〝労働者は一つ〟と確信 訪韓闘争を闘いぬいて
〝労働者は一つ〟と確信
訪韓闘争を闘いぬいて
「闘争」の精神大事にしよう
郵政・青年 A
今月13日から15日まで、初めて韓国を訪問し、民主労総の闘争の様子を見てきました。これまで『前進』やネットのニュースで断片的にしか知ることができなかった民主労総の闘いを、今回自らの目でつぶさに見てきたことは大いに有意義だったと思います。
14日の労働者大会は、参加者15万人とも言われ、会場のキャパシティに入りきらなかった労働者が路上にまであふれかえり、周辺の道路を封鎖してしまいました。今の日本でこれほどすさまじい規模の集会があるでしょうか。私はその規模の大きさに終始圧倒されました。また、数だけではなく、参加している人間が皆心をひとつに団結している様子も見て取れました。
会場で真っ先に見たのはクレーン車が巨大なスピーカーをつるして音響装置をセッティングしていたことでした。クレーン車を操縦する労働者がその技術を持ち寄っていたそうですが、労働者が誰に命令されるわけでもなくどこにも資本が介入することなく自主的に何かを創造したことは、労働者階級は資本が存在しなくても社会を動かしていけるんだという確信につながりました。
また、国家権力に追われている民主労総ハンサンギュン委員長が公衆の面前に姿を現し闘いの決意を表明しました。非常に強い意思のもとに闘争し、権力と対峙(たいじ)する不屈の闘志を示す姿を見ました。「闘争(トゥジェン)!」その掛け声はまさにすべての労働者階級の心をつかみひとつにする的確なフレーズでした。韓国語を理解できない私も、この言葉が聞こえた瞬間身が引き締まる思いです。そしてそれは日本の体制内労働運動に欠けている精神でもあります。われわれ労働者階級はその精神をこそ大事にしなければなりません。
その後の民衆総決起集会のために会場を移動するデモは市内の幹線道路をすべて埋め尽くす人数で怒涛(どとう)の大進撃と言っても良いものです。途中車が走っている箇所にぶち当たりましたが、むしろ車のほうがよけるかのようにデモ隊は交通を遮断して進行を続けました。
もう少しで目的地の光化門というところで警察車両がデモ隊の行く手をさえぎるように道路を封鎖し、放水車でこちらを威嚇(いかく)するのが見えました。それに臆(おく)することもなく、韓国の労働者たちは権力に対峙しにらみ合いをしておりました。そんな中、別のデモ隊が警察の放水で攻撃されたという情報が伝わり、別ルートから他のデモ隊と合流して目的地に向かうことになったのですが、どこに行っても機動隊や放水車で行路阻止が行われていました。
私はその時、遠くではありましたが確かに労働者に対して権力が放水で暴力的に弾圧をしている様子を見ました。後に69歳の農民の男性が重体となるなど非常に激しい弾圧が加えられていたことをニュースで知り、非常に強いショックと同時に強い怒りを覚えました。
「このような理不尽な暴力を振るっている国家権力の首領が外遊先で善人面をしていることなど許せない」と思うと同時に何としても国際連帯を一層強化して、このような不当な暴力を打倒しなければならないという使命感に駆られました。
翌日ソウル市内の地下鉄駅を歩いていると、地下鉄労働者の横断幕があちこちに張られていました。日本では地下鉄どころか街中ですら見たことがありません。これは、労働者の闘争意志とソウル市民の理解のもとに成り立っているものでしょう。
この風景で私は「ソウルは労働者の街になった」と実感しました。マルクスが理想としたパリコミューンもこのような風景だったのでしょう。
資本家がいなくても労働者はすべてを生み出すことができる。その再確認ができただけでも今回の闘争は大勝利でした。
かつての歴史繰り返さない
郵政・青年 M
韓国へは9年ぶりの訪問でした。今回久々の訪韓を決めたのは、韓国のゼネスト情勢と日本の安保国会決戦などがリンクし、自分自身が革命の現実性を感じられるようになったことが大きかったと思います。そして国際連帯の重要性も前より分かってきたからでした。
今回の訪韓団は100人を超える大規模なもので、それだけに緊張感がとてもありました。事前に綿密な打ち合わせがありましたが、前にはなかったことだそうです。私たちの訪韓がすごいインパクトを与えていることが分かりました。
労働者大会当日の14日は多くの労働者が全国各地から集まっているのを目にしました。指名手配中のハンサンギュン委員長も断固登場し、パククネ政権と真正面から闘う熱気でいっぱいでした。
デモでは道路が完全に解放状態で、道路の中央をデモするという初めての経験をしました。最前線では放水攻撃をする権力と民主労総が激しく闘っていました。近くへは行けませんでしたが、遠目から見てもすごいと思いました。
次の日は民主労総の闘争現場を訪問して、前日とはまた違った感覚で国際連帯を実感しました。
その日の午後に西大門(ソデムン)刑務所歴史館を訪れて、日帝支配下および軍事政権下の残虐な拷問の実態を知りました。安倍らが絶対に消し去りたい真実がありました。同時に、韓国の愛国心教育に利用されかねない危険もあるので、国と国ではなく、同じ労働者階級として資本家階級を倒すことが、同じ歴史を繰り返さないことだと思いました。
国家への怒りを感じとった
自治体・青年 H
韓国民主労総の集会に、今回初めて参加しました。会場入りして、まず人の多さに圧倒されました。会場であるソウル市庁前広場はもちろんのこと、周辺の道路も含めて10万人の労働者で埋め尽くされており、韓国労働者の団結の強さを実感しました。
集会後のデモにも参加しました。今まで参加した日本の集会でのデモとは異なり、走る場面も何度かあって大変でしたが、日本の労働組合旗と韓国の労働組合旗が並んでいるのを見て、これこそ「国際連帯」という言葉が合致するのではと思いました。
私たち訪韓団はデモの最前線に行くことはありませんでしたが、最前線では警察・機動隊などによる放水などの弾圧が繰り広げられていました。これに対しても引き下がることなく闘う現地の労働者を見て、国家に対する激しい怒りを感じとることができました。
来年以降も参加して、できれば韓国語などの外国語も勉強してさらに国際連帯を深めていきたいです。
ゼネスト実現し星野奪還へ
徳島医療福祉労組 原祥吾
今年、初めて訪韓闘争に参加しました。14日の労働者大会前に、動労千葉の田中康宏委員長からあいさつを受けました。この提起を聞いた時、私は「国鉄闘争を基軸とした日本の労働運動が、世界の国家権力を恐れさせるだけの闘いを積み重ねてきたんだ」と思い、自分たちの闘いに誇りを持てました。
集会に参加して思ったことは、「発言だけでなく、みんなが団結し盛り上がれるようなアクションが盛り込まれている」ということでした。つまり、民主労総の火の出るような熱烈な発言を基軸としながら、律動や労働歌の斉唱を通して、その熱と団結を何倍にも膨れ上がらせ爆発させるものだと感じました。日本の集会でも参考にすべきだなと思いました。
印象的だったことが二つありました。一つは、デモの後で公務員労組の方と食事をした時のことです。私が業績評価でボーナスを50%カットされ、団体交渉で闘っていると話した時、彼女が「敵はみんな同じですよ。それでケンカします」と答えてくれました。
領土・民族・国籍などで資本家たちはわれわれ労働者を分断し、「個」を強制しようとしますが、労働者階級は資本や資本主義社会に対する怒りさえあれば、世界でひとつに団結しともに闘うことができるというマルクス主義を見た気がしました。11・1労働者集会に参加した彼女の感想は「労働者はひとつだ!」でした。
二つめは、夜10時くらいにソウルの街を歩いていた時、「ウォー!」と声が聞こえてきました。見ると同世代の青年労働者がまだ街をデモしていました。ゼネストとは、ハンサンギュン委員長の言葉通り「街全体を労働者の声と闘いで埋め尽くし解放区にすること」なんだと肌で感じました。
日本で言えば星野さんが闘った1971年の渋谷暴動闘争がそうです。奇しくも11月14日。星野さん奪還の現実性も、民主労総のようなゼネストの実現にあると確信しました。国際連帯をもっと深めたいと思いました。