んでも大丈夫」「放射能の影響はニコニコ笑っている人には来ません」などと大デマを垂れ流し、急を要する被曝防護・避難を執拗(しつよう)に妨害し被曝を強制して子どもたちの甲状腺がんやその他の病気の発症を著しく促進させてきた。「命よりも金(核武装)」を至上目的とするこのようなやつらが口にする「安全」などうそだ。
敷地内外も業種も問わず労働者動員し被曝を強制
内閣府は年内をめどに検討会の報告書を取りまとめると発表している。11月19日には第5回検討会が開かれ、原発敷地外で原発事故時に動員される労働者の作業の具体的内容が配布資料の「検討会報告書骨子(案)」で明らかになった(表)。
それによると、自衛隊や警察などを除き、官民労働者が行う敷地外緊急作業は、①緊急時モニタリング(放射線量計測)、②住民への広報、指示の伝達(避難通報など)、③避難誘導、交通整理、④避難者の搬送、物資の緊急輸送(バス・トラックなど使用)、⑤避難退域時検査、簡易除染(スクリーニング)、⑥避難状況などの確認、⑦医療措置、⑧道路啓開(道路応急修復)、インフラ復旧(電気など)が列挙されている。
これらすべてが、労働者にとっては被曝労働となるのだ。表中の「主な主体」を見れば明らかなように、国・自治体が大部分を占める。地元を中心とした多数の自治体労働者が放射線量計測や避難誘導、避難有無の確認、スクリーニングなどすべての緊急業務に動員され、放射能が猛威をふるう中で命を削る長時間の被曝労働を強いられる。
さらに民間の労働者が動員される。地元住民の大規模な搬送にバス関連労働者がかり出され、ピストン輸送を強要されるなかで被曝が累積されていく。物資の緊急輸送でトラックの労働者も動員の対象である。
地震(津波)と原発事故が複合する原発震災の場合、インフラ破壊が避けられない。陥没・土砂崩れなどによる道路の寸断は、バスや自家用車による住民移動、トラックによる緊急物資輸送を不可能にする。真っ先に道路管理の自治体労働者が道路状況確認に派遣され、道路啓開には自衛隊兵士とともに建設労働者が動員され、重機などを使った障害物除去や破損道路修復の突貫作業が要求されるのだ。そしてインフラ復旧には電力労働者なども動員される。
その他、医療労働者などがオフサイト業務の対象に含まれる。
事故時の環境について検討会報告書骨子(案)が「放射性プルームや、地表面等に沈着した放射性物質、ダスト等の影響による、内部被ばく、外部被ばく双方のリスクを考慮」と記載しているように、原発敷地外であろうと、そこに動員される労働者も被曝を覚悟しなければならないのだ。原発事故において、安倍政権の住民避難計画が避難妨害・住民切り捨て・被曝強制計画であると同時に、原子力防災業務なるものが敷地内外を問わず業種を問わず、労働者階級が被曝労働という形で被曝を強いられるものであることが明々白々となってきた。
被曝労働拒否の闘い進め反原発闘争の大前進を!
福島では敷地外の避難誘導などの被曝労働で累積被曝線量が1㍉シーベルトを超えた事例が多数あることは間違いない。オフサイト業務労働者の被曝線量限度について、報告書骨子(案)では「業務実施による追加的な被ばく線量管理」という抽象的表現で具体的数字の言及を避け、現行の年1㍉シーベルト以上の引き上げをちらつかせている。
日帝・安倍政権は従来の被曝限度枠を次々と取り払い、地元の全労働者を被曝させ、原発を何がなんでも推進しようとしている。だが、労働者の怒りがひとつになり、燃え上がることを死ぬほど恐れているのだ。この被曝労働強制攻撃を、全労働者の怒りを糾合し団結した力で打ち砕こう。動労水戸が切り開いた被曝労働拒否の闘いは、今や全労働者の決定的課題となった。原発労働者との連帯を一層強め、反原発闘争の大前進をかちとろう。国鉄決戦─動労総連合建設を基軸に安倍打倒をかちとる2016年決戦へ突進しよう。
(河東耕二)
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▼道路啓開 地震災害などで不通状態になった道路を緊急車両などが通れるように、最低限の処理を行って開通させること。啓開とは切り開くの意味で、軍事用語では機雷などの水中障害物を除いて艦艇が航行できるようにすることをいう。