千人に配転強いるJRの「乗務員基地再編」粉砕を 動労総連合建設で反撃しよう

週刊『前進』06頁(2708号02面03)(2015/11/30)


千人に配転強いるJRの「乗務員基地再編」粉砕を
 動労総連合建設で反撃しよう


 JRによる第2の分割・民営化攻撃は全業務の外注化と労働者の総非正規職化を狙うものだ。JR東日本が強行しつつある京浜東北線・根岸線と横浜線の乗務員基地再編も、その一環だ。
 13年12月、JR東日本は「京浜東北線・根岸線の乗務員基地再編成について」と題する大合理化計画を打ち出した。これは大宮、東京、横浜の3支社にまたがって職場を廃止または新設し、運転士と車掌を計1000人規模で支社を超えて異動させる大攻撃だ。
 JR東日本はこれにより東労組カクマルの「拠点」職場を廃止に追い込むと同時に、基地再編に伴う労働者の大量異動を通じて、資本による専一的な支配を確立しようと狙っている。これに対する運転職場の労働者の怒りと不安は爆発寸前だ。
 東労組カクマルは、自身がこの攻撃の最大の標的とされているにもかかわらず、資本の施策の手先になっている。国鉄分割・民営化を推進し、外注化にことごとく協力してきたカクマルには、それ以外にとるべき道がないからだ。これは東労組カクマルの内部抗争と分裂をさらに促進する。
 乗務員基地再編と対決し、東労組カクマルもろともJR体制を打倒しよう。東京を始め全国に動労総連合を建設し、外注化・非正規職化の攻撃を打ち破ろう。

総非正規職化と一体の攻撃

 この計画に基づき、今年3月のダイヤ改定で浦和電車区と浦和車掌区が廃止され、さいたま電車区とさいたま車掌区が新設された。また、下十条運転区の業務は従来の3割に減らされ、同運転区の運転士約110人がさいたま電車区に異動となった。さらに、蒲田車掌区からも十数人がさいたま車掌区に移された。
 今年3月に廃止された浦和電車区は、00年末から翌年夏にかけて、東労組カクマルがその意に従わない組合員を集団的に恫喝して退職に追い込んだ浦和電車区事件が起きた場所だ。カクマルは資本の容認のもと、職場をファシスト的に支配してきたのだ。だが、この事件をきっかけにJRはカクマルの切り捨てを最終的に決断した。下十条運転区も、国鉄分割・民営化への率先協力の恩賞として、カクマルの支配が許されてきた職場だ。
 今年3月のダイヤ改定で、JRはカクマル「拠点」の廃止・縮小に踏み込んだ。だが、乗務員基地再編の狙いはそれにとどまらない。JRは、支社をまたいで運転士と車掌を大量に異動させることで、労働者を意のままに配転できる状態をつくり出そうとしているのだ。これは、外注会社に強制出向させた労働者を、やがては転籍させようとしている資本の思惑と完全に重なっている。
 今年3月のダイヤ改定で上野東京ラインが開通し、京浜東北線の相対的な重要性は低下するとして、JRはその大合理化に手を着けてきたのだ。

外注先労働者の解雇に直結

 来年3月のダイヤ改定時には、蒲田電車区と蒲田車掌区が廃止されて大田運輸区が発足する。東神奈川電車区と東神奈川車掌区も廃止され、横浜運輸区と相模原運輸区が新設される。下十条運転区は最終的に廃止となる。こうしてJRは、乗務員基地再編成を、来年のダイ改で完成させようとしているのだ。
 JR東日本の当初提案は、今年3月に下十条運転区を全面廃止し、今年12月に東神奈川電車区と東神奈川車掌区を廃止して横浜運輸区と相模原運輸区を発足させるというものだった。だが、JRは2度の修正提案で、その実施時期を来年3月に先延ばしにした。東労組カクマルはこれを「東労組の歴史に残る大きな成果」などと言う。だが、資本の当初提案はカクマル「拠点」の廃止を最優先するあまり、現実の車両運用を無視したずさんきわまるものだったため、職場の怒りと不満が爆発し、手直しを強いられたというのが実情だ。
 現に、下十条運転区、蒲田電車区、東神奈川電車区の三つの車両基地を廃止した場合、電車の留置先が不足する。だから、来年3月以降も下十条運転区と蒲田電車区の電車留置場所としての機能は残さざるを得ないのだ。乗務員基地再編は、「効率化」にもなっていない点で矛盾だらけだ。
 また、東京都内の乗務員基地は大田運輸区だけになる。これにより輸送混乱に際して折り返し運転などを実施しなければならない場合の対応能力は大幅に低下する。乗務員基地の数が減らされることにより、輸送混乱時には乗務員に過酷な長時間労働が強いられる。
 磯子駅付近で横浜運輸区の庁舎建設工事が進んでいるが、その場所は大地震が起きたら地盤が液状化し、津波にも襲われる可能性が高いと指摘されている。周囲には化学コンビナートがあり、火災の危険もある。
 さらに重大なのは、基地の廃止はそこで働く清掃などの外注会社の労働者の解雇に直結するということだ。今年3月に下十条運転区の業務が大幅に縮小された際、JRと東労組は「JETS(JR東日本運輸サービス)下十条事業所への事業委託は解消する」と確認した。JETSは検修業務のほか車両基地構内での車両清掃を請け負っている。JRは3月ダイ改以降、「全般清掃ができなかった車両は5月に11本、8月に16本あった」と東労組との団交で認めている。だが、そんなことには目もくれず、外注会社の労働者から雇用を奪う攻撃を進めているのがJRと東労組だ。

攻撃の最先兵カクマル倒せ

 乗務員基地廃止提案に対し東労組東京地本は14年5月、「同盟罷業(ストライキ)の戦術行使でたたかう」と息巻き、東労組定期大会で「ストライキ方針の決定」を要請すると決議した。しかし、6月28日に東労組本部とJR東日本は「労使共同宣言の遵守(じゅんしゅ)」と「(乗務員基地再編を)労使が責任を持ってその実現に取り組んでいく」ことを誓う「施策実施に関する確認メモ」を締結した。6月30日から開かれた東労組定期大会では、ストライキなど問題にもされず、東労組はストの空騒ぎを謝罪して資本に総屈服した。カクマルがストまで持ち出して騒いだのは、彼らの特権が資本から否定されたからだ。合理化そのものに反対する立場は、カクマルにはみじんもないのだ。
 今こそ首都東京に動労総連合を建設し、東労組カクマルを打倒しよう。来年3月の乗務員基地廃止を許さず闘いぬこう。

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