闘いは進む 青年の職場から介護 事故の責任は仲間を分断する会社にある!東京 杉尾貴也

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週刊『前進』06頁(2701号02面03)(2015/10/12)


闘いは進む 青年の職場から
介護 事故の責任は仲間を分断する会社にある!
東京 杉尾貴也


 全国展開している有料老人ホームの介護労働者です。この間、介護現場での「死亡事故」「暴行、虐待」などが報道されています。しかし、事故のすべての責任は会社にあります。労働者の責任にすることは許されません。
 介護保険制度によって民間企業が介護で金もうけできるようになり、多くの民間企業が介護事業に参入してきました。その中で何より利益が優先され、職員は減らされ、安全対策は放置されたため事故が多発しています。賃金も上がらない状況に置かれ続けています。
■処遇改善交付金を口実に労働強化と雇い止め
 私の職場では、2009年から会社が労務支配を一斉に強めてきました。ちょうど介護職員処遇改善交付金(現在は介護職員処遇改善加算)が出されることが発表された時です。
 会社は「仕事量の公平化」と称して、労働者一人ひとりに対し機械的に業務を割り振り、担当する入居者の人数と介護に必要な時間を指定してきたのです。こうして労働が強化され、非正規職労働者を中心に全国で数多くの労働者が雇い止めにされました。
 介護に必要な時間は、入居者の状況や入居者個々人によって異なります。それまでは、時間がかかれば仲間同士で助け合うあり方が職場にありました。しかし会社はこの仲間同士、助け合うあり方を破壊してきたのです。
 そうしておきながら会社は、「介護現場は賃金が安いから離職者が多い。交付金支給で賃金を改善するためだ」と言い放ったのです。
■賃金改善のためではなかったのか!
 そして会社は、こうした施策の実施度合いに応じて各施設をランク付けし、施設ごとに交付金支給を差別化しました。つまり、国が「介護職員の賃金改善」の名目で出している交付金を、会社は「支給方法は国に任されているから」と好き勝手に査定しているということです。
 しかも会社は、割り当てられた交付金を福利厚生費として厚生年金の会社負担分に充てていたのです。介護職場の労働者の賃金改善のためと称して交付金が設けられながら、実態はまったく違います。会社との団体交渉によって「雀(すずめ)の涙」ほどですが、支給させました。
 このような状況ですから離職者は後を絶ちません。労働強化をしておきながら、「努力しろ」と迫る会社。何か起きれば職員全体の前でつるし上げることも多い。会社はさらにもうけるために施設の夜勤を1人にしようとしています。私が働く施設では阻止し続けています。課題は多いですが負けてはいません。仲間と力を合わせて闘い抜いていきたいと思います。

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