「新捜査手法」法案粉砕を 盗聴拡大・匿名証人許さぬ 完黙・非転向こそ勝利の道
「新捜査手法」法案粉砕を
盗聴拡大・匿名証人許さぬ
完黙・非転向こそ勝利の道
安倍政権は、警察の盗聴拡大と司法取引・匿名証人制度の導入を狙った「新捜査手法」法案の採決を、8月7日、衆院で「与野党合意」により強行した。しかし、これに対する労働者・学生・人民の怒りと戦争法案阻止の国会闘争の爆発は、同法案を参院で審議不能にたたき込み、通常国会での成立を阻止した。
追い詰められた安倍と国家権力は、公安警察のスパイを摘発し戦争法実力阻止の国会闘争の最先頭に立った全学連の4同志に対し、「監禁致傷」をデッチあげ逮捕した。しかし4同志の完全黙秘・非転向の闘いと「過激派」キャンペーンを打ち破る連日の闘いで団結を拡大し、全員を奪還した。国家権力・公安警察の卑劣な弾圧をものの見事に粉砕した。
これは、「現代の治安維持法」=「新捜査手法」との攻防の最先端で切り開いた大勝利だ。この地平から11月労働者集会を大成功させ、安倍政権を打倒しよう。「新捜査手法」の継続審議を許さず廃案に追い込もう。
スパイ化は「新捜査手法」そのもの
そもそもスパイ化攻撃は、摘発された時点で破産している。労働者人民を蔑視し、金銭と脅迫で取り込み、分断し支配する帝国主義国家権力への怒りと、勝利への確信のもと原則的で徹底的な討論と路線論議によって、階級的団結は日々うち固められ、必ずスパイ分子をあぶり出す。
戦後憲法下で公安警察は、人民に対する盗聴やスパイ工作といった帝国主義国家権力の基本的な監視・弾圧手法を「合法的」に行うことができなかった。「人権」すら無視し、戦時下の特高警察を想起させる手法に多くの人民が怒り、反撃してきた。だから公然と導入できなかったのだ。
しかし、世界大恐慌下で安倍政権は、帝国主義としての生き残りをかけて朝鮮侵略戦争に突き進んでいる。労働者人民の団結を破壊して戦争に動員するために、盗聴・スパイ活動を公然と行える治安弾圧体制を構築する必要に迫られている。
一方、新自由主義の破綻と戦争国家化攻撃に対し、労働者人民は「生きさせろ」「戦争絶対反対」と、怒りの決起を開始している。安保国会決戦を爆発させ国鉄決戦を前進させている。追いつめられた安倍政権と公安警察は、国会闘争が実力闘争として打ちぬかれたことに恐怖し、「新捜査手法」攻撃そのものとして「スパイ問題」を使った学生運動へのデッチあげ弾圧に踏み込まざるを得なくなったのだ。
匿名証人によるデッチあげも
「新捜査手法」の一つ目は、匿名証人制度だ。
氏名・住所を明かさなくても証言できる。これこそ大衆運動内部にスパイを育成し、あるいは潜入捜査官を送り込んで運動体を監視し、解体するための決定的武器だ。
現行法の運用では、被害者保護を名目とした個人情報秘匿、証人をつい立てで隠して証言させるやり方やビデオリンク方式の導入が強行されている。証人隠しの匿名証人制度は、被害者保護制度を証人にまで拡大し、さらに警察施設内からの裁判証言を可能にするものだ。不当弾圧に怒る人民が包囲する裁判所から証人を隔離し、警察の完全な保護下で氏名・住所を隠した捜査協力者や身分を隠した捜査官によるデッチあげ証言ができる。
しかもおとり捜査などで「犯罪」をそそのかしたり起こしたりした証人には刑事免責がなされる。つまり、スパイが組織情報を収集、あるいは自ら「犯罪の共謀」をつくり出し、逮捕させる。そして警察施設内からスパイに「一緒に犯罪を犯しました」などと証言させ、スパイ自身の罪は不問にして逃がすのだ。
「新捜査手法」の二つ目は、司法取引だ。他人の罪を「証言」すれば、「証言」した者の罪を問わないか軽くする。「お前の罪は見逃すから組織の内情を話せ」という誘導で構成員をスパイに仕立て、罪をデッチあげるものだ。
どちらも闘っている仲間同士を分断し、闘う組織と運動を解体することが狙いだ。デッチあげた供述が「共謀」の証拠の柱とされ、反証は困難にさせられる。まして実行行為がなくても処罰できる「共謀罪」では「新捜査手法」が組織解体の決定的な武器となる。
「新捜査手法」の三つ目は、盗聴拡大だ。対象犯罪を大幅に広げ、通信盗聴を事実上自由化する。通信事業者の立ち会いを廃止し、警察施設内にデータをすべて送信し、盗聴をやり放題とする。
「新捜査手法」の四つ目は、警察・検察による取り調べの録音・録画の導入だ。これは検事が「自白調書」を立証するための材料を与えるだけである。日弁連執行部などは「可視化」と呼んで美化し、「新捜査手法」の早期制定を安倍政権に要請している。日弁連執行部の裏切りを許すな。
階級的団結広げ法案を廃案に!
スパイ化攻撃と盗聴拡大の「新捜査手法」は何よりも、侵略戦争遂行のために革命党と階級的労働組合・学生自治会を解体することが核心的狙いであるが、完黙・非転向と階級的団結で粉砕できる。反弾圧・救援運動、戦時司法粉砕・裁判員制度廃止の運動を強化する中で「新捜査手法」廃案へ闘おう。それと一体で4度目の「共謀罪」制定策動を粉砕しよう。改憲阻止の大運動で1千万人との結合を推し進めよう。
秘密保護法の「適性評価」の完全実施やマイナンバー制度の導入強行など、戦争に向けた一切の治安弾圧強化と収奪強化を許さず、労組拠点建設を軸として団結を拡大しよう。11・1労働者集会に大結集し、戦争と治安弾圧に走る安倍政権をゼネストで打倒しよう。
(吉澤夏樹)
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▼ビデオリンク方式 証人が法廷とは別の場所にいて、テレビモニターを使って法廷から尋問を行う方式。