第3誘導路裁判 〝騒音は厚木の10倍〟 高裁判決もとに国を追及

発行日:

週刊『前進』06頁(2701号04面04)(2015/10/12)


第3誘導路裁判
 〝騒音は厚木の10倍〟
 高裁判決もとに国を追及

(写真 千葉市情宣に立つ全学連行動隊)


 10月1日、千葉地裁民事第3部(廣谷章雄裁判長)で第3誘導路裁判の弁論が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、農地強奪攻撃への怒りで法廷を満たし闘いぬいた。
 天神峰で営農を続ける市東孝雄さんの追い出しを目的に造られたのが第3誘導路だ。この裁判では今、騒音問題が重大争点となっている。弁護団は準備書面を陳述し、第4次厚木基地爆音訴訟控訴審判決の意義を確認しながら、成田空港が日々発する巨大な騒音の反人民性を明らかにした。
 7月30日、東京高裁は周辺住民による第4次厚木基地爆音訴訟において、①自衛隊機の夜間飛行差し止めを認め、②過去の損害賠償とともに弁論終結後の将来の損害についても国に94億円の賠償を命じた。③米軍機の飛行差し止めについては認めなかった。
 ①②は一審判決から踏み込んだ内容だ。住民の健康被害について騒音による「睡眠妨害の被害の程度は相当深刻」と認め、厚木基地周辺の騒音状況についてWHO(世界保健機関)が示したガイドラインに照らして詳細な検討を加え、「午後10時から午前6時までの自衛隊機運航は違法」との判断を下した。具体的には85W以上の地域について、高血圧、心疾患などの「身体被害」「身体障害」に連なる重大な騒音レベルであると指摘した(Wは航空機騒音測定の単位で「うるささ指数」とも呼ばれる)。
 成田空港周囲は、上空飛行、離着陸、地上走行などで常に激しい騒音にさらされている。空港は一個の「騒音工場」と見なすことができ、騒音規制法・公害防止条例に違反している。誘導路にはさまれた天神峰の市東孝雄さん宅は95W、東峰の萩原富夫さん宅は75W以上である。75Wの騒音地域に5469戸の民家があり約2万人が住んでいる。70デシベルを超える夜間騒音が発生する回数は、天神峰で1日平均11・5回。これは厚木の約10倍だ。裁判所は天神峰・東峰の住民の健康のために、  滑走路と第3誘導路の供用を差し止めなければならない。
 弁護団の鮮明な陳述は居並ぶ国・成田空港会社(NAA)の代理人と裁判所を圧倒した。
 次回期日を12月22日として閉廷した。
 近くの会場で報告集会が行われた。伊藤信晴さんの司会で、葉山岳夫弁護士を始め弁護団全員が発言し、騒音問題が住民の生活にさまざまな支障をきたすだけでなく、直接に病気の原因となって襲いかかる深刻なものであることが参加者の共通の認識となった。そして「空港は工場ではないから騒音規制は関係ない」と恥知らずな居直りを決め込む被告の国・NAAを弾劾し、今後も騒音問題を徹底的に追及し、農地裁判と一体で勝利することを確認した。
 質疑応答の後、動労千葉と関西実行委が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、改悪労働者派遣法の施行を弾劾し、出向者全員と仕事をJRに戻すことを要求して検修部門の組合員がストに入ったことを報告した。そして、10・11三里塚全国集会へ全力で取り組むことを明らかにし、参加者を奮い立たせた。
 集会後、反対同盟と支援連は千葉市の繁華街で情宣活動に立ち、最高裁による市東さんの農地の強制収用を許さない緊急5万人署名を労働者・市民に熱く呼びかけた。

------------------------------------------------------------
三里塚裁判日程
新やぐら裁判
 10月19日(月)午前10時30分開廷 千葉地裁
 (傍聴券抽選のため30分前に集合)

このエントリーをはてなブックマークに追加