「チーム学校」を粉砕しよう 民営化・外注化・総非正規化で教育も教育現場も破壊される
週刊『前進』06頁(2708号03面04)(2015/11/30)
「チーム学校」を粉砕しよう
民営化・外注化・総非正規化で教育も教育現場も破壊される
文部科学省が7月16日に発表した「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(中央教育審議会作業部会中間まとめ)」(以下「チーム学校」)は、新自由主義教育改革の集大成である。安倍政権の「教育再生」攻撃の破綻の上に、より破産的な施策で「学校のあり方」を変え、学校教育と教育現場を破壊する大攻撃だ。それは、日教組をつぶし朝鮮侵略戦争に動員していくものでもある。「チーム学校」に絶対反対で闘おう。学校事務職員の問題を中心に論じた本紙2699号に続き、今号ではその全体像について批判する。
安倍教育再生の破綻の上に
「チーム学校」は、教員のほかに「多様な専門性を持つ職員」を学校に配置するとともに、「校長がリーダーシップを発揮できるような体制の整備」「管理職の養成」「事務体制の強化」で「マネジメント体制の強化」を推進するという。これは教育労働者の共同性を破壊し、新たな学校管理支配体制の強化を狙う攻撃だ。この構想は1998年の中教審答申「特色ある学校づくり」から始まった。そこでは人事や予算、教育課程の編成に関する学校の裁量権の拡大など、学校運営組織の見直しが打ち出された。それは、資本の求める「グローバル人材」と安上がりな労働力を選別的に養成する「学校のあり方」への転換であり、教職員の分断と管理強化をもたらすものであった。
安倍政権の「教育再生実行会議」第5次提言(2014年7月)は、競争と選別の小中一貫教育などの「学制改革に応じた教師の免許、配置の在り方」として「特別免許制度や特別非常勤講師制度の活用や学校支援ボランティア」などの「多様な人材の登用」を打ち出した。今年5月の第7次提言では「教師と事務職の役割分担の見直し」「スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、部活動指導員、学校司書、ICT(情報通信技術)支援員等の配置を行うことにより、『チーム学校』を実現する」とまとめられた。
中教審は「チーム学校」が求められる背景として、「いじめや不登校」「貧困」など「子どもを取り巻く環境の複雑化・困難化」と、「OECD参加国中最長の勤務時間」とを挙げている。
しかし、これらはすべて新自由主義教育が生み出したものではないか。「チーム学校」は、その破綻の上塗りで教育活動をバラバラに分業化し、校長の権限強化と「チームとしての管理職」増強で学校現場を上意下達のピラミッド型にする。
学校の主体である子どもと教育労働者の共同性を根底から解体するものであり、今まで以上の破綻は必至だ。
重大なのは教育労働者を総非正規職化する大攻撃であるということだ。
規制緩和による「総額裁量制」(国庫負担金総額の範囲内で都道府県が賃金と教職員数を決定できる)や「定数くずし」(常勤1人分を非常勤数人分に替えて採用する)で、公立小・中学校の非正規教員は今や16%(13年度)を超える。給食や用務の委託化・派遣、学校事務の共同実施などで自治体によっては学校現場の40%以上が非正規職化されている。バイトの掛け持ちで年収130万円――。「子どもの未来を育む」教育現場で青年教育労働者の未来が奪われているのだ。
専門スタッフは非正規雇用
「チーム学校」は、教員以外に9種の専門スタッフに言及している。しかし雇用については、スクールカウンセラーとソーシャルワーカーだけは「将来的に正規職員」と検討はするが、ほかは身分保障について検討すらされていない。財務省は10月、少子化を理由に24年度までに約3万7千人の小中学校教員を減らすとした。教員を削減し、非正規の専門スタッフで学校を運営する、これが「チーム学校」だ。さらに「チーム学校」は教育の民営化・外注化への導水路だ。すでに中学の部活で「指導の外注化」が進んでいる。杉並区は「部活活性化事業」を開始し、スポーツクラブなどの事業者などが区内11校(今年度)で部活指導を行っている。
体制内労組幹部が闘いを放棄した中で、非正規教育労働者が各地で闘っている。非正規職撤廃の闘いはすべての教育労働者の課題だ。正規・非正規の分断を越え闘おう!
職場の団結で打ち破ろう!
「チーム学校」は必ず打ち破れる。「チーム学校」は「管理職の養成」を掲げるが、すでに管理職は危機的状況だ。制度化されている「副校長」「主幹教諭」「指導教諭」は全国の小中学校で1割程度しか配置されていない。昨年度の東京都の副校長選考試験の倍率はたったの1・0倍。希望降任制度による主幹教諭からの降任者も、全国の小中高校で過去最多の157人(13年度)。新自由主義教育は破産している。
それをもたらしたものは学校を動かしている教育労働者の誇りである。現場は闘いを求めている。職場で団結を取り戻し闘う教組をつくろう!
(藤村路子)