裁判員廃止へ最高裁デモ 破綻した「現代の徴兵制」葬れ

週刊『前進』06頁(2706号01面02)(2015/11/16)


裁判員廃止へ最高裁デモ
 破綻した「現代の徴兵制」葬れ

(写真 「裁判員制度はいらない!」の声とどろく【11月6日 東京千代田区霞が関】)

(写真 「記載通知」に同封される寺田逸郎最高裁長官のサイン入り写真に赤い大きな×印をつけ徹底弾劾)


 11月6日昼、東京都心で「裁判員制度はいらない!大運動」主催のデモが170人の参加で闘われた。
 毎年この時期に最高裁は、全国の二十数万人に「裁判員候補者名簿に記載した」という通知を発送する。「大運動」はこれに合わせて最高裁デモを毎年闘ってきた。今年も通知発送予定の11日を前に、「呼び出し状の発送をやめろ」「裁判員制度を今すぐ廃止しろ!」と最高裁につきつける闘いを打ち抜いた。
 正午前、日比谷公園霞門にデモ参加者が結集した。出発に先立ち、大運動事務局の武内更一弁護士が参加者にアピールした。

「やりたくない」の声が87%に!

 「制度実施から6年半、最高裁長官は毎年『円滑、順調』と言っているが、まったくのうそだ。『やりたくない』の声が、最高裁自身の面接調査でも87%に達している。皆がいやだと言っている制度をなお強行するこの国は、民主国家ではない」「通常国会で戦争法が強行採決されたが、国民を戦争に動員していくその第一歩が『現代の赤紙』裁判員制度だということがますますはっきりした。裁判員制度を廃止し戦争法の実施を阻止し、安倍政権を打倒して、社会を私たちの手に取り戻そう」
 続いて、京都大学で戦争反対を訴えて「21世紀最初のバリケードスト」を打ち抜いた全学連の作部羊平副委員長(京大同学会委員長)が、意気高くストライキの報告と連帯アピールを行った。
 アピールを受けて元気よくデモに出発した。参加者は寺田逸郎最高裁長官の写真に大きな赤い×印をつけたボードを掲げた。裁判員制度があまりにも不人気なため、今年の記載通知には寺田長官の顔写真とサイン入りの「ごあいさつ」を入れて「ご協力をよろしくお願い」するという。これについては「やりたくない人がますます増えるだけ」というのが街の声だ。こんな小細工しかやれなくなっている最高裁に対する痛烈な弾劾だ。

日弁連は裁判員制度に手貸すな

 出発してすぐの弁護士会館前で、「日弁連は裁判員制度に手を貸すな」と大きな声でアピールした。そしてデモ隊は東京地裁〜経産省・文科省〜首相官邸下から赤坂見附へ進んだ。昼休みに街に出てきた労働者がデモに注目し、訴えに耳を傾けた。手を振り、拍手し、またこぶしを上げて沿道を一緒に歩く労働者も。沿道との一体感をもってデモは進んだ。最終地点で最高裁に向かってひときわ大きく弾劾と怒りの声を張り上げた。
 約1時間のデモをかちとり、解散地で「大運動」代表呼びかけ人の高山俊吉弁護士が総括の発言を行った。
 「私たちのかけ声が最高裁によく届いたことだろう。状況は大きく動いている。通常国会では、盗聴拡大や司法取引の導入を狙う刑事司法改悪法案が、闘いによってついに成立しなかった。来年の国会で迎え撃とう。どんなに破綻しても裁判員制度は自滅はしない。闘って闘って、行動で廃止に追い込もう。みんなに見える闘いをやろう」
 高山弁護士の総括で、参加者はさらに勝利の確信と闘う意思をうち固めた。
 裁判員制度は、治安維持や「国を守る」責任を労働者人民に押し付ける「現代の徴兵制」にほかならない。それは労働者をとことん搾取し抑圧する資本主義の国家、新自由主義の国家を防衛し、戦争体制に労働者人民を組み入れていく攻撃である。
 だが労働者人民は、7年間の対決を通して政府・最高裁のもくろみを見抜き、今や9割の人びとが「裁判員はやりたくない」と言うに至っている。裁判員就任を拒絶する闘いも広がる中で、最高裁は「不出頭処罰規定」を一度も発動できないありさまだ。
 労働者が団結すれば、裁判員制度も、戦争法も粉砕できる! 安倍も打倒できる! そのことを深く確信させる11・6デモだった。

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